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ヤンギ・イール・ムボラク・ボルスン(明けましておめでとうございます)!
今年もタシケント特派員ブログをどうぞよろしくお願いいたします。今年こそは海外へ気軽に旅立てる年になるといいですね……。
さて、年越しやお正月は世界中のほとんどの地域で祝われていますが、その慣習や風景は国や地域によって違うもの。
ウズベキスタンはといえば、前々回の記事(4. クリスマス=年越し祝い!?クリスマス時期の風景@ウズベキスタン)で書いたとおり、日本や欧米でいうクリスマスと新年のお祝いが一体化しており、12月に入ってから1月上旬まで約1ヵ月お祭りムードが続きます。12月中からウズベク語やロシア語で「新年おめでとう」を意味するYangi yil bilan!(ヤンギ・イール・ビラン!)やС Новым годом!(ス・ノーヴィム・ゴーダム!)の文字が書かれた看板などが目立ち、日本と違って年が明けて町の風景がガラリと変わるというようなことはありません。
そこで今回の記事では、一般家庭の年越しやお正月の様子にスポットを当ててみたいと思います。JICA青年海外協力隊ウズベキスタン隊員の一員だった2年前は隊員研修の一環としてウズベク人家庭でホームステイをしており、2019年の年明けもこの家庭で迎えることになったので、そこでの様子を中心に紹介します。ウズベク人たちは新年をどう過ごしているのでしょうか?
前々回の記事でも書きましたが、年末が近づくと多くの家庭がツリー(ロシア語でёлка:ヨールカ、ウズベク語だとarcha:アルチャ)や風船、カラフルな飾り付けなどで部屋を飾ります。
そしてあれは年越し10日前ぐらいだったでしょうか、中庭に謎の物体がぶら下がっているのを見つけました。
ホストファミリーのお母様に聞くと、正月用に馬肉を干してるのよと平然と答えます。タシケントの人々にとって正月料理、つまり日本人にとってのおせち料理が馬肉だと知ったのはその瞬間でした。正月でないと馬肉が食べられないわけではなく、何でもない日でもレストランに行けば普通に食べられるのですが、やはり家で馬肉を食べるとなると特別な感じがするようです。
そして実際、年越し前後の4、5日でほぼ毎食食卓に出てきたのが、細切りにした馬肉と柔らかい麺を肉のゆで汁に入れて食べる料理ノリン。私は馬肉が大好きなので問題なかったのですが、馬肉が苦手な人にとってはしんどかったかもしれません……。
ただ実は馬肉がよく食べられるのはウズベキスタンでもタシケントのみで、ほかの地域ではあまり食べられません。ウズベク人に理由を聞くと、タシケントの冬は寒いので血圧を下げるために馬肉を食べるとか、馬肉料理が多いカザフスタンに近いからとか諸説あるようです。
ではタシケント以外の人々や、タシケント人でも馬肉を食べたくない人はお正月にどんな料理を食べてるのでしょうか? 聞いてみると肉料理や魚料理など、やはり特別感のあるものを家庭で食べるとのことでした。
タシケントでも大晦日に道端や集合住宅の駐車場脇など、なぜここで!?と言いたくなる場所でおいしそうなシャシリク(串焼肉)を焼いている光景に出くわしました。普段でも食べるとテンションが上がるシャシリク、こんな日にこんなところで焼きたてを食べたら最高の気分でしょう。
また肉と角切りの野菜をマヨネーズで和えたロシアのサラダ、オリヴィエサラダもだいたいどの家庭でも食べられます。これは本国ロシアでも同様の食文化です。
食べ物の話からそれますが、年越しの瞬間あちこちで花火があがったり爆竹の音が聞こえたりするのもこの国ならではの光景。やはり年越しを派手に祝いたいのはどこの国も同じですね。
年末年始は一般企業や学校は休みになるため、日本と同様家族や親戚で集まることも多いです。特に実家から離れて暮らす学生たちはほぼ必ず帰省するため、日本と同じように帰省ラッシュが発生します。家族の絆が強いウズベキスタンでは、お祝い事があると家族一緒に過ごすのが当たり前のことなのです。
私がホームステイしていたおうちでは、年明け2日に同じタシケント市内にあるお母様のお父様宅へ訪問。私もご一緒し、家族団らんの中に入れさせてもらい、新年のご馳走をいただきました。
年末のテレビ番組についても少し触れてみましょう。日本では紅白歌合戦がありますが、ウズベキスタンでも大晦日はやっぱり歌番組! チャンネルを替えてもやってるのはとにかく歌、歌、歌……。
またチャンネルによっては世界的なクリスマス恒例映画『ホーム・アローン』や、ロシアの年末風景には欠かせないソビエト映画『運命の皮肉』などを放映しています。
そして年明けまで残り数分になると、ロシアや旧ソ連諸国同様大統領の新年演説が流され、カウントダウン。年明けを迎えると国内各地の風景をバックに国歌が流れる、、というのが一連の流れになります。
大統領府のYouTubeチャンネルで今年の新年演説からカウントダウンまでの様子がさっそくアップされていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
以上、タシケントやウズベキスタンの家庭の年末年始の様子を紹介しました。日本とまったく違うところもあり、興味が尽きないウズベキスタンの年越し風景ですが、年が明けたら親しい仲でも知らない人同士でもヤンギ・イール・ビラン!と声をかけあい、一年の幸せを願うのは日本や世界中の国々と同じ。私からも皆様に向けてこの言葉で締めくくりたいと思います。
Yangi 2022 yil bilan tabriklayman! Sizga omad va salomatlik tilayman!
(2022年新年明けましておめでとうございます! 皆様のご多幸とご健康をお祈りいたします!)