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みなさま、サワディーカー。
コロナ前、タイ・バンコクにおける夜の観光といえば、「ニューハーフ・ショー」が選択肢に上がることが多くありました。LGBTQ+に対して寛容なタイでは、現在プライド月間※を祝福するイベントがあちこちで開催されています。今回はその様子を一部お伝えします。
「ニューハーフ」は和製英語で、男性として生まれた人が人為的に女性の風貌で暮らし、そのことを公にして働く人の呼び名で使われる造語です。タイでは、2010年から2012年の間運行していた航空会社「PC Air」が世界で初めて、ニューハーフの客室乗務員を4名採用するなど、ニューハーフが多く存在し、タイは、LGBTQ+に対して比較的寛容な国のひとつだと言えるでしょう。タイに「ニューハーフ」が多い理由は、タイでは、成人になる前、男子に義務化されている「出家」と「徴兵制」というふたつの儀式があることが関係しているのではないかといわれています。また、性転換手術の件数も多く、海外からも手術希望者が来ているようです。
6月は「プライド月間(Pride Month)」として、世界各地で、ジェンダーやセクシュアリティの多様性を祝福し、LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどの性的少数者ら)の権利を啓発する活動・イベントが実施されています。
タイ・バンコクにおいても、たくさんの関連イベントが開催されています(https://www.lifestyleasia.com/bk/culture/events/pride-month-2022-events-in-bangkok/参照)。2022年6月3日に、W ホテル バンコク (W Bangkok)でタイにおけるLGBTQ+についてのパネルディスカッションが開催されたり、2022年6月5日に、バンコク・シーロム通りでプライド・パレード「Bangkok Naruemit Pride 2022」が開催され、ニュースで見た方もいるでしょう。
LGBTQ+のLGBTのLはLesbian(レズビアン、女性同性愛者)、GはGay(ゲイ、主に男性同性愛者、同性愛者全般を指す場合も有)、BはBisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、TはTransgender(トランスジェンダー、心と体の性の不一致、生まれもっての性別と自己認識の性別が一致しない、あるいは生まれつきの性に囚われない生き方を選ぶ人など)の頭文字をとった総称で、「性的少数者」や「セクシャルマイノリティ」とも言われます。
最近は、LGBTにQ+がついたLGBTQ+という表記も見られるようになりました。QはQuestioning(クエスチョニング)、QはQueer(クィア)という2つの言葉の頭文字をとっており、クエスチョニングとは、自分の性別をどのように認識しているか、どの性別の人に恋愛感情や性的関心を抱くのか決まっていない、分からない人などを表す言葉です。クイアは、元々、同性愛者への侮蔑語で使われていたようですが、同性愛者自らが使うようにもなっているようです。
「LGBT」ではなく「LGBTQ+」と表現することで、その他のセクシュアルマイノリティの人たちに対しての配慮も示すことに繋がると考えられています。+はその他にも様々なセクシュアリティがあることを示すためにつけられています。「LGBTQ+」だと公表することで、「LGBTQ+」と思われることを嫌ってカミングアウトしない人もいます。多様な性のあり方についての考え方や価値観には個人差があるという認識から生まれた言葉なのでしょう。
プライド月間になり、タイ・バンコクでは、LINEアカウントのプロフィールが虹色になっている企業アカウントもあります。ショッピングモール前も虹色カラーの演出になっているところがあり、連日、多くの人で賑わっています。プライド月間になり、インスタグラムで、そこで撮った写真に、#prideparade、#pridemonth、#pride、#pride2022、#lgbtqのタグをつけて投稿している人も少なくありません。
△▽BTSサイアム駅下車すぐの百貨店「Siam Paragon」前
BTSサイアム駅下車すぐの百貨店「Siam Paragon」(https://www.siamparagon.co.th/)前に虹色のラインが引かれ、連日、写真撮影スポットになっており、多くの人で賑わっています。
また、MRT(地下鉄)サムヤーン駅直結のショッピングセンター「Samyan Mitrtown」(https://www.samyan-mitrtown.com/)前にも虹色のラインが引かれ、虹色の風船などが配置されて、多くの人が写真撮影を楽しむスポットになっており、SNSでの投稿も多くなっています。「Samyan Mitrtown」のインスタグラムのページ(https://www.instagram.com/samyanmitrtown/)を見ると、どのあたりに虹の色が見られるかある程度分かるので、興味のある方は、事前にチェックしておくと良いと思います。このラインに合わせた服装をして写真撮影をしているタイ人もいます。
△地下鉄サムヤーン駅からショッピングモール「Sammit Mitrtown」へ通じる地下道
△地下鉄サムヤーン駅直結のショッピングモール「Sammit Mitrtown」前
プライド月間のイベントでよく見られる虹は、コミュニティーによって異なるとしながらも、現在は6色が主流のよう。私がバンコクで目にする6色の虹色の内赤はLife(ライフ、生活)、オレンジはHealing(癒し)、 黄色はSunlight(太陽の光)、緑はNature(自然)、青色はHarmonyハーモニー(調和)、紫色はSprit(精神)。集まってくる人の中には、洋服も虹色カラーの人がいて、プライド月間に見られる人々のDIY精神や誇り(プライド)も感じられます。
以上、2022年6月にタイ・バンコク都内で見られるプライド月間の様子です。このイベントを通して社会全体が、男女平等や多様性の尊重、性的少数者の権利を保障することについて考えるきっかけになればと願います。