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ストックホルム公共交通機関でマスク着用推奨へ
新型コロナが猛威を振るうストックホルムでも、ついに電車やバスの公共交通機関を利用する際のマスク着用が今月7日から始まりました。あくまでも「推奨」レベルですが、これまでマスク不要としていたスウェーデンにおいては新しい試みのひとつです。
これが適用されるのは平日のラッシュアワーである午前7時から午前9時、午後4時から午前6時のふたつの時間帯のみとなっています。そのほかの時間はマスクをしていなくてもいいのかというと、そういうわけでもなく、ほかの利用者とソーシャルディスタンスを確保できない場合は、マスクを着用するようにすすめられています。なお、マスク着用対象は16歳以上となっており、またマスクを着けてないからといって乗車を拒否されるわけではなく、駅などでチェックを受けるわけでもありません。
マスクについては、CEマークがついているものを使用するように公衆衛生庁から推奨されています。ちなみに「CE」とはフランス語の「Conformité Européenne」から来ており、当該製品がEUで定める安全性などの基準に適合していることを意味し、EU域内での自由な販売・流通を保証したマークです。
僕はほぼ毎日公共交通機関を利用しているため、マスク利用の実態をさっそく探ってみました。
スタートした7日は、電車のある車両利用者20人程度のうちマスク着用者は数人ほどでした。翌8日は人数が増え、全体の3分の1程度が着用している印象でした。
休日でも公共交通機関や町なかでマスク着用者を見かけるようになってきたので、マスク利用は総じて増えてきたように思います。
マスク着用の案内については、昨年末と今年2021年はじめの2回、公共交通機関を運営するストックホルム県からメールがあったり、あとはニュースで見聞きする程度で、実際の現場ではマスク着用に関する構内アナウンスや車内アナウンスはなく、時刻掲示板にスウェーデン語で表示されるのみとなっています。
市内中心のセントラル駅とセルゲルトリイ駅のカスタマーサービスセンターでは午前6時から午前9時、午後3時から午後6時の時間帯に無料でマスクを配っているようですが、そのほかの場所では今後窓口などでも購入可能となる予定です。
新法施行で人数制限と罰則が設けられる
また昨日1月10日からは新型コロナ対策における新たな決定、いわゆる「パンデミック法」が施行され、9月30日まで適用されることとなりました。
おもな内容は、小売店舗、ショッピングセンター、ジム、スポーツセンター、プール、パーティ利用可能なレンタル会場などの人が集まる屋内施設において人数制限を設け、遵守することを明文化したことです。制限人数の計算方法は、商品棚などを除いた利用者が利用可能な床面積10平方メートルあたりひとりとなります。
ショッピングセンターについては入居する各店舗に人数制限を課し、ショッピングセンター全体としてはベンチを撤去するなど、人が集まらないように対策を行うこととされています。
またこの法施行において、政府はショッピングセンターの営業時間を決めたり、公共交通機関を閉鎖することも可能とされています。
なお、映画館や美術館などの文化施設、図書館や公園などの公共施設もこれの対象となっていますが、レストランやカフェについては対象外とされており、引き続きグループ利用は4人までという人数制限とアルコールの提供は20時までということを遵守するように定められています。
今後各県主導の下、県内各市や警察などの協力を得て対象施設などを調査することとなると思いますが、もし遵守されていなかった場合には、当該施設に対してまずは警告が行なわれ、改善の余地を与えます。それでも是正されない場合は、罰金が科せられたり、最悪の場合閉鎖を強いられる可能性があります。
これは個人にも適用され、例えば9人以上で集まった場合、罰金が科せられる可能性があります。
憲法で「行動の自由」が保障されている以上、特別法の制定なしにロックダウンが起きることがないのがスウェーデンです。今回の新法は、ある意味国民の行動を制限するように思われるかもしれませんが、政府としては、施設利用者を少なくし混雑を避けることで、新型コロナの感染リスクを減らすことを目的としており、個人の利用を制限するような施設の閉鎖は最終手段と考えているようです。
(参考)
■ジェトロウェブページ
■SLウェブページ
・URL: https://sl.se/munskydd
■スウェーデン政府ウェブページ
■公衆衛生庁ウェブページ
■fastighetstidningen(不動産新聞)ウェブページ
■SVTウェブページ
・URL: https://svt.se/nyheter/sa-fungerar-den-nya-pandemilagen