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地球の歩き方特派員として拝命いただき、タジキスタン共和国より情報発信をさせていただくこととなりました村中千廣と申します。お仕事のご縁に恵まれ、2022年10月より同国首都のドゥシャンベに滞在しております。
当地に赴任した当初は、得意とする英語が通じず(「Yes」や「No」などの単語でさえ通じないことも多々ある)、道路標識や商品ラベルなどの表記がキリル文字一色であるため、シャンプー1本購入することにさえ手こずる有様でした。
タジキスタンでは公用語とされるタジク語(ペルシャ語系統)のほか、事実上旧ソ連の公用語であったロシア語が広く話されています。これら2言語のフレーズなどを地道に覚え、最近ようやく生活上の不自由を感じる機会が少なくなりました。
タジキスタンの観光や生活事情に関しては、これまで「地球の歩き方」を駆使しても尚、日本語で得られる情報が極めて限定的であったといわざるを得ません。それもそのはず、日本との外交が樹立されて以来約30年間、タジキスタンに進出した日本企業の数は片手で数えられる程度に留まり、日本からの観光客も決して多いとはいえず、2016年度にようやく邦人の年間訪問者数が4桁に到達したというのが実情です。
数字が物語るように、日本人にとって未だ馴染みの薄い国であるタジキスタンですが、それだけに当国の魅力を日本語で発信するという貴重な機会には、大きな魅力を感じています。二国間関係の促進に草の根レベルで寄与できるよう、当地での情報収集および読者の皆さまへの発信に努めます。
遺跡や寺院などの観光名所が豊富であるとは言えませんが、国土の8~9割が山岳地帯で、“世界の屋根”と称されるパミール高原を有しています。但し、首都圏からのアクセスは容易ではなく、陸路で悪路を片道2~3日程走る必要があります。
中央アジアの名物料理として知られるプロフやシャシリク等があるのはもちろんのこと、欧米風のカフェ、レストラン、バー等も増加傾向にあり、美味しいビールやカクテルの他、日本国内では珍しいウクライナ料理、グルジア料理、イラン料理、中東料理なども気軽に楽しむことができます。食レポの投稿も積極的に行ってゆきたいと思います。
写真は「ドゥシャンベ北東部の辺りではかなり美味しい」と現地に住む方に教えていただいた、定評のあるお店のプロフと、付け合わせの酢漬けされた野菜サラダ。
加工食品や生活必需品の多くをロシアなど近隣諸国からの輸入でまかなっているタジキスタンでも、諸外国同様に現在、高騰する物価が庶民の生活を圧迫しています。また、内陸国であるため一部の養殖魚を除き、魚は日本の水準よりも遥かに高価です。一方で、国内生産される生鮮食材は比較的安価で、市場では新鮮でみずみずしい野菜や果物がお手頃な価格で調達できます。
独立後の内戦が終結した2000年台からは右肩上がりの経済成長を遂げているものの、旧ソ連圏諸国のそれと比較すると依然経済水準は最低レベルにあります。また、タジキスタンの平均月収は161.4米ドルと、日本円換算で約2万2259円(2023年5月22日OANDAレートに基づく)に留まるため、就労年齢を迎えた多くのタジキスタン人男性は、より良い待遇を求めロシアへの出稼ぎ労働を選択します。
北をキルギス、南をアフガニスタンと接しているタジキスタンは、度々国境付近の情勢不安が取り沙汰されています。当地に住まわせていただくにあたり、困難な状況に置かれている人々の現実にも目を向けてゆきたいと考えています。どうぞ、よろしくお願いいたします。