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大聖堂やお城など中世の建築が多くの人に注目されていますが、ミラノには美しいアール・ヌーヴォー建築も点在しています。
アール・ヌーヴォー建築と聞くと、バルセロナにあるガウディの建築を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。フランス発祥のアール・ヌーヴォーは、イタリアでも1900年代からミラノをはじめとした都市に広がっていきました。
今回は、ミラノにたたずむ美しい曲線が魅惑的なアール・ヌーヴォー建築をご紹介します。
アール・ヌーヴォーは、19世紀末からフランスを中心に広まったアート運動です。 フランス語で「新しいアート」を意味するアール・ヌーヴォーの特徴は、しなやかな曲線美と植物をモチーフにしたデザイン。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家に、クリムトやミュシャなどが挙げられます。絵画のほか、建築、家具など幅広い分野に影響を与えました。
多くのヨーロッパの首都と同様、ミラノでは19世紀から20世紀初頭にかけて、優雅なフォルムを特徴とする建築を取り入れました。アール・ヌーヴォーまたはリバティとして知られるエレガントなスタイルは、街中に消えることのない痕跡をミラノの街に残しています。
ショッピングやレストランで人々がにぎわうポルタ・ヴェネツィア地区のメイン通りから一歩路地を入ると、カーザ・ガリンベルティがたたずんでいます。観光名所となっており、団体ツアーの人で週末はにぎわうスポットです。
カーザ・ガリンベルティは、ミラノの公共交通機関を管理していた企業から土地を購入したコントラクター「ガリンベルティ兄弟」によって建てられました。かつては、この場所に交通機関として使用されていた馬が休養する収容場所があったそうです。
建物は、建築家ジョヴァンニ・バッティスタ・ボッシによって設計され、1905年に完成しました。特徴は、ファサードのほぼ全体を覆うセラミックタイルに植物のモチーフやエレガントな女性や男性が描かれた装飾です。
装飾の中には、ベル・エポックの芸術家たちにインスピレーションを与えたミューズたちが華麗なドレスを着て人々を惹きつけています。
高層階には錬鉄製バルコニー、他のバルコニーも花や植物をイメージした装飾が施され華やかな印象です。
現在、1階にはレストランやショップがあり、他は一般の住居となっています。建物内は一般公開されていないので、外側のみ見学可能です。
カーザ・カンパニーニは、建築家アルフレッド・カンパニーニの傑作でもあり1904年から1906年に建設されました。こちらも、コンストラクターはガリンベルティ兄弟です。
アルフレッド・カンパニーニは、門の彫刻像からステンドグラスの窓、植物をモチーフにした錬鉄にいたるまで繊細にデザインしました。
多くの人が賞賛しているのは、2体の女性の彫刻が設置されているエントランスです。
他にも、錬鉄製の門や外壁の装飾、植物をモチーフにしたバルコニーは一見の価値があります。
モダンなスタイルに魅了されたカンパニーニは、住宅を総合芸術作品に変えました。絵画と彫刻のように、コンクリートの重い素材さえ穏やかな優雅さを与えています。
内部には、多色ガラスやフレスコ画もあり、サクランボをイメージした装飾が施された愛らしい一面もあります。
向かいには、18世紀に建てられたドームが美しい教会「サンタ・マリア・デッラ・パッショーネ(Santa Maria della Passione)」があるので立ち寄ってみてください。
表現力豊かで魅力ある装飾のアール・ヌーヴォー建築は、ミラノの人々が注目し誰もが立ち止まるスポットでもあります。ミラノへ行ったらぜひ散策しがてら、街中にあるアール・ヌーヴォー建築を堪能してください。