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今回はロンドン南西に位置する優雅な街、リッチモンドの魅力をお伝えします。リッチモンドは、ロンドナーに尋ねると、「夏にリッチモンドのテムズ川のほとりのパブ、または丘の上から川を見下ろして裸足で友達とビールを飲むのが最高なんだよね・・・」と目を細めるスポットです。(たぶん幻の夕日とパイントが見えています)
ウォータールー駅から電車で20分、アールズコート駅から地下鉄で23分とアクセスのいい都会のオアシス・リッチモンド。ワイルドな鹿で有名なリッチモンド・パーク以外にも、ブランチやアフタヌーンティー、スイーツ、ガーデン、パブにカフェと素敵なスポットがてんこ盛りです。今週末にサマータイムに切り替わってこれからがシーズン本番、老若男女を虜にするロンドンのオアシス、リッチモンドのおすすめスポット前編をご覧ください!
リッチモンドと言えば、美しいテムズ川をあらゆる角度から味わう(そして飲む)場所。川のほとりや丘の上もいいけれど、どうせなら川の上から味わうのもいいじゃないかということで、ボートの上にカフェ&レストランを作ってしまったのがこちらの「Peggy Jean at Riverside Green(ペギー・ジーン・アット・リバーサイド・グリーン)」です。リッチモンド橋の近くに停泊していて、パステルピンクのパラソルと、白とティファニーブルーの船体がとてもキュートです。今となってはリバーサイドのアイコンになっているこちらのお店ですが、実は2022年の7月にオープンしたばかり。とはいえ、船自体は100年以上経った古いもので、もともとオックスフォード大学のジーザスカレッジで53年間も放置されていた競争船をオーストラリアの独立系カフェ・レストランのDaisy Green Groupがリッチモンドに移して、歴史的な部分は残しつつも、現代的にそしてDaisy Greenのイメージに合うようにポップなデザインに大幅に改装したのだそうです。
Daisy Green Groupはブランチで有名なので、おすすめはウィークエンド・ブランチです。パンケーキにフレンチ・トースト、アボカド・トーストにエッグ・ロイヤルと、王道ブランチメニューはばっちりカバーされています。ボトムレス・ブランチ(時間制限内ならスパークリング・ワインなど特定のドリンクがおかわり自由の、ロンドンのブランチではよくあるシステム)のメニューもありますよ!
もちろん、夕暮れ時のディナー前にカクテルを一杯、という使い方も最高ですね。
しっかり停泊していて、揺れたりはしないで船酔いはご心配なく。わんちゃんも歓迎だそうです。夏場と週末のブランチは予約をおすすめします。
女友達にリッチモンドおすすめの場所を聞いた時に真っ先に挙げる人が多かったのがこちらの「Petersham nurseries(ピーターシャム・ナーサリーズ)」です。イギリスではナーサリーというと保育園という意味で使われることが多いのですが、この場合は「苗床」で、園芸センターのニュアンスです。しかし、このピーターシャム・ナーサリーズはただの園芸センターではありません。洗練されたこだわりのカフェとティーハウス、園芸センターとショップが同じ敷地の各温室内にあります。もともとローカルな園芸センターがあった敷地を1997年にセントラル・ロンドンからリッチモンドに引っ越してきたBoglioneファミリーが購入し、大規模リニューアルして2004年に再オープンしました。温室の中にあるカフェに入ると、まずかぐわしい花の香りに気づきます。内部はたくさんの植物とアンティークの家具とを組み合わせたインテリアで、エキゾチックなインドの絵画が飾られています。天窓から日光が降り注ぐ中、ブーゲンビリアやブドウ、ジャスミンなどの植物が生き生きとしていて、とにかく座っているだけで気持ちがいいです。食事メニューはイタリアンですが、実はこちらのカフェはそのサステイナビリティへの取り組みから2年連続でミシュランのグリーンスターを獲得しています。カフェの後ろにあるショップではシャンデリアやグラスやアンティークの家具などが販売されているので、ピーターシャムの優雅な雰囲気をご自宅に持って帰ることも可能です。別の温室にはティールームがあり、こちらではアフターヌーン・ティーも楽しめます。
ちなみに、ピーターシャムの敷地は広大で舗装されていない場所もあるので、雨の後などは靴が泥んこになるかもしれません。汚れても構わない靴で行くのがいいでしょう。
リッチモンド在住の人に話を聞くと必ず出てくるカジュアルな独立系フレンチ・レストラン「Chez Lindsay(シェ・リンゼイ)」。1988年に開店し、リッチモンド・ライズで地元の人に愛され続けるこちらのレストランはブルターニュ地方の料理を提供していて、スペシャリティは魚介とガレットです。ブルターニュは歴史的にも地理的にもイギリスとの関係が深い地域です。ランチから通し営業をしているので、ランチとディナーの中途半端な時間に行っても食事にありつけるのがありがたい!内装は素朴な雰囲気のお店で、窓からはリッチモンド橋が見えます。
早速ガレットを注文です。ガレットはブルターニュ地方の郷土料理で、簡単に言うとそば粉でできたクレープです。ブルターニュ地方は日照時間が短く小麦が取れなかったことから(イギリスみたいですね…)気候にあったそばが作られるようになったんだそうです。スイーツ系と迷いましたが、今回は王道のJambon Fromage(ハムとチーズ)にしてみました。他にも中身はスモークサーモンやシーフード、ソーセージなど色々選べますよ。
運ばれてきたガレットは、日本人なら懐かしいそばの香りが最高です!ハムととろけるチーズの塩気がちょうどいいです。マッシュルームもいいアクセントになっています。これで生地が小麦粉だとピザみたいになってしまって重たいのですが、そば粉なので罪悪感が少なく、胃に優しいです。
シードル(リンゴのお酒)もグラスから注文できるので、ぜひ本場らしくガレットと一緒に楽しんでみてください!ボナペティ!
リッチモンド駅からテムズ川に向かうとき、途中で通りかかる物語に出てきそうな可愛らしい小路、Brewer's Lane。この道に素敵な店構えのジェラテリアを見つけて入ってみました!「Gerateria Danieli(ジェラテリア・ダニエッリ)」。北イタリアにいるような趣のある内装のこちらは2005年からリッチモンドで営業している家族経営のイタリアン・ジェラートのお店です。お店は同じ小路に2軒あって、1軒はジェラート専門店、リッチモンド・グリーンに面したもう1軒はチョコレートの専門店になっています。(夏場にはこちらでもジェラートを販売するそう)。ジェラート以外にも自慢の濃厚なホットチョコレートやコーヒーも販売しています。
ジェラテリアでは本格的なイタリアン・ジェラートを提供しています。創業者のブリジットさんは栄養士で健康に関する意識が非常に高く、あらゆるニーズにこたえるジェラートを作りたいという情熱でグルテンフリーやデイリーフリー、ナッツフリー、エッグフリーにハイプロテインにまで対応。クラシックな味(バニラ、チョコレート、ストロベリー)から変わり種の味(ベイクウェル・タルトやロシェ)まで幅広く、材料もオーガニックやイタリアから取り寄せた食材を使うなど大変こだわっています。あとから調べてみたら、こちらのお店はロンドンのジェラート業界の中でも有名で、エリザベス女王が80歳のお誕生日パーティーでこちらのアイスのバニラ味をふるまったという話もあるそうです。筆者はロシェ味をセレクトしましたが、あまりに美味しそうだったので取材用の写真を撮るのをすっかり忘れて食べ始めてしまいました。ナッツとチョコのハーモニーが何とも美味しかったです!
以上、駆け足でリッチモンド前編をお送りしました。後編もリッチモンド・パークやアフタヌーン・ティー、おすすめフィッシュアンドチップスなど盛りだくさんの予定です!お楽しみに。