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サローム(こんにちは)!
先月は、サマルカンドで春の祭典ナウルーズのイベントに参加するついでに別の町にも行っていました。それが、サマルカンドから南へ90kmのところに位置する、カシュカダリヤ州の町シャフリサーブス(シャフリサブス)。ペルシャ語で「緑の町」という意味を持つ古都で、サマルカンドから2時間ほどの距離にあり日帰り旅行にぴったりの町です。
今回は、カシュカダリヤ州の州都カルシから入ってシャフリサーブスに1泊、その後サマルカンドに抜ける、というルートをたどりました。
2000年に世界遺産に登録されたシャフリサーブスですが、この町を有名たらしめているのが誰あろう英雄アミール・ティムール。ウズベキスタンや中央アジアの歴史を語る上でまず一番に出てくるこの人物の出生地が、当時ケシュと呼ばれていたこの小さい町なのです。
町の中心には当然のごとくティムール像が立っています。タシケントのティムール像は馬に乗り、サマルカンドのティムール像は座っているのに対してこちらは直立不動。堂々とした出で立ちです。
1336年に生まれたティムールは、生まれ育ったこの町で勢力を伸ばした後、サマルカンドに移りティムール帝国を築きます。大国の君主となった後も故郷のことを忘れることなく、この町に巨大な宮殿や霊廟などを建造しました。それが現代まで残り、旅行者が見るべきスポットになっています。
ティムール像の背後にある壮大なアーチの残骸が、アク・サライ宮殿跡。アク・サライとは白い(または高貴な)宮殿という意味があります。現在のアーチの高さは38mですが完成当時は50m以上の高さがあったとのこと。しかしこのアーチを見るだけでも、当時いかほどに大規模の宮殿があったか想像できるもの。
シャフリサーブスの観光エリア一帯はきれいな公園として再開発されており、ティムール像とアク・サライ宮殿跡はその公園の北の端にあります。反対側の南の端にあるのが、いずれもモスクと霊廟の複合体であるドルッティロヴァット建築群とドルッサオダット建築群。ティムール像からここまで徒歩で30分ほどでしょうか。
ドルッティロヴァット建築群の中に入ると、右側に青いドームという意味のコク・グンバス・モスクと由緒ある泉が、そして左側にはふたつの霊廟が建っています。
奥にある霊廟はグンバズィ・サイーダン廟で、ティムールの孫で天文学者としても有名なウルグベクの子孫が眠っています。手前側の霊廟はシャイフ・シャムスッディン・クラル廟で、ここに葬られているのはティムールの父タラガイとその指導者シャイフ・シャムスッディン・クラル廟。
ドルッサオダット建築群はドルッティロヴァット建築群と公園を挟むようにして建っています。ここのハズラティ・イマーム・モスクはコク・グンバス・モスクと異なり、美しく彫刻された木の柱に支えられた高い天井を持つアイヴァン様式。その隣には、ティムールが若くして戦死した長男のために建てたとされるジャハンギール廟があります。
さらにここには、ティムール自身の墓石もあります。といっても正確にはティムールが葬られる予定だった墓石。彼自身ここに葬られることを望んでいましたが、実際はサマルカンドのグル・アミール廟に眠っています。彼は1405年の冬に現カザフスタン領のオトラルで亡くなりましたが、サマルカンドまでは遺体を運べたものの、そこからシャフリサーブスへの峠越えが積雪でできなかったためサマルカンドが永眠の地となった、という説があるそうです。
これら3つの観光地の入場料は各2万1000スム(2022年3月現在。同時期のレートで約210円)。ゆっくり見て回っても2~3時間ほどでしょう。
上述の通りこの観光地は整備された公園の中にありますが、2016年以前はここにバザールやマハッラ(ウズベク人の住宅街)がありました。実は私は2010年にもシャフリサーブスを訪問しているのですが、人々の生活の場と壮大な歴史建築群が同居した、何て素晴らしい町なんだ……という印象でした。
しかし2016年の町全体の再開発により、現在のような状態に。確かに旅行者にとっては観光しやすくなったものの、やはり再開発前の姿を知る者にとっては寂しさがぬぐえません。なおこの再開発の結果、世界遺産の景観に深刻な影響が及ぼされたとして、残念ながら危機遺産リストに入ってしまいました。
食事中に話を聞いたとあるレストランのスタッフは、今のほうが新しくていいじゃん! と言っており、同じ意見の住民が大多数なのかもしれませんが……。
最後にサマルカンドからの行き方のご紹介。アクセスは乗り合いタクシーとなり、レギスタン広場の向かい側の路地入口で運転手が客待ちをしています(旅行者が近づくとシャフリサーブス! と連呼してくるはず)。2022年3月現在の相場は、4人乗りの場合一人3万スム。
このタクシーはシャフリサーブスの隣町キトーブまでしか行かず、シャフリサーブスへはダマスと呼ばれる乗り合いバン(1人4000スム)で向かうことになります。KITOB・КИТОБ/SHAHRISABZ・ШАХРИСАБと前面に書かれたダマスが大量に走っているので、たやすく乗れるはずです。このダマスはシャフリサーブスのメインストリートであるイパク・イューリ通りを南北に走っており、シャフリサーブスからキトーブへ向かう場合も簡単に捕まえられます。
3人または4人で向かう場合は、サマルカンドのホテルでタクシーのチャーターを手配してもらうのが快適かもしれません。このルートはタフタカラチャ峠越えの眺望がすばらしいので、チャーターで向かう際はぜひ眺めのいい場所で写真タイムを設けてもらってください。またタンディール(窯)で羊肉を焼いた名物料理、タンディールカバブの屋台が峠道に多数出ているので、ぜひご賞味を。
なお私の個人ブログでは、詳しいアクセス方法や、この記事では載せられなかったホテルやレストランなどの観光情報を載せています。旅行計画を立てられている方はこちらもぜひご覧くださいませ!
カシュカダリヤ州(シャフリサーブスetc)・スルハンダリヤ州(テルメズetc)情報! – takumiの世界ふらふら街歩き
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!