北海道でいち早くコーヒー豆を販売！歴史ある函館の「十字屋珈琲店」でモーニングコーヒーを。

札幌・狸小路商店街2丁目にある"狸COMICHI"で訪れた函館発の「十字屋珈琲店」。以来、行ってみたかった創業地函館の「十字屋珈琲店」をご紹介します。

北海道で和人文化が最も早く伝わった道南の中心地、函館。
観光スポットとしても人気が高いキリスト教教会が多いことからもわかるように、北海道の中では外国文化も早くから入っていた歴史ある街です。
その函館ならではの老舗コーヒーショップが今回ご紹介する「十字屋珈琲店」です。

1935年（昭和7年）に函館で創業した「十字屋食料品店」が「十字屋珈琲店」のルーツ。
創業当時はまだコーヒーが珍しかった時代ですが、十字屋珈琲店のご主人によると、東京銀座にあった”ブラジル珈琲専売所”が函館のデパートで試飲販売を行った際、十字屋食料品店がその特約店・指定焙煎所としてすでにかかわっていたそうです。

まさに北海道でいち早くコーヒー豆の焙煎や販売を手掛けたお店のひとつとして歴史があるコーヒーショップです。
そして当時、ブラジルのコーヒー豆を扱っていたこともあり、現在まで十字屋珈琲のブレンドコーヒーには、ずっとブラジルのコーヒー豆を入れているそうです。
（昔の広告レプリカの写真は十字屋珈琲店狸小路店で撮影。）

現在、"十字屋珈琲"発祥の「十字屋食料品店」（函館市末広町）のほか旧函館公会堂内にある「カフェ十字」、札幌の狸小路2丁目にある「十字屋珈琲狸小路店」、そして今回訪れた函館朝市駅二市場内にある「十字屋珈琲店」の系列４店舗があります。

函館朝市の"駅二市場"にある「十字屋珈琲店」は、函館の歴史を見てきた十字屋食料品店が出店しただけに、函館朝市によりふさわしいコーヒーショップに思えます。
ちなみに"駅二市場"は、観光客に人気の"元祖活イカ釣堀"がある建物です。

十字屋食料品店には、コーヒー豆販売を開始した当時の新聞広告ををはじめ、さまざまな資料が今も残っているそうですが、駅二市場内にある十字屋珈琲店では、当時の広告をモチーフにしたコースターがありました。
アイスコーヒーなどを提供するときに使っているそうです。
今では貴重な活版印刷の風情が当時の函館の雰囲気とノスタルジー、そしてある種スタイリッシュな趣も感じさせてくれるコースターです。

余談ですが、現在もその名前を残している"食料品店"という単語にもノスタルジーを感じます。
とりわけ当時はカールレイモンやトラピスト修道院などのハムや乳製品を販売するなど、とてもモダンな食料品店だったそうです。

十字屋珈琲店のメニューは「十字屋ブレンドコーヒー」（400円）をはじめ、「水出しアイスコーヒー」（400円）などのドリンクメニューのほか、スイーツなども。
ハンドドリップでいれるコーヒーは、いれるたびに香りが辺りに漂い、鼻をくすぐります。

オリジナルカップにたっぷりと注がれた「ブレンドコーヒー」。

そしてメニューのひとつ、こちらもまた歴史がある人気函館土産の「トラピストクッキー」（1パッケージ100円/個人的に子供の頃から最も好きなお菓子のひとつです）の風味との相性もぴったりです。
観光客が行き交う朝市で味わう十字屋珈琲は、朝市散策をより充実した時間にしてくれます。

十字屋珈琲では、「トラピストクッキー」はもとより地元の原料を使ったメニューがあります。
そのひとつは、"函館牛乳"を使ったメニューです。

写真は「コーヒーミルク」（500円）。
スチームしたたっぷりの"函館牛乳”と"十字屋珈琲”のコラボレーションです。
より北海道らしさ、函館らしいコーヒーの味わい方ともいえるかもしれません。

「十字屋式箱館港福カタラーナ」（540円）などという魅惑的な名称のスイーツやそしてぜひこちらも味わいたい「函館牛乳アイスクリーム」（400円）もあります。

今回は朝食前でスイーツをいただくのは断念したので（とはいえトラピストクッキーはいただきましたが）スイーツ写真はありませんが、札幌の「十字屋珈琲店狸小路店」の"函館アイスクリーム"（500円）の写真（↑）を参考まで載せます。

異国文化を早くから吸収した函館の文化のひとつ、コーヒーをお土産に！
十字屋ブレンドをお土産にして、家に帰ってからも函館や朝市の雰囲気を思い起こしてもよいかもしれません。
もちろん、十字屋珈琲の味わいを自宅で改めてじっくりと味わってみる楽しみもあります。

函館滞在中、ホテルでも楽しめるドリップコーヒー(1包170円）も購入できます。

「十字屋コーヒーカップ」（写真・1,100円）や「十字屋オリジナルマグカップ」（1,500円）も販売しています。

そして印象深い、小さなお土産がこちら！
「十字屋しおり」（10円）です。

お店で目にするもの、ひとつひとつに味やストーリーがあり、聞けば聞くほど奥が深かった「十字屋珈琲店」。
外国人観光客も多く訪れる十字屋珈琲店では、あるときブラジル人のお客さんが訪れ、十字屋珈琲と"ブラジル"との深いつながりを知って驚いたり、偶然による、そして老舗だからこそのエピソードも生まれているそう。

美味しいコーヒーを飲みたいと訪れた函館朝市の「十字屋珈琲店」では、思いがけず函館の歴史ロマンも感じることになりました。

朝食を食べ終わる時刻ともなると、大勢のお客さんであふれる人気のコーヒーショップなので、観光で訪れた人が朝市で朝食をとっている間の早めの時間帯に行くことをおすすめします。