【ボルジョミ】町を彩る珍しいモザイク画の正体

皆さんგამარჯობა（ガーマルジョバ：こんにちは）！

今回は、ボルジョミに訪れたら、必ずや一度は目にするボルジョミのモザイク画を紹介します。

モザイク画は、首都トビリシの建物でも多く見られますが、ここボルジョミにも高さ10mほどの巨大な作品から、小さな作品まで町中に点在しており、そして作者がボルジョミ出身のジョージアで有名な彫刻家なのです。

モザイク画は、ロシアやジョージアだけでなく、近隣の旧ソ連国でも多く見られ、ソ連時代を象徴する芸術です。
ソ連の指導者であったウラジミール・レーニンは、彼の理想郷（utopia）実現の上で重要視していた、公共の場を彩るアートが、ソ連の厳しい寒さによりすぐに色褪せることに当時悩んでいました。


その際、色褪せず、丈夫で耐久性があるモザイク画に目をつけ、ソ連内で普及させていったといわれています。

モザイク画は、さまざまな技法で作られることができますが、ここジョージアで作られた多くのモザイク画は、一般的に着色されたガラスの破片を用いて作られるスマルティ・モザイクというものでした。
当時は、耐久性のあるガラスの破片を用いたモザイク画像は貴重なものと考えられており、それらを用いて作られる作品は、共産主義社会のイデオロギーや理想郷を象徴するものとして、ソ連におけるプロパガンダの意味も持っていました。

筆者もかつてはロシアのモスクワやウラジオストクを旅したことがありますが、そこでも地下鉄の駅や、町中の廃墟の壁で美しいモザイク画に目を惹かれたことを覚えています。
またジョージアではグダウリにある”ロシア・ジョージア友好記念碑”のモザイク画も有名で、大絶景のなかにたたずむ両国の歴史に関するモザイク画は、圧巻です。

そのようなジョージア国内でも多く見られるモザイク画ですが、ここボルジョミでは他とは違うモザイク画を見ることができるのです。

ボルジョミにはモザイク画が中心街や公園などに点在していますが、いちばん目を惹く大きな作品は、冒頭の写真の作品で、町中心部のスーパー（გუდ მარტი:Good Mart）横にあります。
トビリシからマルシュトカ（乗合バス）に乗ってボルジョミに到着した際に降り立つ、ボルジョミバス停の斜め向かいの通りにあり、バス停からもはっきり見えます。

高さ10m程のモザイク画で、近づくとモザイク画らしく、一つひとつ美しい色の破片が埋められているように見え、とても色鮮やかできれいです。

これを作ったのは、「თანგული ორთოიძე（Tamguli ortoidhe）」氏、御年78歳の彫刻家です。
ボルジョミで生まれ育った彼は、モザイク画の製作だけでなく、ボルジョミ内の教会や銅像の修復など多くの芸術的な貢献をされており、ジョージア彫刻及び木工界の巨匠と言われています。

町にさりげなく素敵な作品があるなんて、とても素敵だなと前を通る度に思います。

・Tamguli ortoidhe|https://at.ge/2023/11/22/borjob/
・彼の作風|https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=ZYOoxivEMvA

彼の作品は前述の通り、この大きな作品だけでなく、川沿いの遊歩道にも少しユニークかつお茶目でかわいらしい作品も多くあるのです。
じっくり見ると、一つひとつのモザイク画に描かれているキャラクターの顔や笑顔がとても愛くるしく、通るたびに気持ちがほっこりします。
またボルジョミの象徴である鹿をモチーフにした作品も描かれており、作品を通してボルジョミの歴史や町の魅力を知ることができます。

また近くのBorjomi Likaniホテル内にある現在は使用されていない庭のプールも、彼の作品になっています。

今回はボルジョミのモザイクについて紹介しましたが、モザイク画はソ連時代の象徴として、ジョージア国内さまざまなところで見ることができます。


ソ連時代や、当時の支配にいい印象を持っていなかったジョージア人も多くいますが、しかしながら当時に作られたモザイク画には価値を見出し、古い建物や田舎においてもモザイク画が大切に保管されていたり、町を彩るシンボルのひとつとなっているのです。



まだまだジョージア国内には、人の目に触れていないモザイク画もあると言われています。あなたのお気に入りのモザイク画を探しに、ローカルなジョージア旅をするのもいいかもしれないですね。

思わぬ素敵なお宝に出合うかもしれません。