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夏至も過ぎ、イギリスにテニス・シーズンが到来。テニスの大会が始まるとロンドンはいよいよ夏本番という感じです。イギリスで最も有名なテニス・トーナメントはグランドスラムの一つ、ウィンブルドン選手権ですが、実はウィンブルドン選手権の2週間ほど前にウェスト・ケンジントンでクイーンズ・クラブ選手権が開催されます(現在はスポンサーの名前を取って「シンチ選手権」と呼ばれています)。こちらのトーナメントはウィンブルドンの前哨戦とされていますが、有名選手も参加しますし、こじんまりとした大会ならではの良いところが沢山あります。今回は望遠カメラを持参してこのクイーンズ・クラブ選手権のレポートをしたいと思います!筆者が観戦したのは6月23日の試合なので、準々決勝になります。
2023年のクイーンズ・クラブ選手権の日程は6月19日(一回戦)から6月25日(決勝)までの1週間です。ウィンブルドン選手権と同様の天然芝のコートになります。
会場となるのはクイーンズ・クラブというプライベートのテニス・クラブです。10のコートとセンターコートの合計11コートが大会で使用されます。スタジアムが常設されているわけではなく、センターコートに選手権期間中のみ仮設の観客席が設けられます。屋根がないので、帽子と日焼け止めを忘れずに!ウィンブルドンと比較するとこじんまりしていて、センターコートでも試合が間近に見られます。(ウィンブルドンのセンターコートは座席数がおよそ1.5倍)ドレスコードもゆるくカジュアルな雰囲気です。食べ物や飲み物の持ち込みも可能(アルコールは持ち込み不可)と、親しみやすい大会と言えるでしょう。
とはいえ、クイーンズ・クラブ選手権の歴史は古く、世界最古のテニス・トーナメントの1つで1890年から現在の場所で行われています。興味深いことに昔は女子の試合もあったそうですが、1973年を最後に現在は男子のみとなっています。
クイーンズ・クラブ選手権は1979年から2008年にかけてはベルギーのビール企業がスポンサーしていたため「ステラ・アストワ選手権」と呼ばれていました。その後、何度かスポンサーの変遷を経て、2021年からオンラインの自動車販売会社シンチがスポンサーになり、シンチ選手権と呼ばれています。ただ、まだスポンサーの歴史が浅いのでテニスを追いかけていないイギリス人にシンチ選手権に行ったと言うと「??」となり、クイーンズ・クラブ選手権と言うと「ああ!」となります。
超有名選手の出場としては2008年にナダルが優勝。2008年と2018年にジョコビッチが準優勝。やはり地元選手は強いのかアンディ・マレーは過去5回優勝しています。2021年・2022年の覇者はイタリアのマテオ・ベレッティー二です。
今年のクイーンズ・クラブ選手権ではトップ10からはアルカラス(スペイン・2位)、ルーネ(デンマーク・6位)、フリッツ(アメリカ・8位)が出場しています。地元の注目はイギリスNo.1のキャメロン・ノリ―(13位)でした。(23日時点で同じくイギリスのアンディ・マレーは既に敗退。)準々決勝では4試合を見ることができます。対してウィンブルドン選手権は準々決勝が第1コートとセンターコートに分かれるので、1つのチケットで見られるのは2試合となります。同じチケットで多くの試合、多くの選手が見られるという意味ではクイーンズ・クラブ選手権はお得感があります。また、クイーンズ・クラブ選手権は2セット先取なので、実力が拮抗する場合は3セット目に突入することになりますが、最大3セットなので比較的時間が読みやすいです。ウィンブルドンだと3セット先取で最大5セットとなるので試合時間ははるかに長くなります。
23日の準々決勝では、1試合目はデミノー(オーストラリア・18位)がマナリノ(フランス・52位)を6-4, 4-6, 6-4で下しました。2試合目はルーネがムゼッティ(イタリア・17位)に6-4, 7-5で勝利。3試合目が最も注目の高かったノリ―対コルダ(アメリカ・31位)で観客も一番多かったのですが、残念ながら地元の熱い声援もむなしくこの日のノリ―はいいところなしで6-4, 7-6(1)でコルダに完敗してしまいました。4試合目が新星アルカラスでディミトロフ(ブルガリア・26位)を6-4,6-4で下しました。
23日の試合ではアルカラスが20歳、ルーネが20歳、デミノーが24歳、コルダが22歳、ムゼッティが21歳ということで、とにかく若い選手の台頭が目立ちました。フェデラーも2022年に引退していますし、この中から現在の「キング」ジョコビッチを倒す選手が出てくるかもしれません!
以上が準々決勝の結果ですが、実は本日(25日)にちょうど決勝戦が終了し、アルカラスがデミノーを下して優勝しました。アルカラスにとっては初の天然芝コートでの優勝。ウィンブルドン選手権も同じく天然芝コートとなるので、ウィンブルドン選手権で7回優勝してるジョコビッチ(8回優勝すると最多優勝のフェデラーと並ぶ)を止めることができるのか、ワクワクが止まりません!
テニス選手権に行くと大会グッズも気になりますよね。クイーンズ・クラブ選手権のグッズは結構センスがいいものが多いです。ウィンブルドンだと大会のカラーが紫・緑なのでどうしても渋いグッズが多い気がしますが(個人の感想です)クイーンズ・クラブ選手権のグッズは白やピンクなどもあり、より普段使いができそうな若々しいアイテムが多いです。筆者は試合観戦にあたり、25ポンドの白のキャップを購入しました。天気予報に反してピーカン晴れとなったために緊急措置的に購入したものの、なかなかおしゃれなので夏のコーディネートに活躍しそうな予感です。そしてお土産の一番人気はやはりテディ・ベア。クイーンズ・クラブのロゴ入りのセーターを着ています。お気づきの方もいるかもしれませんが、こちらの赤いセーターのテディ・ベアを筆者近影として使用しています。(去年購入したものです)
準々決勝の試合開始は12時です。今回はランチを食べずに選手権に来てしまったので、途中で会場を抜け出して軽食を食べに行くことに。クイーンズ・クラブ選手権では入口でリストバンドを付けてもらえれば外出してまた会場に戻って来ることができます。(戻ってくる際にまたチケットを見せる必要があります)ご近所に住む友達におすすめカフェを聞いたところ、こちらのお店を教えてくれました。ウェスト・ケンジントン駅近くの「Crazy for Coffee(クレイジー・フォー・コーヒー)」です。店員さんが親切でケーキ類が美味しいイタリア・スタイルのカフェです。ハンドメイド・パスタも提供しています。この界隈ではリーズナブルな価格で、様々な種類のパスタが10ポンド前後でした。(ソースや具も種類が多かったです!)選手権会場から徒歩7分程度です。選手権会場にもサンドイッチなど簡単なものはありましたが、温かいものやケーキが食べたい場合はこちらのカフェがおすすめです。
以上、昨年に続き2回目のクイーンズ・クラブ選手権観戦でしたが、今回もとても楽しめました。今まで知らなかった魅力的な若い選手を沢山見られたことが一つ、もう一つはクイーンズ・クラブ選手権特有のまったりとした雰囲気でしょうか。第2試合の半ばまでは日差しが強くて少し暑かったのですが、それ以降は気温も少し下がり、そよ風が気持ちよくて、テニスを楽しみながら夏のロンドンの素晴らしさ(と、金曜日の解放感)を満喫することができました。ウィンブルドン選手権もいいですが、機会があったら是非クイーンズ・クラブ選手権もチェックしてみて下さいね!