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サローム(こんにちは)!
サマルカンドやブハラといった世界遺産都市に比べると見所に乏しいといわれるタシケントですが、その中でも旅行者の多くが立ち寄る場所といえばチョルスーバザールでしょう。旧市街に位置するこのマーケットは、大きいバザールだけでもいくつかあるタシケントの中で最大の市場。ありとあらゆる食料品が売られており市民の台所になっているほか、色鮮やかなスパイスにドライフルーツ、さまざまな大きさや形のナン、普段着から結婚衣装までのウズベク伝統服、陶器などのおみやげ物などなど、私たちがイメージするウズベキスタンらしいものすべてをここで買うことができる、まさにこの国最強のバザールなのです。東京でいうとアメ横と豊洲市場を一緒くたにして、さらにカオス度多めにした感じでしょうか。
そんなチョルスーバザールですが、とにかくデカい! あらゆる売り場をくまなくまわろうとすると、半日はゆうにかかります。人ごみの中をかき分けて心行くまま巡ってみるのもいいですが、どこに行けば何が売っているのか最低限知っておきたい……という方のために、旅行者必見エリアから用はないけど冷やかしに行ってみたいディープなゾーンまで、このバザールを徹底解説いたします。ぜひお楽しみくださいませ。
チョルスーバザールのアクセスはメトロ(地下鉄)が一般的。最寄り駅はその名もずばり、チョルスー駅です。ホーム両端に出口がありますが、東側(ガフル・グロム駅側)の出口から出てみましょう。すると……
いきなり目に広がるこの光景、そして売り手の大きな呼び込みの声やどこからか聞こえるウズポップスBGM。駅を出たその瞬間に本気度120%のバザールが広がっているのです。駅を出て左に進み、この野菜や果物露店ゾーンをくぐり抜けると、現れるのはザクロのモニュメントがある噴水。バザール散策する際はここをひとつのランドマークとしましょう。
タクシーやバスで向かう際は、バザール南側のナヴォイ大通りを進み、『地球の歩き方』にも載っている歴史建造物、クカルダシュ・メドレセ左側から入るとわかりやすいでしょう。ここから入ると、通路に沿って衣料売り場が延々と続きます。よくもまあ同じようなものを売っている店ばかりで商売になるのかな……と余計な心配をしてしまいますが、このスタイルがこの国では常識。
途中右に折れる通路があり、ここへ入ってみるとイスラム建築風のゲートが出現。
その向こうにあるのはやっぱり衣料売り場で、靴や帽子などもここで売っています。ときどき宝石売り場も。
先ほどの通路に沿って衣料売り場をまっすぐ進むと、地下鉄チョルスー駅の西側出口にたどり着きます。そう、どちらの駅出口を利用してもバザール真っ只中にひょっこり出ることができるのです。
さらに進むと屋内売り場が建つ高台が目の前に現れます。この高台に上らず、右方向へ高台に沿うように歩くと先ほどのザクロの噴水にたどり着きます。
高台へ上ってみると、やっと食料品エリアが出現します。弧を描くように細長く延びている高台の食料品エリアですが、南側から大まかに米などの穀物ゾーン、野菜・果物ゾーン、ケーキやハルヴァなどのお菓子ゾーン、ナン売り場に分かれており、その中にスパイス売り場や肉売り場、卵売り場、日用品売り場などが点在しているというイメージでしょうか。
この食料品エリアに囲まれるようにして建つのが、いかにもこのバザールの中心といった威圧感満点の、青いドームの屋内売り場です。
1階で売られているのはさまざまな肉、乳製品、お惣菜、はちみつなど。特にダン! ダン!と大きな音を立てて塊肉をぶった切っていたり、内臓やタンが丸ごと売られていたりする肉売り場のインパクトはすさまじいものがあります。
冒頭の写真は2階に上って撮影できます。ここにあるのはドライフルーツやナッツ売り場。どのバザールでも言えることなのですが、なぜかドライフルーツやナッツ売り場の売り手は他のどの売り場よりも圧が強めで、商品をガンガン売りつけてきます。試食も快くさせてくれるので、買う際は彼らのプレッシャーに怯えることなくじっくり選んで買いましょう。
先ほどの高台の食料品エリアに戻り、北端のナン売り場を抜けるとバザールの北側入口に出ます。地図でいうとSakichmon通り、Zarkaynar通り、Farobi通りが3つに交わるところ。
この入口を入ったところには大きな広場があり、ときどき綱渡りなど見世物が開催されています。さらに行くと礼拝用じゅうたんやムスリム用の数珠タスビーフなど、宗教用品を売るゾーンに。そこを過ぎると、空腹時にはたまらない食堂街です!
プロフやシャシリク、ラグマン、馬肉料理ノリンなどがここで食べられる代表料理で、店頭で注文すると奥の席に案内してくれます。ランチ時には売り手や地元の買い物客でにぎわい雰囲気も最高。シャシリクとともにキンキンのビールを……といきたいところですが、残念ながらここではアルコール類は提供していません。
この食堂街を抜けると、先述のザクロの噴水に着きます。
まだまだ広いチョルスーバザール。チョルスー駅西側出口のさらに西にも行ってみましょう。まず現れるのは陶器やじゅうたんといった、伝統工芸や土産物の売り場。当然ながら観光客には吹っかけてくる店主もいるので、買い物の際はご注意を。ウズベク陶器や食器をたくさん買う予定で、時間に余裕のある方は先日紹介したチンネバザール(8. かわいいウズベキスタン陶器よりどりみどり!食器市場チンネバザール)に行くのもおすすめです。
そこを抜けるとふたつの大きな半屋内売り場があります。ひとつはウズベク民族衣装ゾーンで、色鮮やかな伝統絣模様のアトラス柄ドレスや、黒地に金色の刺繍が美しい上着チョポンなどに目を惹かれるでしょう。
もうひとつが植物コーナーで、花や草木が売られています。自分の背丈よりずっと高い苗木を平然と買って持ち帰るお客もよくいます。
最後に紹介したいのが、木工職人街と呼ぶのがぴったりなコーナー。Sakichmon通り沿いにずらりと連なっており、青ドーム屋内売り場の西側出口や、民族衣装ゾーンから道路を横断するとたどり着きます。
木の香りが鼻孔をくすぐるこのゾーンでは、家具やドゥタールなどの民族楽器がその場で作られています。中でも目につくのが、ウズベク語でベシックと呼ばれるゆりかご。子供が多いこの国では昔からゆりかごがとても身近なもので、知る人ぞ知る注目すべきウズベキスタンの伝統工芸品だと思います(おみやげで持って帰るにはちょっと厳しいですが……)。
また台所用品や調理用具も豊富に売られており、日本に帰って本気のウズベク料理を作りたいならここで色々揃えたいところ。中でも美しいナンの模様を付けるためのスタンプ、チェキチはお土産にもおすすめです。
なおチョルスーバザールでの注意点ですが、特に土日はすさまじい混み具合になることもあるのでスリにはご用心。またダラー、チェンジ?と闇両替商から時折声をかけられますが、先日の記事(24. お得なのは両替?ATM?タシケントのお金調達方法を徹底調査【2022年最新情報】)で書いたとおり現在この国では闇両替は百害あって一理なしなので、絶対に応じないようにしましょう。バザール周辺にいくつか銀行やATMがあるので、買い物しすぎて現地通貨がなくなった場合はそちらでお金の調達を。
また、『地球の歩き方Plat ウズベキスタン』ではチョルスーバザールが地図つきで紹介されており、バザール散策のお供に最適なガイドブックです。この記事と合わせてぜひ参考にされて、ぜひバザールを歩き尽くしてくださいね。あと写真を2、30枚はお見せしたいほど魅力あふれる市場なので……。
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!