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サワディーカー。バンコク2特派員のぴっぴです。今回は「ディープなタイを感じたい」というあなたにおすすめしたい、バンコク郊外の穴場スポット、トンブリー地区の「運河ツアー」を紹介します。
水上ボートで走りながら、水路沿いの情緒あふれる風景や地元民の暮らしぶりを眺め、古きよきタイの文化や歴史にふれることができる運河ツアー。旅情をかきたてられ、一生忘れられない貴重な経験になること間違いなしです。
実際にこのツアーに参加した筆者がそのレポートをしながら、料金や準備物などの詳細についてもお伝えします。
タイは古くから「水上交通」が栄えており、バンコクはかつて「東洋のベニス」とも呼ばれていました。縦横にはりめぐらされた「運河」はタイ住民の大切な交通網としてはもちろん、農作物や米、家畜、材木などをボートで運んで生活を営むために欠かせないものだったのです。
しかし都市化が進むにつれて、多くの運河は埋め立てられて道路になり、庶民の足であった水上ボートも姿を消しました。バンコクの町を歩くと、路地がせまく入り組んでいて、行き止まりになる場所が多いことに気がつきます。実はそれは「運河の名残」なのです。
ただしすべての運河が消えたわけではなく、タイ観光として人気の「水上マーケット」は運河のなかにありますし、バンコクやその近郊にも、現役で活躍する運河が残っている場所がいくつかあります。
1767年にトンブリー王朝の首都として建設された、古都「トンブリー」。チャオプラヤ川の西側に位置するこの「トンブリー地区」では、地元民をのせたボートがせまい水路を行き交う「昔ながらの風景」が、今なお見られます。
喧騒に満ちたバンコク中心部から電車で30分弱とアクセスしやすいのに、あまり観光地化されていなくてローカル感満載。まさに穴場スポットです。筆者も先日友人とふたりで、トンブリー地区の「運河」を探検するツアーに参加してきました!
筆者が参加したツアーで皆様にもおすすめしたいのが、「Pandan Tour」が催行している運河ツアー「Small Teak Boat Canal Adventure」です。Tripadviser(トリップアドバイザー)のレビューでは、星5つ中5つ(=満点)という高評価。ツアー申し込みのやりとりは、基本的に英語になります。
専属のツアーガイドはみな英語が堪能で、なかには日本語・フランス語・スペイン語・中国語を話せるガイドもいるとのこと。彼らはタイの文化や歴史に精通し、豊富な知識があります。 また専属のボート運転手も、熟練のプロフェッショナルぞろいだそうです。
■Small Teak Boat Canal Adventure
・電話: +66 (0) 87.109.8873
・whatsapp: +66.87.109.8873
・メール: contact@thaicanaltours.com
・スカイプID: pandantour
・住所: 780/488 Chaoren Krung Rd. Bang Kho Laem, Bangkok Thailand 10120
「Small Teak Boat Canal Adventure」で扱っているツアーはいくつか種類があり、メインのツアーを下記にのせておきますが、要望に応じて時間帯のアレンジなど柔軟に対応してくれます。
ツアー会社のウェブサイトの予約ページにて、予約フォームまたはメール(contact@thaicanaltours.com)でツアーの申し込みができます。
・1日コース(ランチ込み) ▶8:30~15:00 (所要時間:6時間半)
・半日コース ▶「午前 8:30~12:30」もしくは「午後 13:00~17:00」(所要時間:4時間)
・1日コース(ランチ込み) ▶8:30~15:00 (所要時間:6時間半)
・半日コース ▶「午前 8:30~12:30」もしくは「午後 13:00~17:00」(所要時間:4時間)
・15:00~18:00 (所要時間:3時間)
筆者が友人と参加したのは、平日ツアー「半日コース」(午前中)です。2名以上から申し込みができ、料金は大人1人あたり1995バーツ。3歳から12歳までの子供は大人料金から半額で、0~2歳の幼児は無料です。そのほかのツアー料金については、ウェブサイトをご確認ください。
ツアーガイドは基本的に英語かタイ語で、「ガイドなし」も選択可能。言葉が不安な方もいらっしゃると思うので、日本語が話せるツアーガイドについて問い合わせたところ、2日前の予約であれば、1名につき追加料金300バーツで利用できるとのことでした。
■筆者が参加したツアーに含まれていたもの
・英語が話せるガイド
・水、軽食
・ライフジャケット
・ツアー保険
■ツアーに含まれていなかったもの
・送迎
「運河ツアー」に参加するうえでの注意点もシェアしておきます。悪天候の場合、ツアー内容が変わる場合があります。またツアー中に寺院を訪れることがあるので、露出の多いミニスカートやショートパンツなどの服装は避けたほうがいいでしょう。
水上ボートの乗り降りがあるので、動きやすい服装や、スニーカーなどの履物がベターです。またボートには日焼けが気になる方は、日焼け止め・帽子・日傘などの持参をおすすめします。
当日は朝8時半に「BTSウターカート駅」の5番出口を出たところで集合です。担当してくれたツアーガイドは、英語が堪能なタイ人ガイドの「Nui(ヌイ)」さん。この方がとにかくすばらしいガイドさんでした。
彼女が地図を見せながら「このなかから、あなたたちが行きたいスポットを教えてね。3~4ヵ所ほど立ち寄ることができるわ」とのこと。ボート乗り場までは歩いて移動します。ボートに乗りこんで、いざ「運河ツアー」がスタート!
ゆっくりと水面を切って走り出すボート。風がとても心地よくて、自然と頬がゆるみます。きもちいい~。ここは「バーン・ルアン運河」という名前の運河です。
ボートには屋根がついているので、あるていどの日差しは避けることができます。しばらくすると、2021年6月に人気の映えスポット「ワット・パクナム」に完成した「金色の巨大仏像」が見えてきました!
※「ワット・パクナム」の巨大仏像については【2021年11月 タイ・バンコク 旅の最新事情】映えスポット「ワット・パクナム」に巨大仏像が完成!に詳しく書きましたので、よかったらご参考までにどうぞ)。
「ワット・パクナム」に到着すると、目の前には黄金に輝く美しい仏像がドデーンとあらわれ、その存在感と迫力に圧倒されます。
寺院を歩きながら、Nuiさんがタイ仏教の歴史や風習、建築についての豆知識など、ユーモアを交えながらいろんなことを教えてくれました。知らないことばかりで、とても興味深く勉強になります。
ツアー開始早々に「これをお食べ」とフルーツや焼き鳥を広げてくれ、ブランチがスタート。ここでもタイ料理に関する現地民ならではの情報を、たくさんシェアしてくれました。
「ワタシって冗談が大好きなのよ。ワハハ!」と盛大に笑う彼女は、なんだか「親戚のおばちゃん」のような親しみやすさとキャラクター。私たちもずっと楽しくて笑っていました。
周辺のローカル市場も散策。
散策中にみつけた、小さなプラスティックの円筒に緑褐色の粒がたくさんはいっているこちらの商品(20バーツ)。
「これを食べるとスースーして、リフレッシュできるわよ」とNuiさんが分けてくれたので、試しにパクっと口に入れると、確かにミント味でスースーします。
この「スースー具合」が妙に気にいったので、ひとつ購入してみました。
運河をボートで走っていると「揚げ物」を販売する水上ボートとすれ違いました。Nuiさんが「これ、めちゃくちゃおいしいわよ」と言うので、食べてみることに。
道の散歩途中にコンビニに寄るような気軽な感覚で、水上でも買い物ができるなんて、なんだかワクワクします。
「揚げイモ」や「揚げバナナ」がミックスして入っています。サクサクしていておいしい! ボートの上で食べると、なんだかより一層おいしさが増す気がします。
運河沿いには高床式の木造家屋などの古民家や商店がならび、そこでは水遊びをする子供、昼寝をする人、洗濯物を干す人、なにもせずボーっとする人、お茶を飲みながらご近所とおしゃべりする人など、生活感あふれる地元民の暮らしを垣間見ることができます。
素朴で飾らない風景はどこか懐かしい感じがして、なんだかホッとします。
ここでは運河が今もなお、地元民が生活を営むうえでの大切な「交通網」として活躍しているんだなぁ~と、しみじみ。
こちらは緑豊かなパンダンリーフやランの花が観賞できる植物園。こちらの植物園では、気に入ったものがあれば購入することもできます。
Nuiさんが「この植物知ってる? 水に浮かべるとパチパチと音がするのよ」など、未知なる植物についていろいろと教えてくれました。
地元住民とあいさつをかわし、彼らのあたたかい笑顔にホッコリ。
こちらは250年以上もの歴史をもつ集落「クローン・バーン・ルアン地区」に浮かぶ「アーティスト・ハウス」。タイのアーティストグループが古い2階建ての木造住宅を買い取ってリノベーションし、2009年にアートギャラリーとしてオープンしました。
タイの若者が作った絵画や写真、彫刻など、さまざまな独創的なアート作品が制作・展示されています。かわいいポストカードや雑貨なども販売されていて、おみやげにもぴったり。
カフェも併設されています。私たちが訪問したときは、コロナ禍でほとんど営業していませんでしたが……営業が再開すれば、運河を眺めながらゆったりとコーヒーを飲むことができ、とてもすてきだろうなと思います。
(※現在の営業状況についてはツアー会社におたずねください)
軒先に吊るされたカラフルなスナック菓子を子供たちが川にポイッと投げると、ものすごい勢いで「なまず」が群がってきました。板張りの床を歩きながら、奥へと進んでいきます。
アーティストハウス1階、苔生(こけむ)した仏塔が中庭にたつこの場所では、コロナ前は無料で「人形劇」を観ることができ、地元民から観光客まで多くの人が訪れていました。しかし観光客が激減した現在は、休演中となっています。
Nuiさんが「調子はどう?」となかにいた女性に声をかけると、彼女はハンモックに揺られながらこう答えてくれました。「コロナで仕事がなくて、ずーっと家にいたから、激太りしてたいへんよ」。
子供たちがワイワイ笑いながら、橋の上から運河に飛び込み、大きな水しぶきを上げています。なんだか、平和。ゆっくりと流れていく時間がとても心地いいです。
不安定な天候のなか開催されたツアーでしたが、幸いほぼ雨にふられることもなく、とても運がよかったです。
Nuiさんが言いました。「今日はほとんど雨が降らなかったでしょ。これ、実は私の魔法なのよ。ワハハハ!」。ほんとうに、彼女のおかげで最高に楽しい大満足の時間を過ごすことができました!
以上が、トンブリ―地区の「運河ツアー」のレポートでした。古きよき運河沿いの風景を眺めていると、そこだけ時代が止まっているかのような不思議な感覚になります。タイ生活におけるすばらしい体験になったので、皆さんにもぜひおすすめしたい!
タイ渡航に関して規制緩和が進んでいるものの、一般の旅行者が日本~タイ間を自由に行き来するには、まだ少しハードルが高い状況です。早く事態が収束することを願いつつ、今後のタイ旅行のプラン作りにこの記事がお役立ていただけると幸いです♪
それでは皆様、また次回の記事でお会いしましょう!