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46. 「人間以外何でも売ってる」タシケントの巨大のみの市、ヤンギアバッドバザール探検!

伊藤 卓巳

伊藤 卓巳

ウズベキスタン特派員

更新日
2022年5月28日
公開日
2022年5月28日
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サローム(こんにちは)!

チョルスーバザールやアライバザールなど、シルクロードの国らしくとにかく大規模な市場があちこちにあるのがタシケントの町の特徴ということは、これまでの記事で何度かお伝えしてきました。しかし、そのような市場とは一線を画し、異彩を放っているバザールがあるのです。

その名はヤンギアバッドバザール。この市場はひとことで言うと蚤の市や古物市、フリーマーケット(ロシア語で「バラホルカ」)なのですが、とにかく巨大かつ混沌としているバザールなのです。私は誰かを案内するときには「夢とロマンが詰まった最凶カオスバザール」と説明しています。ウズベク人の友人にいたっては、「人間以外何でも売ってる」とまで言っています(笑)

こちらがこのバザールを象徴する一枚。

チェス台、木工細工、ヤカン、タイヤのホイール、テニスのラケット、服etc……が同じ売り場で売られています。この理解不能な商品ラインアップ、そしてそれらが一貫性なくごちゃまぜに売られているのがこのヤンギアバッドバザールの魅力(?)なのです。

私が初めてヤンギアバッドバザールを訪れたのは約2年半前。そのときの衝撃が忘れられず、それ以来ここに何度も通っています。とはいえあまりにも広く迷路のようなバザールなので、数回通っただけでは市場全体の把握などできず、行くたびに必ず新しい発見があるのです。この記事ひとつでこのバザールをひととおり説明するのもとうてい無理な話なのですが、ぜひ見ていただきたい売り場を中心にほんの一部だけ紹介しましょう。

ここではほかの市場では売っていない物だらけで、特に買い物の用事がなくてもぶらぶら歩くだけで楽しいのですが、まずおすすめな売り場が調理器具や食器。カザンと呼ばれるプロフ用の大鍋が地面にゴロゴロ転がっていたり、

ソ連時代に作られた鋳物製鍋や、かなりの年代物と思われるサモワール(ロシア特有の湯沸かし機)が平然と売られていたりします。

そしてファンやコレクターが多いソビエト・チェコスロバキア製などの食器もこんなにたくさん。

しかも日本で買おうとするとなかなか手が出ないこれらの食器が、驚くほど安価で買えてしまうのです。ソビエト製ティーセット一式を買ってみると、なんと日本円で500円ほどでした……。売り手はどこにでもいるようなおじさんやおばさんなのですが、どうやってこんな貴重な食器たちを入手して売っているのでしょうか? 圧が強い普通の市場の売り手と違って商売っ気もあまりなさそうで、趣味半分でこのような品を集めて売っているのかもしれません。

こちらはレトロな古時計専門売り場。ここも趣味で時計を集めているであろう、人のよさそうなおじさんが開いていました。壁掛け時計からジリリリリと音がするザ・目覚まし時計、かっこいい懐中時計までラインアップは幅広く、そして安いものは日本円で500円ほどとやはり激安。おじさん、もっと高くしても絶対売れますよ……。

骨董品収集が好きな方ならこの売り場たちを見るだけでも楽しいでしょうが、アンティーク専門の屋内売り場もあるのです。入口にロシア語とウズベク語でアンティークを意味するАНТИКВАР/ANTIKVAR(アンティクヴァル)という看板がかかっており、わからなければ周りの人に聞けば教えてくれるはず。薄暗く怪しい雰囲気なので入るのにちょっと勇気がいりますが、一度入ってみると……

アンティーク食器がずらり! しかもソビエト製どころか帝政ロシア製、つまり100年以上前の食器や陶器もここで売られているのです! さすがにこれほど古いものとなると日本円でウン万円もしますが……。

貴重なキエフ・ライプツィヒ友好都市提携記念皿。どこで手に入れたんだ……

さらに進むと刺繍スザニやアンティークカメラ、スターリンの胸像、ソ連時代のものと思われる軍用品など、とにかく古いものなら何でも売りまくっているゾーンに。ここまで来るとカオスという言葉がふさわしく、ヤンギアバッドバザールが本気出してきた感があります。

ソビエトルーブル札の札束!
コレクターにはたまらない、よりどりみどりのソ連時代のバッジ

屋外売り場も、奥に行けば行くほどディープでシュールになっていきます。こちらは古本売り場……ですが、あらゆるジャンルの本があちこち散らかっていて困惑すること間違いなし。しかしながらここの店主はあらゆる国の古本や歴史本を集めることに情熱を燃やすエネルギッシュなおじさんで、本についてのあらゆる情報を教えてくれます。中央アジアの遺跡や伝統工芸について書かれた日本語の古本があったので購入しましたが、おじさんの家にはさらにたくさんの本があるそうで、頼めばどんな本でも持ってきてくれそうでした。

こちらは鳥・小動物売り場。写真に写っているニワトリやアヒル以外でも、インコやカナリア、ウサギ、ハリネズミ、ハムスターなどなどが売られています。さらに犬猫売り場もあるそうですが、何となく見るのが怖くてまだ行っていません……。

車のステッカー売り場。HONDA、ではなくHOИDAやアディダスなどの謎ステッカーがあるほか、タクシーの行灯も売っています。車の上にのせれば即席タクシーが一瞬で出来上がりです(笑)

ここでは公共料金などの支払い機PAYNET……の看板だけ売っています。買う人いるのだろうか……と思ってしまいますが、このような品に出合うたびにそう心の中で突っ込むのがヤンギアバッドバザールの楽しみ方のひとつ。

バザールは東西に長く、正式な入口は道路に面した東側にありますが、西側は線路と面しており、貨車の荷下ろし場になっています。そして線路脇では何と露店で野菜や果物を売っています。どこで何を売っているのか、まったく想像もつかないのがヤンギアバッドバザールなのです。
線路に立ち入ってもとがめられませんが、ひかれないよう十分ご注意を。

なおバザールの営業日は水曜、土曜、日曜。アンティーク売り場などは土日しか開いていないので、ぜひ週末に行ってみてください。
また混雑時はスリなどにご注意。外国人はほぼいない空間で、観光客はまわりから浮くこと必至なので、できれば現地人ガイドなどと一緒に行くのがいいでしょう。骨董品雑貨や古本を買う際は、50年以上前に作られたものは国外持ち出し禁止ということになっているのでご注意を(お店の人に尋ねるのが確実です)。

私の個人ブログでは、この記事で紹介できなかったヤンギアバッドバザールの売り場紹介や市場内の地図、写真などを載せています。ご興味を持たれた方はぜひあわせてご覧ください。
タシケントののみの市ヤンギアバッドバザール攻略情報!ウズベキスタン最凶バザールを徹底解説 – takumiの世界ふらふら街歩き

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

■ヤンギアバッドバザールYangiobodbozori

住所
1KuyiTalarikko’chasi,Toshkent
営業日
水・土・日曜(土日が最もにぎわう)
アクセス
地下鉄6-bekat駅から北方向へ徒歩約5分、またはチョルスーバザールやティムール広場近くなどを通る155番バスが停まるYangiobodulgurjibozorバス停下車すぐ※Googleマップ検索などでは同名のショッピングモールが出てくることがあるが、このバザールとはまったく別物なので注意
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