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95. サッカーU-20アジアカップ・準々決勝日本vsヨルダン戦@ウズベキスタン 現地観戦レポート

伊藤 卓巳

伊藤 卓巳

ウズベキスタン特派員

更新日
2023年3月16日
公開日
2023年3月14日
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サローム(こんにちは)!

昨年のU-23アジアカップに引き続き、重要なサッカーの大会がウズベキスタンで開かれています。それが20歳以下のアジア16か国のナショナルチームが参加する、U-20アジアカップ。3月12日に行われたこの試合を観戦にしてきました。

開催国に駐在しているサッカーファンの務めじゃ! と並々ならぬ使命感に満ち満ちた私は昨年に引き続きの観戦(51. 「ほぼ無観客試合」で潰えたU-21日本代表アジア制覇の夢。U-23アジアカップ観戦記後編)。

U23アジアカップのときは毎日がお休みの主夫状態だったので、全試合フル出場(スタンドでですが)を果たしましたが、今はサマルカンドに住んでいるのでさすがにこのU20アジアカップの全試合現地観戦は難しい状況。それでも日本がグループリーグを突破するのを前提で計画を立てていたところ、中国、キルギス、サウジアラビアを破り見事に3連勝しグループ1位通過。相手は韓国、タジキスタン、オマーンと同居したグループを1勝1敗1分の2位で通過したヨルダンです。

日本戦の前日には、タシケントのJARスタジアムで行われた同じく準々決勝のイランvsイラク戦。因縁の隣国対決ということもあり白熱した試合展開の末、後半アディショナルタイムに劇的ゴールを挙げたイラクが1-0で勝利。日本代表が勝ち進めばこの試合の勝者と当たるとはいえ、日本人観客など他にいなさそうだしぼっち観戦上等…と思っていましたが、日本戦を全試合観戦しているという日本からのサポーターの方と、初戦中国戦で知り合ったという中国代表ベテランサポーターの方がいらっしゃり、おかげさまで楽しく観戦することができました。

まるで優勝したかのように喜びを爆発させるイラクの選手たち

ちなみにこのJARスタジアムは小規模なスタジアムですが、タシケント最大級の市場チョルス―バザールから徒歩15分とアクセスは抜群。東京でいうと上野公園内にスタジアムがあるようなものでしょうか。タシケントはこのように立地のいいスタジアムが多く、Jリーグファンにとってはうらやましく思えるかもしれません。

一方私たちの試合が行われる、同じくタシケント市内にあるロコモティフ・スタジアムは、都心から30分とやや不便な立地にあります。私は昨年国内リーグの試合を見に訪れたことがありますが、確かに立地はよくないもののスタンドとピッチの距離の近さはピカイチで、選手たちの息遣いまで聞こえる迫力満点のスタジアム、といった印象でした。このスタジアムで日本代表の試合が見られるのだから、ワクワクしないはずがありません。妻や他の在留邦人の知人たちと一緒にタクシーを飛ばし、キックオフ1時間前の18時ごろスタジアムに到着。

普段は今季ウズベキスタンリーグ2部のロコモティフ・タシケントが使用するロコモティフスタジアム

チケットの買い方はiTicket.UZ(https://iticket.uz/)というオンラインチケットサイトで事前決済しておくか、スタジアムで直接買うかのどちらか。悲しいかなこの大会ではウズベキスタンの試合以外スタンドが満席になることはまずないので(逆にウズベキスタン戦となるとチケット手配の難易度が一気に上がります)、私たちは試合直前にスタジアム入口でチケットを購入しました。1万スム(2023年3月現在のレートで約120円)、2万スム、5万スムのチケットがあり、2万スムのチケットを購入。一応座席は指定で、カテゴリーや席番がチケットに記載されていますが、昨年の大会と同じく実質自由席でほぼどこでも座ることができます…。

スタジアムに入ると、さっそく日本代表ユニフォームを着た方と遭遇。左側ゴール裏に日本ファンが集まっているとのことで、さっそくご一緒させていただきます。
スタンドに上がって見ると、目の前にネットはあるもののやはりピッチとの距離が近い! ちょうどサポーターの方が横断幕をこのネットに付けようとされているところでした。今回日本からいらっしゃったのはマリノス、セレッソ、岡山、大分の各サポーターさんのようで、昨年の大会同様このような方々の熱意には本当に頭が下がります。

在留邦人の方々も続々到着し、日本ファンは30人ほどに。この試合に勝ち、大会ベスト4になると今年5~6月にインドネシアで開催されるU-20ワールドカップへ出場することができるのですが、このワールドカップに出られるか出られないかによって日本サッカー界や選手のサッカー人生が大きく変わります、皆で精いっぱい応援しましょう! とサポーターの方が声をかけてくださいました。何百回も試合を見ているであろうサッカー観戦慣れした方から、この試合がサッカー初観戦といった方まで集まった今回の試合ですが、試合前にこのようなお声がけをいただくのは本当にありがたいことです。

また勝手な恨みつらみで申し訳ないのですが、私も何としてもこの試合でヨルダンに勝ってほしい理由がありました。2013年にヨルダンで行われたワールドカップ予選の日本戦、勝てばブラジルW杯出場という大一番のアウェーマッチを現地まで見に行ったのですが、見事に負けてヨルダン人に煽られまくるという最悪な記憶があったのです。当然その試合に出ていた選手は今回いないのですが、人生2度目の日本vsヨルダン戦ということでぜひここでリベンジを果たしたいところです。

そしてキックオフ。おなじみの日本代表チャント(応援歌)の声が私たちのスタンドから上がります。ちなみに昨年の大会同様日本代表ユニフォームは妻に譲り、私は甚平にウズベク太鼓ドイラというカオスなスタイルでの参戦でした。この試合はDAZNで生中継されていましたが、ドイラの音は聞こえていたでしょうか…。
ヨルダンの実力は未知数ですが中盤にテクニシャンが多く、結構苦戦します。おまけに雨上がりの気候でピッチにところどころ水がたまっており、プレーしづらそう。

結局どちらもゴールすることなく、0-0で前半終了。

大分サポの方が持ってこられた、トリニータの人気マスコットのニータンとリッジ―。ウズベキスタン初上陸では?
岡山サポの方のゲートフラッグも目を引きます…!

後半は私たちのゴール裏に向かって日本が攻める展開。どこか堅い展開だった前半と異なり、厚みのある攻撃でヨルダンゴールに迫っていきます。
そして迎えた待望の先制点は54分、北野選手のクロスをフリーの坂本選手がゴール!さらに70分には北野選手のシュートのこぼれ球を途中出場の熊田選手が詰めて2点目、ヨルダンを突き放します。

これが大会4点目となるFC東京所属の熊田選手、このゴール以外にも圧倒的な体の強さやアクロバティックなシュートを見せ、規格外ストライカーのにおいがぷんぷんする選手でした。あのとき熊田選手のゴールを目の前で見た! と4年後ぐらいにいうと周りにうらやましがられるかもしれません…! また鋭いドリブル突破で2ゴールを演出したセレッソ所属の北野選手もお見事で、「世界のキタノ」の横断幕を張られていたセレッソサポの方もこれにはご満悦でした。
終了間際には、全試合フル出場していたとは思えない無尽蔵のスタミナを誇る、この世代最注目選手のFC東京の松木選手が体を張った守備を見せ、試合を締めます。相手にほとんどチャンスを作らせず、2-0の完勝で試合終了。

スクリーンには日本語で「おめでとう日本代表!」の文字が

そして試合後には選手、スタッフが私たちのもとにあいさつに来られました。勝利おめでとう! U20ワールドカップ出場決定おめでとう! と応える私たち。ロールモデルコーチとして今回チームに帯同している、あの内田篤人さんの姿もはっきり分かりました。日本代表アウェーマッチは、選手との距離がぐっと縮まるこの瞬間がたまりません(といえるほど観戦したわけではないのですが…)。
最後にはマリノス所属の山根選手が私たちに、ありがとうございましたと一礼してくれました。10歳以上年が離れた若い選手がこんなことをしてくださると、一瞬でファンになってしまいますよね…。

今回も昨年と同じく、日本からのガチサポーターさんとお会いできたこと、そしてウズベク人も含むタシケントの知人たちと集結して応援できて最高の経験になりました。先述の通り初めてサッカーを生で見るという方もいらっしゃいましたが、願わくばこれをきっかけにサッカー観戦沼にハマる方が出てくることを…。

この知人のウズベク人は松木選手が気に入ったようで、最後に松木さんユニフォーム下さい!!と叫んでいましたがもちろんもらえず(笑)

次の日本代表戦は3月15日の準決勝イラク戦、それに勝つと18日の決勝で韓国かウズベキスタンと当たることになります。私としては、U-23アジアカップ準決勝で自分の目の前で負けてしまったウズベキスタンにぜひリベンジしてほしいところです。あいにく私はサマルカンドに戻らねばならず、準決勝、決勝とも観戦できませんが、観戦されるサポーターの方はぜひ私の分まで応援よろしくお願いします!

なお私の個人ブログでは、今回の試合会場ロコモティフスタジアムを含むウズベキスタンの各サッカースタジアムの情報をまとめています。今後ウズベキスタンへサッカー観戦にいらっしゃる方は、ぜひご参考にどうぞ。
日本一詳しいウズベキスタンサッカースタジアムガイド! – takumiの世界ふらふら街歩き(副題:サマルカンドでお待ちしてます。)

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

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