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2020年11月28日より、フランスは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため厳しくしていた制限の一部を緩和しました。具体的には、今まで生活必需品の項目から除外されていた分野の商店再開や、外出用件を緩くしたのですが(詳細は過去記事「フランスが段階的にロックダウンを緩和、新型コロナ制限措置まとめ」を参照)、それにより緩和直後の町なかは多くの人であふれました。
商店の営業緩和でにぎわいを取り戻したデパート
例年であればこの時期は、家族や親戚が集まるクリスマスに合わせて、そのプレゼント探しに多くの人が駆け回っている時期です。その年末商戦も、今年はコロナ禍で多くの商店が閉まっていたため、鳴りを潜めていました。その雰囲気も、制限緩和の初日が土曜であったことも重なって、多くの人が外へ出かけました。
いままで閉まっていたお店のひとつが百貨店です。ギャラリー・ラファイエットとプランタンという、パリの2大デパートが連なるパリ市内のオスマン通りは、買い物客でごった返しました。押し寄せた買い物客と、新型コロナ対策のための入店制限もあり、店舗によっては入店の列ができる盛況さです。
依然フランスでは外出制限が敷かれていますが、一部商業活動の制限が緩和された初日、デパートが立ち並ぶパリ市内オスマン通りは、多くの人出になりました。 pic.twitter.com/f8wG6R40kQ— 加藤亨延 地球の歩き方フランス・パリ特派員 (@arukikataparis) November 28, 2020
▲ギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店の前で列を作る買い物客
先日、11月22日にイルミネーションが点灯したばかりのシャンゼリゼ大通りも、一部でにぎわいが戻りました。ルイ・ヴィトン本店前は列ができ、多くの人が制限緩和をきっかけに、出かけている様子が見て取れます。
イルミネーションが始まったパリのシャンゼリゼ通り。一部制限緩和で人通りも増えました。ルイ・ヴィトン本店にも行列が。 pic.twitter.com/lDKgty4gYS— 加藤亨延 地球の歩き方フランス・パリ特派員 (@arukikataparis) November 28, 2020
▲11月28日夜のシャンゼリゼ大通りの様子
新治安法での警察官に対する抗議デモ
11月28日は、新しい治安法案に反対する大きなデモが、パリ市内の共和国広場を中心に行われました。黒人音楽プロデューサーのミシェル・ゼクレーさんが、複数の警官に暴行を受けたことが発端です。
暴行の様子を映した映像をニュースサイト「ループサイダー」が公開。警察組織内で人種差別が行われているのではないかという不安が、人々の間で増大したためです。
また少し前には、フランスの国会である国民議会で、警察官の顔を公開することを規制する治安法案が可決。次は上院での採決が予定されていますが、その法案には、勤務中の警官の画像を「本人の心身」を傷つける目的で拡散することを禁止する内容が含まれています。
そのため法律が施行されると、これら人種差別が明るみに出なくなるのではないかという危惧が起きています。
フランス内務省によると、11月28日の参加者はパリ市内で約4万6000人、フランス全国で約13万3000人まで膨れ上がりました(デモ主催者側はパリ市内を20万人、全国で約50万人と発表しています)。
パリのバスティーユ広場はデモのためすごい人です! pic.twitter.com/yg78S7RXXh— 加藤亨延 地球の歩き方フランス・パリ特派員 (@arukikataparis) November 28, 2020
▲共和国広場から流れてきた人々で混み合うバスティーユ広場
多くの人はマナーを遵守しデモを行っている一方で、デモに乗じて店舗の破壊や略奪行為を行う一部集団が、今回も問題になっています。
▲フランスのニュースチャンネル「フランス24」が報じた11月28日のデモの様子
コロナ禍ということもあり、まだ日本から観光客が一般的に来られる状況ではありませんが、仮にデモに遭遇しても興味本位で近づかず、別の経路を取るなど離れるようにしてください。危険回避の方法は、過去記事「パリ観光のデモ対策 現地での予防と遭遇したら取るべき方法」を参照にしてみてください。
2019年の黄色いベスト運動、同年末から2020年にかけての公共交通機関の大規模ストライキ、そして今回のコロナ禍と、フランス社会そして、世界中でのうねりは今後も続いていきそうです。