• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

【アメリカ・東海岸】大西洋岸の半島イースタンショア・19世紀の灯台と20世紀の国防遺跡

ベスト加島 聡子

ベスト加島 聡子

アメリカ・メリーランド州特派員

更新日
2022年12月6日
公開日
2022年6月26日
AD

メリーランド州東端にあるデルマルヴァ半島Delmalva Peninsula。この半島は、北部はデラウェア州Delaware、中央部がメリーランド州Maryland、そして南部がバージニア州Virginiaに地続きながらそれぞれ属し、その3つの州を組み合わせた名前なっています。別名イースタンショアEastern Shoreとも呼ばれ、メリーランド州の保養地で知られるオーシャンシティOcean Cityは、南北10マイル(約16km)に真っすぐ伸びる美しい白い砂浜があり、古くからワシントンDCやニューヨーク方面からの観光客で賑わう保養地として知られています。

今回はオーシャンシティOcean City近郊にある、ユニークな史跡を2ヵ所ご紹介します。

オーシャンシティエリアの海岸線

メリーランド州とペンシルバニア州を東西に分ける州境、また、デルマルヴァ半島内でデラウェア州とメリーランド州の南北に引かれた直線状の州境は、メイソン=ディクソン・ライン Mason-Dixon Lineと呼ばれ、かつて<北部州と南部州>を分けた境界線として知られています。

さらに半島の中央部にあるメイソン=ディクソン・ラインの南端から大西洋岸に向けて東西に引かれた、メリーランド州とデラウェア州の直線状の州境を半島横断線 Transpeninsular Lineといい、その半島横断線の東端に位置するのがフェンウィック島Fenwick Islandです。

自家用ボートが停泊できる運河も整備され、保養地として古くから人気がある

■州境に立つフェンウィック・アイランド灯台

フェンウィック島は、名前は「島」ですが、実際は平たい土地で、陸続きになっているオーシャンシティと同様に、夏の保養地として賑わいを見せています。

低層の別荘が立ち並ぶ一角に、フェンウィック・アイランド灯台 Fenwick Island Lighthouseがあります。灯台は1859年8月に完成。2022年現在、築163年になります。海岸線から少し離れたような位置ですが、かつては船の往来の安全管理に重要な役割を果たしていたそうです。

フェンウィック・アイランド灯台

デラウェア州とメリーランド州の州境(半島横断線)に位置しているこの灯台は、レンガ造りで高さが87フィート(約26.5m)あります。円柱の灯台のひざ元には二軒の灯台守の家も保存されています。1978年にいったん灯台の機能を停止しましたが、地元の保全活動により1982年から灯台の明かりが再点灯され、現在も毎晩稼働しています。現在は連邦政府の歴史的建造物として登録されています。

フェンウィック・アイランド灯台(TheFenwickIslandLighthouse)
住所
103146thStreet,OceanCity,Maryland21842
開館時間
2022年は5月末~9月末の期間限定公開。※雨天の場合公開中止7月~8月:木~月曜・午前9時~正午9月:金~日・午前9時~正午
入場料
無料
URL
https://fenwickislandlighthouse.org/

■使われなかった第二次大戦用の監視塔遺跡

フェンウィック島から大西洋に面した海岸線を走るコースタル・ハイウェイ(デラウェア州道1号線)を北上すると、サウス・ベサニー手前のフェンウィック・アイランド州立公園の北端に、突然大きなコンクリートの円柱の建物が見えてきます。こちらはベサニー・ビーチ第二次大戦監視塔 WWII Observation Tower Bethany Beachです。

跡としての整備が待たれる監視塔

ベサニー・ビーチのハイウェイ沿いに残されているこちらの監視塔は、修復と史跡としての観光コース整備の資金集めが約10年前から続けられています。

デラウェア州海岸保全協会(TheDelawareSeashorePreservationFoundation)
URL
https://restorethetower.org/
注意点
現在、観光ツアーや見学施設としては未整備です。塔の内部に立ち入ることは出来ません。

1940年代、第二次世界大戦のドイツ軍の侵攻に備え、デラウェア州からニュージャージー州の大西洋岸の防衛のために、11基の監視(兼射撃)塔が建てられたものの、実際にドイツ軍の米本土侵攻は起こらず、実戦に使用されることは無かったそうです。11基の塔のうち、デラウェア州ケープ・ヘンロペンCape Henlopenに残されている一基のみ一般公開されているそうです。(8時~日没まで、見学料8ドル)

トップへ戻る

TOP