キーワードで検索
北スウェーデンの旅の第一歩はLuleå(ルーレオ)からスタートです。ストックホルムから直線距離で北へ約700kmに位置する都市であり、この距離は東京23区、北海道・室蘭間に匹敵するほどです。そのため、アーランダ国際空港からルーレオ空港までは飛行機で約1時間10分、ストックホルム中央駅からは列車で13時間程度かかります。
ルーレオは北極圏に位置しないので厳密にはノルウェー、フィンランドの一部で形成される「ラップランド」ではありませんが、最近では、北スウェーデンへの国際観光誘客戦略の一環として「Swedish Lapland(スウィディッシュ ラップランド)」の1都市として、セールスの一役を担っています。
また2021年には、ルーレオ生誕400年を迎えます。
ちなみに、この「ルーレオ」という地名、もしかしたら、高校の地理の授業で「キールナ」と並び、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ルーレオよりさらに北に位置するKiruna(キールナ)で採掘された鉄鉱石は、海が凍る冬期を除いてルーレオの港から世界中へ運ばれています。
また近年はルーレオの寒冷な気候を生かしたコンピュータ産業が栄え、Facebookをはじめ、多くのデータセンターが進出してきています。
そんなルーレオの観光で外せないのが、歴史を語るうえでかかせないいまも残る古き良き町並み、Gammelstans Kyrkstad(ガンメルスタンズ シルクスタード)です。ルーレオの中心街からレンタカーでおよそ10分で到着です。
世界遺産、Gammelstads Kyrkstad(ガンメルスターズ シルクスタード)
1996年に登録された、スウェーデンにある15の世界遺産のうちのひとつです。北スウェーデン最大の後期中世に建てられた石造りの教会であるNederluleå kyrka(ネーデルーレオ教会)と、教会を囲むように建ち並ぶ400以上ものコテージがひとつの小さな町を形成しています。教会は1492年から現在まで、ずっと同じ場所に建っています。当時の教会は住民が集まり、噂話をしたり情報交換をするとても重要な場所でした。住人は教会から遠くに散在して住んでいたため、礼拝や祭事の際はこれらのコテージで寝泊りしていました。同様の教会街がスウェーデンには16ヵ所存在しますが、ここほど大きく保存状態がいいところはほかにありません。
現在も人が住んでいるわけではありませんが、休日になると小屋に訪れる人が少なくないです。
またガイドツアーに参加したり、見学できるコテージ、カフェやレストラン、北スウェーデン特有の手工芸品を扱う土産店もあるので、知見を深めながらゆっくり過ごすのにおすすめです。
この教会街のすぐ隣にはFriluftmuseet Hägnan(フリールフトミュゼート ヘグナン)という、北スウェーデン中から集められた18世紀から20世紀の建物が保存されている野外博物館もあります。ウマやブタもいたり、休日になれば数多くのイベントが開催されるので、足を運んでみるとよいでしょう。
年中楽しませてくれる港の風景
1621年にルーレオが誕生し、人々が集う場所がGammelstadから現在の中心部へと動いてきました。日本語で港町を意味するhamnstad(ハムンスタード)と呼ばれ、中心部は四方八方を水に囲まれています。特に絶景を眺められるのがNorra Hamn(ノッラ ハムン)です。
中心部からNorra hamn方向を望むと北西方向となるため、夏は沈まない太陽を、冬はオーロラを、そして季節問わず沈みゆく美しい夕陽を眺めるのに適しています。夏はここでアイスクリームを食べながらゆっくりするのがおすすめです。サウナボートが水に浮かんでいる様子を多々見ることもできます。冬になると水面は凍結するため、氷上の上を歩いたりスケートしたりできる楽しみがあります。昨今の暖かい南スウェーデンではなかなか体験できないことなので、特におすすめです。
強豪地元スポーツチームの試合観戦
スウェーデンはおもにアイスホッケーやサッカーなどのスポーツが人気ですが、特にここルーレオで人気なのが、男女アイスホッケーと女子バスケットボールです。それぞれLuleå Hockey、Luleå Basketとローカルチームがあり、スウェーデンのトップリーグにおいて何度も優勝しています。
アイスホッケーに関しては、ルーレオのアリーナはスウェーデンのなかでもかなり豪華なようで、選手が登場するオープニングに光や炎を使った演出が行われ、試合開始前からワクワクさせられます。地元応援団の気合の入った応援、白熱した試合と、たとえアイスホッケーの試合をまだ直に見たことがなくても楽しめること間違いなしです。ただし、初めて見る場合は、パックの移動の速さに目で追いつくのに必死になるので、目疲れ要注意です。
そして、ここ数年、地元の日本人のなかで喜ばしいことがあります。「スマイルジャパン」アイスホッケー女子日本代表キャプテンの大澤ちほ選手が、9月~翌年3月までのシーズン中はこのルーレオの地で活躍していることです。新型コロナの影響で、今シーズンにおいては現在までは無観客試合で試合が行われているため、直接会場で応援できないのが悔しいですが、前々シーズンに引き続き優勝を目指してほしいところです(昨シーズンは決勝に進むも、新型コロナのため途中で試合が中止となりました)。
そのほかには、スウェーデンに来たことがある方なら、必ず目にしたことがある、あるいは食べたことがあるであろうハンバーガーチェーン、MAX(マックス)の1号店がルーレオにあります。発祥の地はまた別の地域になるのですが、前身のレストラン名を変更してMAXという名前を用いたレストランを初めてオープンしたのが、ルーレオでした。MAXのキャッチフレーズは"Sverige godaste burgare"=「スウェーデンイチおいしいバーガー」です。まだ食したことがない方は、スウェーデンに訪れることができたときには、ぜひ味わってみてください。ベジタリアン・ヴィーガン対応の植物性パティやシェイクなどが豊富にあるのも、スウェーデンならではです。
また、近年スウェーデン全土へ勢いよく広がりつつあり、アーランダ国際空港第4ターミナル(国内線ターミナル)にも店を構えたばかりのBastard Burgers(バスタード バーガーズ)もここルーレオから始まりました。ルーレオはスウェーデンスタイルのハンバーガーに何かと縁が深いようです。
ルーレオには空港、駅があり、またバスターミナルもあるので、ここを起点にキールナやヨックモックなどさらに北へ、またフィンランドへ陸路にて国境越えの旅行に出かけてもおもしろいです。また空港でレンタカーを借りると移動はさらに楽になるでしょう。
ストックホルムなど南スウェーデンばかりでなく、ぜひ北スウェーデンにも訪れてみてはいかがでしょうか。