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2022年5月9日に東鉄線(East Rail Line)が延伸したというのをお伝えしましたが、同じように東鉄線を利用して紅磡(Hung Hom)と広州東(Guangzhoudong)など中国本土を結んでいた「港鐵城際直通車(MTR Intercity Through Train)」が廃止されることが決まったようです。立法会で交通関係のルールを決める交通事務委員会の田北辰(Michael Tien)委員が明らかにしました。
運行停止で誰もいない紅磡駅の受付
代わりに西九龍駅(West Kowloon Station)から広州南駅(Guanzhounan Station)を48分で結ぶ高速鉄道に集約させ、さらに2023年を目途に広州東駅まで延伸させるとしています。ただ、日系企業は広東省の東莞というところに多くの工場を構えていて、最寄り駅は常平(Changping)というところです。高速鉄道では立ち寄らないことから、工場街へのアクセスが悪くなってしまうと懸念している会社も少なくないようです。
「城際直通車(離港)」の標識がなくなりそうです
歴史をたどると、高速鉄道ができる前までは香港と中国を結ぶ路線は、「九広鉄路(KCR)」とも言われたこの路線が基本でした。香港の最高級ホテルである半島酒店(ザ・ペニンシュラ)はこの列車の乗客を狙って建設されたという経緯があるほどです。広州東行きがメイン路線でしたが、北京行きと上海行の長距離列車も走っていて鉄道ファンなら乗ってみたい路線も運行されていました。
ただ、高速鉄道の開通により利用客が減少していたのと、新型コロナウイルスの影響で長らく運休中です。交通事務委員会としては一定の役割を終えたとして、このまま運行を再開せず廃止する方向で審議を進めています。今後、委員会で採決し、通過すれば正式に廃止のアナウンスメントが行われる予定です。新型コロナの話は別として、直通車がなくなるのは、日本は鉄道の高速化によってブルートレインが徐々になくなっていった経緯を思い出させるので、一抹の悲しさと時代の流れを感じざるを得ません。