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ボルチモア港(Port of Baltimore)は貨物、クレーン船や大型客船が停泊するエリア、ヨットハーバーエリアを含め、昔も今もボルチモアの産業に不可欠な交通、流通の要です。海側から見て最も奥まった位置にあるインナーハーバー(Inner Harbor)は、コンパクトな空間ながらボルチモアの過去と現在のさまざまな建造物や史跡が混在しており、ボルチモア市内で最も見所が集中している場所です。歴史的史跡のひとつで、インナーハーバーの景色が一望できるフェデラルヒル(Federal Hill)を紹介します。
フェデラルヒル(Federal Hill)は、ダウンタウン側(インナーハーバーの北側)から見ると、ほぼ正面に見える、台形の芝生丘です。科学博物館やラッシュ・フィールド・パークに隣接しているため、インナーハーバーから徒歩で行けます。この丘の土地の所有者に関する歴史は17世紀半ばまでさかのぼり、アメリカ独立戦争の頃にはすでに集会場としての役割があり、18世紀後半には入港する船の監視所として整備されるなど、意外なほど長い歴史が刻まれています。「フェデラルヒル」という名称は、1788年アメリカ合衆国憲法の批准を祝って名付けられました。1970年4月に国家歴史登録財National Register of Historic Placesに登録されています。
頂上にあがるにはまっすぐに伸びた階段を利用します。また、中腹に丘を一周できるスロープがあります。頂上エリアは平らな四角い広場が広がっています。大きな星条旗がはためく掲揚台や小さな児童遊園があり、インナーハーバーが一望でき、夜景も大いに楽しめそうです。
現在は閑静な住宅街や美術館、カフェなどに囲まれ、地元の人々の憩いの場所として親しまれていますが、19世紀にはふたつの戦争に関係しています。それを示すものは、港に向けて置かれたレプリカの砲台、米英戦争で活躍したサミュエル・スミス少将の銅像とジョージ・アミスタッド大佐の記念碑、そして南北戦争時の史跡説明板です。
1812年~1815年の米英戦争では、ボルチモアに侵攻しようとする英軍の進路をこの丘から阻み、さらに1861年~1865年の南北戦争では北軍の要塞として使われました。現在ののどかな景色からはここがかつて戦闘の前線にあった場所とは想像がつきにくいです。