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関東に土地勘のある人にとって、●●浦和駅(または浦和●●駅)という「浦和」の地名が入った鉄道駅の多さに驚いたことがある人は多いはずです。実際、それぞれの駅間に距離はあるものの現在8つの駅に「浦和」の地名が入っています。所変わり神戸市の三宮では、半径200mほどのなかに「さんのみや」の名前が付いた鉄道やライナー駅が6つも存在します。同じ地名がついた駅の密度としては日本一(のはず)です。
神戸一の繁華街、三宮は新幹線の新神戸駅から地下鉄でわずか1駅(約2分)、飛行機利用の場合は神戸空港からポートライナーで約15分の場所に位置しているため、遠方からでもアクセスが簡単なのが特徴です。大阪(梅田)からも在来線で30分程度で行くことができます。
三宮周辺をはじめ、海と山に挟まれた神戸の町ではほとんどの場所から北側に六甲山系の山々が見えるため、東西南北が把握しやすく初めて訪れた人でも場所感覚がつかみやすいのが特徴です。道に迷った時などは、一旦立ち止まり山の方向を確認して体の中のコンパスを合わせましょう。ちなみに神戸の人は道案内の時などでも当たり前に北を山側、南を海側というので初めて聞いたときに「?」とならないようにしましょう。
三宮を起点に徒歩で行ける観光エリアは異人館のある北野エリアやレトロな洋館の佇まいが現在に残る旧居留地エリアです。どちらも西洋文化が色濃く残るおしゃれなスポットとして多くの観光客が訪れます。
筆者が県外の友人との待ち合わせで三宮の駅に集合しようと伝えた際「どの三宮の駅?」と尋ねられたことがあります。三宮に土地勘がある場合、集合場所といえば通称パイ山と呼ばれるサンキタ広場(現在はリニューアルを経てさんきたアモーレ広場)がメジャーで大体そこに集合することが多かったのですが、パイ山は伝わらないだろうという思いで駅集合にしたところ、スムーズに伝わらなかったのです! 地元民にとっては青天の霹靂でした。
この一連の流れで“さんのみや”の地名が入った駅の多さを再認識するとともに、誤解を生じないようきちんと路線の名前を伝えないといけないなと実感しました。
6つのなかで唯一「三宮」ではなく「三ノ宮」と真ん中に「ノ」が入るのが特徴のJR三ノ宮駅。播州赤穂駅から福井県の敦賀駅までを結ぶ新快速は三ノ宮駅にも停車し、主要な駅のみ停車するので京阪神の移動はもちろん、福井や滋賀、姫路などへのアクセスも快適です。
三宮から大阪の梅田まではJR、阪急電鉄、阪神電鉄が並走しています。阪急は北、阪神は南、JRはその真ん中を走っているイメージです。阪急沿線は落ち着いた雰囲気の町が多く、レベルの高いスイーツ店が軒を連ねる岡本や桜の名所として有名な芦屋川などがあります。
三宮から大阪梅田の間にある西宮北口で乗り換えをすれば宝塚へ、十三で京都線に乗り換えれば河原町や嵐山へのアクセスも便利です。
阪神沿線で訪れたい場所のひとつが灘五郷です。神戸市から西宮市にかけていくつもの酒蔵があり、蔵に隣接する施設で利き酒ができたり、予約をすれば蔵の見学ができる酒蔵もあります。
さらに阪神沿線で外せないものといえば甲子園球場です。甲子園駅から出てすぐの場所にあり、近くには甲子園球場歴史館や阪神タイガースカラーにデザインされたコンビニや飲食店もあります。タイガースファンでなくても一見の価値ありです。
最後に、阪神電鉄は神戸三宮駅から途中大阪難波駅を経由して近鉄奈良駅まで、乗り換えなしで行けるので、乗りこなすことができれば兵庫、大阪、奈良を満喫することもできます。
新幹線で新神戸駅に到着した場合に利用するのが市営地下鉄の西神・山手線です。新神戸駅~三宮駅間はわずか1駅で本数も多いため便利です。
西神・山手線の終点駅である谷上駅では有馬温泉方面へ向かう神戸電鉄と連絡しているので乗り換えも簡単です。三宮~有馬温泉間は30分程で行くことができます。市街地の喧騒とは全く異なり、山に囲まれた歴史ある有馬温泉で湯治の旅を楽しめます。
三宮・花時計前駅から新長田駅を結ぶ市営地下鉄の海岸線沿線にはノエビアスタジアム神戸があります。ここはヴィッセル神戸やラグビーチームのコベルコ神戸スティーラーズのホームグラウンドです。スタンドとピッチの距離が非常に近く、熱戦を至近距離で観戦できます。サッカーやラグビーの試合がある日は多くのファンがかけつけます。
終点の新長田駅周辺は大きな商店街があり下町の風情ただよう町並みです。新長田を訪れたら神戸のB級グルメ、焼きそばとご飯を混ぜて焼いた「そばめし」は外せません。駅前の広場には鉄人28号の巨大モニュメントがあり、写真スポットとしても有名です。鉄人の足元で鬼ごっこをしている子供や、休憩している地元の方もいて、すっかり新長田の町に馴染んでいます。新長田のある長田区は昔から「靴のまち」としても有名です。品質の良い靴が比較的安価に手に入るので、ぜひお気に入りの一足を探しましょう。
新神戸駅と並び神戸の玄関口となる神戸空港はポートアイランドの最南端にあります。三宮からは15分程度のアクセスで、ポートライナーの運行本数も多いため便利です。ポートアイランドには「神戸どうぶつ王国」や「バンドー神戸青少年科学館」など天候に左右されずに遊べる観光スポットが多く、多くの家族連れが訪れます。神戸空港の展望デッキからは飛行機の離着陸を間近で見られ、旅への想像を掻き立てます。
以上、三宮にある6つの駅を紹介しました。これらの駅は全て徒歩圏内ですが、それぞれ微妙に距離があります。今後は利便性をよくするためにも全ての駅を段階的に1ヵ所にまとめるための再開発を行うそうで、JR三ノ宮駅海側は工事の最中です。神戸を訪れるたびに少しずつ変わっていく町並みを見るのは少し寂しさも感じますが、ますます魅力的な町になってほしいなと陰ながら応援しています。