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【ジョージア】ジョージアの古いクリスマスツリーと日本の繋がり

MAO

MAO

ジョージア特派員

更新日
2024年2月28日
公開日
2024年1月13日
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皆さんგამარჯობა(ガーマルジョバ:こんにちは)!
先日はボルジョミのクリスマスの様子を紹介しましたが、今回はボルジョミを含め、クリスマスシーズンのジョージアで見られる伝統的なクリスマスツリー”チチラキ:ჩიჩილაკი”を紹介します。

何故そのツリーを今回紹介するかというと、先日筆者のもとに、北海道出身の友人が訪れ、少し話題になったテーマがチチラキだったのです。彼女はチチラキを見たときに、”日本で見たことがある!”と親近感を覚えたそうです。
今回は少し、そのジョージアの伝統的なクリスマスツリーのチチラキについて、紐解いて見たいと思います。

ジョージアの古いクリスマスツリー”チチラキ:ჩიჩილაკი”とは?

ジョージアではクリスマスシーズンになると、バザールや家の軒先で白い木を削ったものが見られるようになります。
時には赤いリボンが付いていたり、お菓子が付いていたりするこの削り木のことを、ジョージアではチチラキ(ჩიჩილაკი)と言います。

チチラキはおもに、乾いたヘーゼルナッツや胡桃の枝を削って形成する伝統的なジョージアのクリスマスツリーで、大きさとしては、20cm程の小さなものから、3m程の大きな物までさまざまで、バザールで売られる様になります。
バザールで購入後、豊作を願ってリンゴやザクロで木を飾るのが伝統ですが、最近ではクリスマスツリーのオーナメントやキャンディーを飾ったりと、さまざまなデコレーションがされるようです。


緑のツリーと違い、真っ白いツリーであるために、シンプルに赤いリボンだけ付ける事で色合いが映えるため、おしゃれなカフェなどでも見かけます。


チチラキの特徴は、この木を薄く細く削った部分ですが、この部分をサンタクロース文化と同様に子供達のもとに訪れてプレゼントを届けるとされる、バジル大王(カイサリアのバジレイオス)のヒゲに似ていると信じられており、希望と生命のシンボルの木とされています。
そしてイエスキリストが洗礼を受けた日とされる洗礼祭(エピファニー)の日である1月19日に、チチラキについた昨年の厄を落とすという意味で、畑などでチチラキを燃やすのです。

今でこそクリスマスシーズンには多く見かけるチチラキですが、1921年にジョージアがソ連により占領されて以降、ソ連崩壊までの期間、チチラキは宗教的なシンボルと見なされ、販売が禁止されていたのです。
しかし崩壊以降は再びチチラキ人気が高まり、クリスマスのジョージアを彩る大切な文化のひとつに戻りました。

ジョージアのカフェで見かけるチチラキ
厄落としや今年の豊作を祈りながら、燃やされるチチラキ
バザールで販売されるチチラキ

チチラキと日本文化

さて前述の通り、北海道からの友人はチチラキに既視感を覚えたのですが、その理由として私にアイヌ文化のイナウを教えてくれました。


日本は北海道のアイヌ文化にチチラキと似た文化(イナウ)があり、また日本ではアイヌの他、東北や関東、紀伊半島、四国や南九州など広範囲に渡って同様の文化(削り掛け、削り花)があるのです。

アイヌ文化におけるイナウは、カムイ(人間に対して超越的な力をもつ神のような偉大な者)への捧げ物とされ、囲炉裏や部屋の四隅、戸口、窓などに置かれる木製の祭具です。主にヤナギや杉など木質の白いものから作られますが、材質はその祭具としての用途により異なります。

イナウは置かれた場所が祭壇となり、次に儀式を行う際には、古いものを取り除く事なく、新しいイナウが古いものに加わっていくため、儀式を行うごとにどんどん増えていきます。

一方、本州以南地域における”削り掛け”や”削り花”とされる文化も、イナウ同様ヤナギの木や、地域によりヌルデやニワトコ等が用いられる木製の祭具ではありますが、慣習性に違いがあります。

この”削り掛け”や”削り花”は、小正月や春彼岸、山の神祭りなどで用いられてきましたが、多くは小正月(1月15日)で用いられることが多かったそうです。その理由としては、朔の日(新月)である1月1日より、満月の15日の方が日にちの境として分かりやすかったことがひとつの理由とされています。

小正月に”削り掛け”が作られ、その祭具が正月飾りを炊き上げるどんと焼を行う際の神事に用いたりと、地域により様々な用途が”削り掛け”にもあり、そして小正月後の1月18日〜20日あたりで、使用されたものは燃やされます。

アイヌ文化におけるイナウ
アイヌ文化のイナウ2

文化を通して知る日本と類似性

今回友人からこのことを教えてもらい、筆者もよりジョージア文化に興味を抱きました。
遠く離れていると思っていた自国日本と、どこか関連性や類似性のある文化があることにすごく嬉しくなりました。

チチラキや削り掛けも、文化自体に直接の関連性があるのかどうかは筆者は分かりませんが、共に小正月儀礼の中で発展し定着したものなんだろうなぁと思います。

首都トビリシの有名な人形劇場レゾ・ガブリアぜにあるチチラキ

他にもまだまだ魅力あふれる町

今回の記事では、ジョージアの伝統的なクリスマスツリーと日本文化との繋がりを紹介しました。
もしこの記事を読まれて、クリスマスシーズンのジョージアにお越しの際は、チチラキを見ながら、遠い日本との繋がりも感じていただければ、ひと味違うクリスマスになると思います!

友人の住むジョージア東部カチュレティ村のチチラキ
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