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イギリスのソウルフードといえば、やっぱり外せないのがフィッシュ&チップスです。今回はロンドン特派員が自信を持っておすすめする地元で人気のシーン別のお薦め店舗4件をご紹介します!
いつも通り、まずはちょっとした蘊蓄から。イギリスが誇るフィッシュ&チップスですが、その歴史は意外と新しく、1860年代のビクトリア女王の時代から。その後50-70年間で爆発的に広がり、多くの店舗ができました。バター液をつけた魚を油で揚げるという料理法は16世紀にスペイン・ポルトガルからオランダを経由してイギリスに移民したユダヤ系の住民が伝えたといわれています。ユダヤ教徒は金曜日に断つため、揚げた魚を食べることがよくあったそう。キリスト教でも同様の慣習があるので、現在のイギリスでも食堂の日替わりメニューなどは金曜日がフィッシュ&チップスになっていることが多いです。イギリスで19世紀にフィッシュ&チップスが広がった背景には産業革命により鉄道網が整備されていたことで、新鮮な魚を港から大都市に迅速に輸送することが可能になったからとか。なるほど。
ちなみにフィッシュ&チップスにつけるものと言えばビネガーと塩、そしてタルタルソースがメインですが、北イングランドの人は付け合わせのマッシュ・アンド・ピーズにこだわる人が多く、南の出身の人はカレーソースを付けたがる人が多いそうです。また、魚にはかけませんが、グレービー・ソースをチップスにかけたがるのも北イングランドの人が多いそうです。地域差があって面白いですね。
メイフェアのメルカートのすぐ隣にあるフィッシュ&チップスの店が人によってはロンドンで一番美味しいと評判です。その名も「Mayfair Chippy(メイフェア・チッピー)」。ミシュランガイドにも載ったお店です。いわゆるファーストフードというよりも少々ラグジュアリー路線のフィッシュ&チップスを提供しています。
お店はメイフェアですが、入りやすい雰囲気です。筆者は21.95ポンドの「メイフェア・クラシック」というフィッシュ&チップスを注文しました。トップの写真にある通り、コッドまたはハドックのフィッシュ&チップスに、タルタルソース、カレーソースとマッシ―ピーズの3つが揃ったセットになっています。魚もチップス(フライドポテト)もカラっと揚がっていて良し。魚が大きすぎないので、チップスまで食べきるのにちょうどいいボリューム感でした。レモンと塩で楽しんで、タルタルとカレーソースで味変を試して、大満足です。ロンドンで一番かどうかはもはや個人の好みのレベルで、このお店が一番という人がいるのも頷けます。フィッシュ&チップス好きな方は是非寄ってみて下さい。
次にご紹介するのは、繁華街ソーホーにある「Poppies Fish & Chips(ポピーズ・フィッシュ&チップス)」です。観光帰りやミュージカルを楽しめるシアターエリアにもほど近いのでとても使い勝手が良いです。にぎやかな店内には1950-80年代のポップスターの写真で飾られており、ノスタルジックな雰囲気でトリップ感があります。こちらのお店のこだわりは創業者のポップ船長が1952年にお店をスタートした時から変わらぬ料理法を守り続けていること、そして自前の魚屋さんがあり、新鮮な魚を常に供給することが可能なことです。お味はシンプル・イズ・ザ・ベストで、今回紹介する中でも最も王道のフィッシュ&チップスと言えると思います。フィッシュ&チップスのお値段はレギュラーサイズで17.5ポンド。お店の特製タルタルソースがついてきます。レモンまたはビネガーと塩を振りかけたら、ボナペティ!
こちらはリッチモンド在住の方におすすめされたシーフード・レストラン「Pier1 Fish and Grill(ピア―1・フィッシュ・アンド・グリル)」。10年以上地元に愛されているレストランで、新鮮な魚のフィッシュアンドチップスが目玉メニューですが、魚のグリルやイカ・エビ・ホタテなどのそれ以外のメニューも充実しています。お店は左側がテイクアウトが可能なカウンターで、右側がシンプルながら清潔で雰囲気のよいレストランです。その日はいいホタテが入っています、とのことだったので、前菜にホタテのグリルを注文しました。ジューシーでとても美味しくて、一瞬で平らげてしまいました!メインはコッド(タラ)とハドック(モンツキダラ)のフィッシュ&チップスをそれぞれ注文しました。どちらも文句なしの美味しさで、ビネガーやタルタルを付けずとも塩だけでいけるほどでした。既にまた食べたいです。個人的にあっさりしたハドックよりコッドの方が後味に余韻があって、フライに合っている気がしました。付け合わせのチップスやマッシーピーズも文句なしのバランスでした。フィッシュ&チップスのお値段は15-16ポンドと、このクオリティとしては大変リーズナブルです。前述の通りテイクアウトが可能なので、お天気がよければリバーサイドで食すもよし、アツアツをお店でほおばるもよしです!
情報通のロンドナーの方からスピタルフィールズ・マーケットの「Wicked Fish(ウィキッド・フィッシュ)」というお店がおすすめだと聞いてトライしてみることにしました。こちらのお店は元々ハックニー・ウィックの人気店で、最近ここスピタルフィールズに2号店を出店したそうです。グルテン・フリーの衣と新鮮な魚、手作りのタルタルソースを使ったフィッシュ&チップスを看板商品に、スコットランドのロブスターやオイスターなどのシーフードも提供しています。今回筆者が食べたのはフィッシュ&チップス。これがサクサクとした衣で油っぽくなくて、とっても美味しかったです!コンパクトながらレモン、ケチャップ、マヨネーズ、タルタルソース、塩など様々なソースを試せるのもポイントが高かったです。よくフィッシュ&チップスはオイリーで重すぎたり量が多すぎたりして食べきれないことがあるのですが、ウィキッド・フィッシュはカラっと揚がっていて量もピッタリで、気持ちよく食べきることができました。レギュラーサイズが12ポンドとお値段も良心的。大満足だったので次回はロブスターに挑戦してみたいです。
いかがでしたか。ロンドン旅行に来たら一度は食べたいフィッシュ&チップス。ぜひシーン別に上記のお店を試してみて下さいね!