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アメリカの首都ワシントンDC、世界のビジネスの中心地のひとつであるニューヨーク。東海岸で代表的なふたつの都市の間に位置するボルチモアは、旅行先としてあまりなじみが薄いかもしれません。しかし、歴史をひも解けば、この都市のかつての繁栄ぶりや奥深さを発見し、興味深い町となるかもしれません。幅広くメリーランド州やボルチモアの文化を知ることができるミュージアム、メリーランド歴史文化センター Maryland Center for History and Cultureを紹介します。
(撮影・掲載許可済)
ボルチモアでもかつては数多くの家具が造られていました。19世紀半ばには蒸気動力を用いた生産ラインができ、ドイツからの移民を中心に、家具職人が数多く存在したそうです。
ボルチモア市発行の「ボルチモア史」概要によると、19世紀前半のボルチモアは、文化・産業が最も花開いた時期だったそうです。そのころのボルチモアの社交界の花形の一人が、エリザベス・パターソン・ボナパルトというボルチモア生まれの女性で、フランス革命の英雄で皇帝にもなったナポレオン・ボナパルトの弟と結婚していたことで知られています。彼女がボルチモア上流社会にもたらしたヨーロッパのファッションや調度品が展示紹介されています。
ブロックごとに様々なデザインや描写のアップリケを施した、「ボルチモア・アルバム・キルト」とよばれるキルトは、19世紀半ば(1846年~1852年)のボルチモアでつくられた手工芸のひとつで、現在もキルト愛好家に大きな影響を与えています。
歴史文化センターには専用の展示室があり、数多くのキルトコレクションを見ることができます。
戦争記念碑は、「マクヘンリー要塞の戦い」などで知られる米英戦争の勝利を記念して1815年に建てられました。ボルチモア市の紋章(市章)や市旗にも描かれている円柱のモニュメントで、現在もボルチモア市裁判所の前に立っています。頂点に立つ女性像は「レディ・ボルチモア」と呼ばれ、ボルチモアのシンボルとされています。頭上に勝利の冠、右手に栄光を意味する月桂樹のリースを手にしています。近年の修復工事の際、「レディ・ボルチモア」像は経年劣化によりレプリカに置き換えられ、オリジナルの像は歴史文化センターに展示されるようになりました。