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フェルガナ盆地でマルギランと並ぶ伝統工芸が盛んな町といえばリシタン。ここは何を隠そう陶芸の町で、この地で採れる良質な赤土を原料にして天然の釉薬を使った、鮮やかなブルーのリシタン陶器は全国的に有名です。
以前はそれぞれの陶芸家の窯元が町のなかに点在していたとのことですが、去年(2021年)状況が一変しました。陶芸文化の維持、職人育成や雇用確保、そしてリシタン陶器の海外輸出拡大を目的として、町の中心にリシタン国際陶器センターという大規模な施設ができたのです。ウズベキスタン屈指の陶芸家アリシェル・ナジロフ氏の工房をはじめ、多くの有名職人さんの工房がこちらにあるとのこと。
さっそくこのセンターに見学に伺いました。
なかに入ると2階建ての建物が並んでいます。1階は工房やギャラリー、2階は職人さんの住居になっているとのこと。いろんな職人さんたちが同じ場所で作品を売ってたらライバルになるのでは…と勝手に心配してしまいましたが、みんな仲は良さそうで、ここでは商売敵という概念はないようです。
まだ本格稼動はしていないものの、外国人も泊まれるゲストハウスもこのなかにあり、旅行者はここに泊まりながら工房で陶芸体験ワークショップに参加できるようになるとのことです。まだまだ体験型ツーリズムが盛んではないウズベキスタンにおいては画期的なホテルといえるでしょう。
そして中庭には直径2mほどあろうかという巨大なお皿が…。
センター内の工房スペースは全部で20あるとのことで、いくつか見学してみます。
まず入った工房では、奥で女性が作業しており、快く見学させてくれました。今タイル画を描いているとのことで描画の様子を見せてくれます。
なんと真っ白の状態から、たったの数分でこの美しい模様ができあがりました! 何という技術…。
別の工房では、美しい装飾のお皿や花瓶がずらりと展示されていました。
この花瓶は水が循環していく仕組みのようで、形は全く違いますが日本のししおどしを連想させます。
そんな見事な作品が並ぶなか展示されていた、このかわいいタイル。10才ぐらいの子供が自分で描いた作品とのことです。
まるでプロ顔負けの素敵な作品…! ということで2枚購入すると、ありがたいことに1枚おまけしてくれました。将来立派な陶芸家さんになりますように!
ろくろ実演をやってくれる工房もありました。おもむろに粘土をつかんで回転盤に載せたかと思うとあっという間に陶器の形になり、ものの5分でこの状態。これこそプロの技!!
この職人さんの家系は代々陶芸家で、この方で5代目とのことでした。
こちらが陶器を焼く巨大窯。あまり想像したくはありませんが、余裕で20人ぐらい入れそうなサイズです。最高1000度の熱にまで達するとのことでした。
コロナ禍でなおかつオフシーズンだからなのか、あるいはこの国にありがちな見切り発車オープンをしてしまったのか、稼動している工房はあまり多くはなく数ヵ所見学しただけで終わってしまいましたが、目にも美しいリシタン焼きの数々や職人さんの神業を見ることができて大満足でした。再訪したときにはここに泊まり、じっくり陶芸体験に取り組んでみたいものです。
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!