• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

香港の名監督7人によるオムニバス映画『七人楽隊』

武田 信晃

武田 信晃

香港特派員

更新日
2022年10月15日
公開日
2022年10月15日
AD

この映画に名前を連ねている監督名を知った時、一言で言えば「びっくりした」というのが正直な感想です。ツイ・ハーク、アン・ホイ、ジョニー・トーなどの監督7人によるオムニバス映画『七人楽隊(Septet: The Story of Hong Kong)』が10月7日から新宿武蔵野館で上映中。今後、全国で順次公開される予定です。

『七人楽隊』はジョニー・トー監督 のプロデュースで 、 現在香港で活躍している 7人の監督が集まり、1950 年代から未来までを描いたオムニバス映画です。担当する年代はクジで決めたというのも面白いですね。フィルム時代に敬意を表し、全編35mmフィルムで撮影されています。

作品ですが、『燃えよデブゴン』シリーズで知られるサモ・ハン監督が、1950 年代、懸命にカンフーの稽古に励んだ幼少期の自分とその仲間を描く自伝的エピソードである『稽古』を製作しました。貧しかった1950年代の香港を知ることもできます。女性監督として世界で初めてヴェネチア国際映画祭生涯功労賞の金獅子賞を受賞したアン・ホイ。数々の名作を生み出してきた彼女が手掛けたのが『校長先生』。教育に生涯を捧げる校長先生 、彼を慕う女性教師、そして、かつての教え子たちを描いています。

稽古

2007年に『父子』で香港電影金像奨の最優秀作品賞などを獲得したパトリック・タム 監督の作品は、外国への移住を控えた恋人たちの別れを描いた『別れの夜』です。香港は外国に移住・移民する人が多いのである意味で、香港の日常風景とも言えます。ジャッキー・チェンの映画『酔拳』のほか、『マトリックス』のアクション監督としても世界的に知られるユエン・ウーピンが作ったのは、香港を離れる 孫と香港に残る祖父をユーモラスを交えてながら温かな 交流 を描く『回帰』だ。こちらも外国を絡めた別離という香港ならではのストーリーとなっている。『七人楽隊』の中心人物であるジョニー・トーは、株や不動産などへの投資でお金持ちになることを目指している男女3人が株価に翻弄される姿を描く『ぼろ儲け』。"お金を稼ぐ街、香港"の一面を巧みに表現しています。

別れの夜

『友よ風の彼方に』で知られるリンゴ・ラム監督 が、がらりと変化した街並みなどに翻弄される男を主人公にした『道に迷う』を製作。 本作が遺作となりました。「深い会話」は、ワイヤー・アクションやSFX面などの革新者で、今でも意欲的に映画製作を続けるツイ・ハ―ク監督が作りました。精神病棟を舞台に医師と患者のやり取りを描く。そのやり取りを隣部屋から見ている別の2人の男性も併せて描いているのですが、映画を観ている私たちも患者と医師の会話に引き込まれていくことでしょう。

道に迷う

『七人楽隊』は、香港映画界がより良くなって欲しいと願って作られた映画でもあるので、ぜひ観賞してみてください。

配給:武蔵野エンタテインメント株式会社

(c)2021 Media Asia Film Production Limited All Rights Reserved

トップへ戻る

TOP