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香港のアカデミー賞といわれる金像奨(HKFA)で2017年に最優秀オリジナル映画音楽スコア賞を受賞した日本人作曲家の波多野裕介さんが名古屋、大阪、東京でコンサートツアーを開催しました。最終公演である東京公演が3月12日に赤坂のMZESで開催されました。
日本ツアーは初めてという波多野さん。東京公演は第1部と第2部の2回公演でしたが、どちらも満員。新潟から駆け付けたファンもいました。
グローバルな活動をしている波多野さんに話を聞くことができました。「年を重ねるほど、ルーツである日本が大事になっています」。そして今回のコンサートでは責任を感じているそう。「これまでは後ろで演奏していましたが、今回は自分のコンサートですから、流れを作らないといけないですし…。自分はそれほど自己主張が強いタイプではないですけど、今回は鼓舞してやってます」
コンサートでは、ふとした時にたまに孤独に感じる時があると正直な心情を話していましした。そこで「音楽家として何か満たされない感情があったほうが、実は良い曲作りができるのではないか?」と訪ねると「間違いないです。孤独に感じたりした経験が、音楽においていい方に表現することができていると思います」と話してくれました。ただ、その一方で「映画音楽は、自分の音楽だけども映画監督に作りたい映画に色を付けています。そういう意味では完全な自己表現ではない面もあります」と表現者としての難しさを吐露します。
作曲家の彼は、今回、シンガーソングライターとしてのコンサートとなりました。「持論として『歌モノ』は、歌を歌える人が一番アドバンテージがあると考えています。声帯も楽器ですから、シンガーソングライターが1番いいなと思ったのです。コロナ禍の時に後押ししてくれた人がいて、1年半ぐらい前からボイストレーニングを始めました」
コンサートで感じたのは波多野さんが「ループステーション」という音楽機材を巧みに使っていたことです。これは声、ピアノ、ギターなどの音をその場で録音して、それをループ(=繰り返し)再生させながらコンサートを進めていったことです。音楽を演奏する時に音に幅と奥行きがでますし、曲と曲の間にMCをしつつ音を流すこともできるので、始まりから終わりまで波多野裕介の音色に包まれたコンサートになりました。
次回の日本でのコンサートも期待です!