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以前、2023年に入り日本で香港映画の上映が増えていますと書きましたが、2024年に入っても良質な香港映画の上映が止まりません。2024年1月12日公開の『燈火(ネオン)は消えず』を紹介しようと思いましたが、地球の歩き方編集部が先に書いていたので、それ以外の映画をお知らせしたいと思います。
それは2024年1月26日から公開される『白日青春-生きてこそ-(青春白日 / The Sunny Side of the Street)』です。主演は、香港の名優、黄秋生(アンソニー・ウォン)。香港のアカデミー賞とされる金像奨で最優秀主演男優賞にノミネート、台湾の金馬奨では見事、最優秀主演男優賞を受賞しています。
タクシー運転手である陳白日(チャン・バクヤッ)は、パキスタン人の難民と事故を起こし、その子供ハッサンと出会います。事故で突然父を亡くしたハッサンはギャングの溜まり場に入り浸るようになり、警察に追われる身となります。難民の息子ということで、守ってくれる人がいない香港で居場所がないと嘆くハッサン。彼の身を案じ、贖罪の気持ちからバクヤッは、逃亡を助けようとします。しかし、タクシー内にあった父の遺品を見つけたハッサンは、事故の相手がバクヤッだと分かり……。
香港はイギリスの植民地だったことで、パキスタンのほかインド、ネパールといった人たちもたくさん住んでいます。合法的に住んで、香港で生まれ育った2世も大勢おり、広東語を駆使して香港社会に浸透しています。香港の歴史を振り返ると、香港人ですら中国本土から違法に香港に入境した人は数えきれないほどいますし、親が日本人で、かつ香港で生まれ育ち、成人となって香港社会に進出している「日本人であり香港人である人」も増えています。
今回は、香港にいる難民について深く切り込んだ話ですが、劉國瑞(ラウ・コックルイ)監督もマレーシア生まれで、香港に移住してきた人。グローバル化、ダイバーシティ、移民、難民などいろいろな言葉がありますが、それについて考えされられる映画です。日本で公開される香港映画は、香港の社会問題を鋭く描くのが少なくありませんが、この作品もそのひとつだと思います。