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サローム(こんにちは)!
海外旅行に行ったら切手を買うのが楽しみ! という方も多いはず。各国が趣向を凝らした切手を販売しており、ガチの海外切手コレクターの方ともなると何十ヵ国、何千・何万種類もの切手を収集していらっしゃるでしょう。
ウズベキスタンでは、タシケントの中央郵便局でこの国ならではの切手に出合えます。しかもそこにあるのは、私たちのイメージする切手を凌駕するユニークな切手の数々。今回は切手好きの方にはぜひコレクションに加えていただきたい、またコレクターの方でなくとも集める価値大ありのウズベキスタンの切手について紹介します。
タシケント中央郵便局は町の中心、ティムール広場から徒歩圏内という便利な立地にあります。もちろんここから日本へ国際郵便を送ることも可能。ただこの国の郵便事情はあまりよくないとの噂なので、利用する際は十分な下調べを。またポストカードは売っていなかったので、ここから絵葉書などを送りたいという方は別の場所であらかじめ買っておくとよいでしょう。
切手売り場は郵便局の一角、入って左側にあります。「STAMPS OF UZBEKISTAN」の文字があるのですぐ分かるはず。
ショーケースの中はありとあらゆる切手で埋め尽くされており、コレクターの方なら垂涎必至。それでは特筆すべき切手をいくつかピックアップしてみましょう。
この国ご自慢の歴史建築の切手が目に付きますが、それらと絡めて建都〇〇周年と書かれた各都市の切手が目立ちます。
ソ連時代にはウズベキスタン独自の歴史があまり重要視されていなかった反動なのか、サマルカンド建都2750周年祭やタシケント建都2200周年祭といった祝賀イベントが独立後は大々的に行われてきました。そのときに発行された記念切手のようです。
町の建都〇〇周年を祝う記念切手もあれば、もちろん国の独立〇〇周年を祝う記念切手もあります。こちらは独立25周年記念切手で、独立後造られてタシケントを象徴する建造物となった巨大モスク「ミノールモスク」やサッカースタジアム「ブニョドコルスタジアム」、高速列車「アフラシャブ号」が描かれています。
まだまだ続く〇〇周年シリーズ、さらにはタシケント地下鉄30周年切手も。
タシケント地下鉄はソ連7番目の地下鉄かつ中央アジアで最初の地下鉄として、1977年に開業しました。鉄道ファン必見の切手ですね。
こちらは第二次世界大戦終戦65周年を記念する切手。ソ連側の名称では大祖国戦争と呼ばれる第二次大戦では、ウズベキスタンからも多くの兵士が出兵し、戦死者も多数出てしまいました。
切手シート上部にもロシア語とウズベク語で書かれていますが、ソ連の戦勝記念日である毎年5月9日は追憶の日として戦争犠牲者を追悼する祝日となっています。
男性5人が描かれたこの切手。ソ連時代の1970年に結成されたフォークロックバンド、ヤッラの結成50周年切手です。いちアーティストの記念切手が発行されるなんて日本ではありえないでしょう! …と思って調べてみたら、日本でも浜崎あゆみさんや矢沢永吉さんの記念切手が発行されていたそうです。知らなかった…
大人気バンドだったヤッラの曲はウズベキスタンはもちろん、ソ連でも親しまれていました。今でもテレビなどでときどき放送され、「チャイハナ」や「ウチュクドゥク」といった彼らの名曲は若いウズベク人でも知っています。中央アジアの風景が浮かんでくるようなメロディーの曲ばかりなので、ぜひ一度聴いてみてください。
そしてこちらはウズベキスタンサッカー100周年記念切手。帝政ロシア時代の1912年に、初めてこの地にサッカーが伝えられたといわれています。一番下の切手、民族衣装に身を包んだ男性たちが当時のサッカー選手でしょうか。
アジアの強豪国といわれながらまだワールドカップやオリンピックへの出場を果たしていないウズベキスタン代表。早く世界の大舞台でプレーする姿を見たいものです。
まるで図鑑を切り取ったような切手も多くあります。こちらはなんと馬の切手。中央アジアの馬といえばトルクメニスタンの「アハルテケ」という種類の馬が世界的に有名ですが、ウズベキスタンでもアハルテケ馬が飼育されており、そのなかでも代表的な馬が名前とともに描かれているようです。
また世界史を履修していた方なら覚えていらっしゃるかもしれませんが、中国の漢の時代に強くてよく走る馬「汗血馬」を手に入れるため、皇帝が中央アジアへ軍を派遣したという出来事がありました。この汗血馬がいた大宛という国は、現在のウズベキスタンのフェルガナ盆地にあった国とされています。古くからこの地には名馬が存在していたのです。
続いては民族楽器切手。弦楽器のドゥタールやタンブールやルバーブ、オーボエに似たスルナイ、筝のようなチャング、太鼓のドイラといった楽器が描かれています。
最後に、私が一番ウズベキスタンらしいと思った切手で締めましょう。なんと国内各地のナンを描いた切手です! タシケント、フェルガナ、コーカンド、サマルカンドのナンが描かれています。
これから分かるように、ナンはそれぞれの地域で形や味が異なり、意外と地域色が濃い食材。またウズベク人がほぼ毎食食べている主食ということもあり、ナンへの愛情や思い入れはひとしおでしょう。それが形になったのがこの切手なのです。
国や町からナンまで、あらゆるテーマの物事が描かれたウズベキスタンの切手。大げさに言えば、この国ご自慢の豊かな歴史や文化がこの小さいシートに凝縮しているといえます。ここで紹介した切手は全体のほんの一部なので、タシケントを訪れた際はぜひ中央郵便局に行ってお気に入りの切手を見つけてみましょう!