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サローム(こんにちは)!
私が海外渡航の度に集めているのが各国のお金。どこの紙幣やコインもその国を象徴するものが描かれており、手軽にゲットできかつお国柄が出やすい、隠れた優良お土産なのです。特に紙幣に関しては、どの国のお札も絵柄が凝っていたりカラフルだったりと見栄えが良く、ときどき今までゲットしたお札を並べてずっと眺めてニヤニヤしています(笑)
またお店などで買う一般のお土産とは異なり、今まで幾人の現地の人たちの手に渡って使われてきたあと最後に自分の手元にたどり着いたのだ。。と思うとなぜかワクワクしてしまうのです。
今までは旅行でもできるだけ多くの種類のお金を持って帰って保存していましたが、ウズベキスタンではせっかく住むのだから現在流通していない昔のお金も含めて全種類の紙幣と硬貨を集めなければ…とガチ収集に燃えていました。この偉業(?)を見事達成したので、写真とともに徹底紹介しましょう。
なおウズベキスタンの通貨の名前は「スム(so'm)」。2022年9月現在のレートは、1000スム=約13円となります。以前はスム表記の金額から日本円に換算するときはほぼ下2桁を取るだけでよく、計算が簡単だったのですが(例:28000スム=約280円)、最近進んでいる円安のせいで計算も複雑になってしまいました…。
まずは紙幣から。独立以後発行されている紙幣は33種類で、発行年やデザインによって4シリーズに分けられます。
独立直後の1992年から発行されたもので、凝った図柄にする時間がなかったのか、簡素かつ色以外は全種類同じデザイン。これはクーポンだったと言っていた現地人もおり、兌換券のような扱いだったのかもしれません。
表の図柄は国章のみ。裏の図柄はサマルカンドのレギスタン広場内の神学校シェルドル・メドレセ。
3スムという中途半端な単位がありますが、ソビエトルーブルにもあり、現在でもタジキスタン・ソモニとキルギス・スムにもあるのでこの地域のお家芸なのかもしれません。
なおこれらの紙幣は全て現在使用不可となっています。
第1シリーズの2年後、1994年から発行された紙幣たち。さすがに独立から3年ということもあり、なかなか凝ったデザインがなされています。色合いが極端な現在の紙幣と違い渋い色合いで、この国らしいタイル装飾や唐草模様のようなデザインも見られ、そして裏にはこの国が誇る歴史建築物がずらり。スム紙幣の中では私が一番好きなシリーズです。
それぞれの図柄は下記の通り。
1スム紙幣…表:国章、裏:ナヴォイ劇場(タシケント)
3スム紙幣…表:国章、裏:チャシュマ・アイユブ廟(ブハラ)
5スム紙幣…表:国章、裏:ナヴォイ像(タシケント)
10スム紙幣…表:国章、裏:グリ・アミール廟(サマルカンド)
25スム紙幣…表:国章、裏:シャーヒズィンダ廟(サマルカンド)
50スム紙幣…表:国章、裏:レギスタン広場(サマルカンド)
100スム紙幣…表:国章、裏:人民友好宮殿(タシケント)
これらの紙幣も全て現在使用不可。後述の通り、現在50スムと100スムは硬貨があり、それ以外の単位は切り捨てられています。
インフレに伴い、1997年に200スム紙幣が、1999年に500スム紙幣が、2001年に1000スム紙幣が発行。それから12年間新紙幣の発行はありませんでしたが、2013年に5000スム紙幣が発行されると以後次々と高額紙幣ができ、2019年には10万スム紙幣も発行。色合いもどんどんカラフルになっていき、裏の図柄は独立後建てられた現代建築物が目立ちます。
それぞれの図柄は下記の通り。
200スム紙幣…表:国章、裏:シェルドル・メドレセに描かれた虎の絵(サマルカンド)
500スム紙幣…表:国章、裏:ティムール像(タシケント)
1000スム紙幣…表:国章、裏:ティムール博物館(サマルカンド)
5000スム紙幣…表:国章、裏:国民議会議事堂(タシケント)
1万スム紙幣…表:国章、裏:国民議会上院(タシケント)
5万スム紙幣…表:独立広場モニュメント、裏:国際会議場(タシケント)
10万スム紙幣…表:ミルゾ・ウルグベク像、裏:ウルグベク天文台(サマルカンド)
なお最高額紙幣が長らく1000スム紙幣だった時代は、日本円にして数十円足らずの紙幣を何十枚も持ち歩くことになり、お金が財布に入りきらずかばんやリュックの中に札束をゴロゴロ入れていたのが普通の光景。当時の旅行者の間ではウズベキスタン=お金を数えるのがめんどくさい札束地獄の国、というイメージでした。私も当時旅行したことがありますが、バックパッカーたちと札束を見せ合ったり、富豪ごっこをしたりしたものです。あのときと比べると本当に支払いが楽になり、当時の100倍もの額面の紙幣が出たなんて…と隔世の感があります。
その反面、200スム紙幣と500スム紙幣は同じ単位の硬貨が登場したため最近使用不可に。1000スム紙幣も近いうちに硬貨に取って代わられる予定になっています。
今まであまり紙幣を出してこなかった反動なのか、貨幣発行銀行のウズベキスタン中央銀行が大ハッスルし、なんと2021~2022年の約1年で7種類もの新紙幣が発行。最高額紙幣はついに20万スム札になりました。といってもこれでも日本円で2600円ぐらいですが…。
以前は国章だけ描かれていることが多かった表の図柄ですが、このシリーズでは下記の通りメインの図柄が各紙幣で異なります。小さく国章が載っているほか、古代シルクロードが書かれたウズベキスタン国土の地図とこの国伝統の布生地アトラス柄が背景になっているおしゃれデザインなのは共通。裏の図柄はなぜかひたすら遺跡とそこの出土品になっています。表裏の図柄は同じ地域の名所で統一されており、今まではなかったタシケント、サマルカンド、ブハラの以外の名所が続々登場して地域性が考慮されているようです。
2000スム紙幣…表:アルク城、裏:ポイケント遺跡(ブハラ)
5000スム紙幣…表:シェルドル・メドレセ、裏:アフラシヤブ遺跡(サマルカンド)
1万スム紙幣…表:クカルダシュ・メドレセ、裏:ショシュテパ遺跡(タシケント)
2万スム紙幣…表:コイクリルガン・カラ遺跡、裏:ジョンボス・カラ遺跡(カラカルパクスタン共和国)
5万スム紙幣…表:アルハキム・アッテルミズィー廟、裏:ファヤズテパ遺跡(テルメズ)
10万スム紙幣…表:イチャンカラ、裏:アンカ・カラ遺跡(ヒヴァ/ホラズム地方)
20万スム紙幣…表:フダヤル・ハン宮殿、裏:アフシケント遺跡(コーカンド/フェルガナ盆地)
メジャーな観光地からマイナーな遺跡まで、ウズベキスタンのありとあらゆる見どころが描かれたスム紙幣。時間に余裕があれば、紙幣の図柄めぐりをしてもおもしろいかもしれません。
続いて硬貨の紹介。独立直後はティーンという補助通貨があり、また私が購入した硬貨の中にはシャフリサーブス建都2700周年記念50スム硬貨やタシケント建都2200周年記念100スム硬貨といった記念硬貨も含まれていました。現在流通しているのは、50、100、200、500スム硬貨のみ。100スム硬貨の図柄は独立広場モニュメント、200スム硬貨のはシェルドル・メドレセに描かれた虎の絵、500スム硬貨のは国際会議場となっています。裏の図柄は例外なく全て国章。
しかしウズベク人はコインを扱うのがあまりお好きではないようで、10年前に旅行した際は当時流通していたはずの硬貨は全く見かけなかったですし、現在もタクシーなどでは1000スム未満を四捨五入して支払うことが多いです。500スム硬貨2つをテープでぐるぐる巻きにした、人工1000スム硬貨(?)を見かけることも。上述の通り今後正真正銘の1000スム硬貨が登場する予定なので、さらにコインを扱う機会が増えることになるのですが…。
なおすでに流通が終わっている古い貨幣は、のみの市ヤンギアバッドバザール(46. 「人間以外何でも売ってる」巨大のみの市、ヤンギアバッドバザール探検!)のアンティーク売り場や古本露店街(25. タシケントど真ん中の古本露店街は市民が集まる憩いのエリア)、歩行者天国ブロードウェイの露店などで購入可能。昔の紙幣は1枚3000スム~1万スム、コインは全種類セットで5万スムほどが相場のようです。
特にヤンギアバッドバザールではスム紙幣・硬貨のみならず、ソビエトルーブルの札束から帝政ロシアルーブルやブハラ・ハン国の紙幣、さらには聖徳太子の図柄の日本の軍票なども売られています。ここまで手を出してしまうともう歯止めが効かなくなってしまうでしょう。そう、貨幣収集という趣味は底が見えない沼のようなものなのです。
旅の思い出用に余ったお金をさらっと持ち帰るのもよし、沼にはまるの覚悟でガチ収集に精を出すのもよし。ウズベキスタンを旅する際はぜひぜひお札やコインにも注目してくださいね。
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!
参考ウェブサイト:
https://cbu.uz/en/banknotes-coins/