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チェルシーのおすすめスポット後編です。前編はスローン・スクエアから近いエリアが中心だったので、今回は少し範囲を広げて、植物園にギャラリー、レストランにバーまでチェルシーらしい魅力が凝縮された珠玉の4スポットを紹介します!
チェルシーの隠れた癒しスポット「Chelsea Physic Garden (チェルシー薬用植物園)」は1673年に薬剤師協会によって設立されたロンドン最古の植物園です。テムズ川沿いの長い壁に囲まれた植物園は今年でちょうど350周年。なんとアメリカ合衆国独立よりも100年ほど古いです。植物園の中心に石像が立っていますが、これは植物園にとって重要な役割を果たしたSir Hans Sloaneという人物のもの。1712年、経営難だった植物園に、自身も薬剤師・博物学者であったSir Hans Sloaneが年間£5の激安価格で土地をリースすることになり、そのおかげで植物園は存続することができました。現在も植物園はHansの子孫に毎年£5の賃貸料を払い続けているそうです。ちなみにSir Sloaneは大英博物館、大英図書館、自然史博物館など主要観光スポットに資金を提供したロンドンの超重要人物です。チェルシーのSloane Squareも彼の名前にちなんだもの。チョコレートミルクを最初に生み出したとされる人物としても有名なんだとか。
植物園には絶滅危惧種も含めて4,000種類以上の植物が植えられており、季節ごとの植物を満喫することができます。それぞれの植物にネームプレートがついており、変わり種ではアルコール関連の植物なんてコーナーも。ハーブ系リキュール「アブサン」の原材料であるArtemisia Absintheiumやビールの香りづけなどで使用されるGround Ivyなどが植えられていました。公共機関ではなくチャリティーによって運営されているので入場料が必要ですが(2023年3月現在大人£9.5)、その分、人が多すぎずゆっくりできます。ベンチに座り、鳥の声に耳をすまして、穏やかな日差しと植物に囲まれながら350年の歴史に思いを馳せてみるのはどうでしょうか。ロンドン中心部にいるとは思えないのどかさです。ガーデンカフェも併設されており、飲み物だけでなくランチやアフタヌーンティーも楽しめます。
チェルシーに本物のバンクシーの作品が見られるギャラリーがあると聞いて、やって来ました「Andipa Gallery(アンディパ・ギャラリー)」。このチェルシーらしいエレガントなギャラリーは1967年にビザンツ帝国時代の宗教画に魅せられたMaria Andipaさんによって設立されました。1980年代からジャンルをコンテンポラリー・アートにも拡大し、現在はバンクシーの作品を多く扱うギャラリーとして定評があります。ご存じの通り、バンクシーはイギリス出身の正体不明のアーティストで、社会風刺をモチーフにした神出鬼没なステンシル・アートのグラフィティで有名です。彼の社会批判のスタンスからその作品の転売について議論があるのは確かですが、このギャラリーではバンクシーが販売を意図して作成した作品のみを扱っているそうです。
さて、筆者が訪れたタイミングでは、ギャラリーでPresense & AbsenceというタイトルでPeter Burkeというイギリスの彫刻家のエキシビジョンが行われていました。もともと自動車会社のエンジニアだったというBurke氏の作品は金属をはじめとする様々な素材を使用していて、とてもユニークでした。
ギャラリーのスタッフの方はとても親切で、購入客には見えないであろう素人丸出しの筆者にもアート作品について丁寧に説明してくれました。「バンクシーがあると聞いたのですが」と聞くと、セキュリティー付きの扉を開けてバンクシー作品を見せてくれました。写真には「HMV(His Master's voice)」という犬がスピーカに蓄音機を向けている作品、画家キース・へリングの吠える犬が使用されているのが印象的な「Choose Your weapon」という作品、ネズミが主役の「3D Rat」という作品が写っていますが、それ以外にも何点もありました。筆者が日本人ということで、スタッフの方は「入荷したばかりだけど大好きなの!」と草間彌生さんの作品も見せてくれました。写真だとわかりにくいのですが、花の部分も周りの緑の部分もキラキラと繊細に光っていて、眺めているとパワーをもらえるような印象的な作品でした。(最後の写真参照)他にもたくさんのアーティストの作品があり、情熱的に説明してくれるスタッフの方が素敵でアート心が刺激されてとても楽しい時間でした。購入予定がなくてもおすすめのギャラリーです!(宝くじに当たったら草間彌生さんの作品を購入したいです)
*許可をもらって撮影しています
イタリア語で私のお母さんという意味のレストラン「La Mia Mamma(ラ・ミア・マンマ)」は、その名の通り本物のイタリアのお母さんたちを招いて、マンマ直伝のメニューを提供するユニークなレストランです。チェルシーに2軒、ケンジントンに1軒を展開しており、メニューはそれぞれの店舗が抱えるマンマの出身地次第で数か月ごとに変わります。筆者のおすすめは店舗が広くて雰囲気のよいHollywood Road店で、ちょうど新しい地域エミリア・ロマーニャのメニューに切り替わったところでした。アラカルトもあるのですが、おすすめは前菜とパスタのセットメニューで£40(2023年3月現在)。前菜は盛り合わせでシェア、パスタはメニューから選ぶことができます。
発泡性赤ワイン、ランブルスコのウェルカム・ドリンクで乾杯!そうこうしている間にマンマがテーブルにやってきて、作り立てのブルスケッタをくれました。さて、アンティパストの盛り合わせが来ました!パルマハムにモルタデッラ、チーズ各種にミートボールにマッシュルームの煮込みがボーノです。揚げたピタみたいなパンにクリーミーなチーズとモルタデッラを挟んで食べると美味しい、とのアドバイスをもらったので試してみると…気分はすっかりエミリア・ロマーニャです。
今日は隣のテーブルにお誕生日の人がいたようです。店の電気が消え、マンマも含めたスタッフたちがタンバリンをたたきながら元気のいいイタリア音楽「Tanti Auguri」を歌ってお祝いしてくれています。他のお客さんも手拍子をして、店内が一つになってとても楽しい雰囲気です。
メインのパスタは筆者はボロネーゼのタリアテッレを、友人はシーフードラグーのタリアテッレを注文しました。毎日お店でハンドメイドされているパスタがソースに絡まって絶品です。
まだまだマンマのもてなしは終わりません。デザート3種の盛り合わせもついて、おなかは既にパンパンです。まさに実家に帰った時のごとしです。幸せな気持ちで食事を終え、キッチンのマンマに挨拶をすると、更に揚げたてのピザのようなスナックをわけてくれました。(冒頭の写真)食べきれない!
マンマに心もお腹も満たされる、そんなイタリアン・レストランです。
*許可をもらって撮影しています
さて、散策の締めはちょっとチェルシーらしいリッチなバーに行ってみましょう。「Jak's Bar(ジャックズ・バー)はWalton Streetというポッシュな店が並ぶ通りにあるトレンディーなバーです。イギリスらしいインテリアが印象的で、ちょっとした美術館のように様々なアートピースが壁を彩っています。更にソファーが居心地よく、何とも落ち着きます。小さなDJブースもあって、雰囲気のある音楽が流れています。団体以外は予約を受けていないのですが、筆者は金曜日の夜に行ってスムーズにソファー席が確保できました。客の年齢層は20代後半~40代くらいで、落ち着いた雰囲気です。
カウンターを眺めるとバーテンダーたちがカクテルを作るてきぱきとした手さばきが、格式のあるバーの趣きを醸し出しています。本格的なカクテルは£15-16といった価格帯、ワインはグラスで£8-9程度なので、普段使いのお店と比べるとちょっと割高ではありますが、チェルシーでこの雰囲気の中ほろ酔いでゆっくりできるなら高すぎないかなという感じです。筆者はJak's revolutionというラムベースのフルーティーなカクテルを、友人はグラスの赤ワインを注文しました。ノンアルコールのカクテルであるモクテルもありました。ちなみに食事も可能で、地中海・イタリア・イギリスにインスパイヤ―された美味しいメニューが用意されています。
同じ通りのすぐ近くには同じ系列のJak's cafeというカフェ・デリもあり、こちらもとてもチェルシーらしいアイコニックなお店なのでお酒が苦手な方はそちらに行ってみるのもいいかもしれません。
いかがでしたか?様々なロンドンらしい刺激に満ちたチェルシー、バッキンガム宮殿やビクトリアなどの主要観光地からも好アクセスですので、ぜひロンドン旅行の旅程に加えてみてください。後悔はしないはずです!