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ネットで検索すると、バレンシアの火祭りに関する記事はブログなども含め、数多く見つかります。でも内容が正しくないものも少なくありません。
いっときはなぜか火祭りは3月12日に始まるという、どこからきたのかわからない情報をよく目にしました。
今でもたまに見かけるのは、1位になったファジャ(最終日に燃やす可燃性のオブジェ)だけは燃やされずに永久保存されるというもの。え、あの高さが10mも20mもある大きなファジャを??? いったいどうやって運んで、どこに保管するわけ??? そもそも部門ごとに順位がつくので、1位のファジャはいくつもあるのに……
実は火祭りにはふたつのコンテストがあるのです。
先日の記事で現在開催中のニノット展のことを書きました(こちら)。そこでもお話したように、ニノットというのは人形という意味ですが、火祭りではこの写真のようにほぼ等身大でファジャのまわりに設置されているもののことを指します。このニノットはきっとピカソですね。
ニノット展では、ニノットを各ファジャから1体ずつ集めて展示します。来場者は、大人の部の大きなニノットから1つ、子どもの部の小さなニノットから1つ、気に入ったものに投票することができます。この一般投票によって選ばれたニノットが、灰になる運命を免れて火祭り博物館に永久展示されることになるのです。
もうひとつの順位は、専門の審査員団によるものです。いくつかのグループに分かれ、完成したファジャを見てまわって順位をつけます。
ただ、ファジャを有するグループは少人数のところから大人数のところまでさまざま。ファジャにかけられる製作費も少ないところから多いところまでまちまちです。そのため、製作費によってこまかく部門を分け、各部門ごとに順位をつけるシステムになっています。もっとも製作費が高い部門には毎年だいたい10くらいのファジャがあり、特に見応えがあります。火祭りに来たら、この部門(Sección Especial)のファジャを中心に見てまわることをオススメします。ほぼどれも製作費は数千万円するものなのですよ。
この審査システムは、大人の部のファジャも子どもの部のファジャも同じです。
子どもの部ならまだしも、大人の部の大きなファジャを永久保管することは不可能なので、1位をとったものもすべて含めて燃やされてしまいます。一般投票で1位になったニノットだけが、その前に取り出されるのです。
あの大きなファジャが丸ごと永久保管されるわけではないことをおわかりいただけましたでしょうか?
過去のニノットが展示されている火祭り博物館は年間を通してオープンしていますので、バレンシアにお越しの際はぜひお訪ねください。