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香港のコンサート会場で特に有名なのは「香港體育館(Hong Kong Coliseum)」、「亜洲国際博覧館(AsiaWorld–Expo)」が“2強”として知られています。いずれも収容人数は1万人を超えるので、本当に集客力のある歌手しかここではコンサートを開けません。では、数千人規模の会場を使いたいアーティストはどうするのか? 九龍灣(Kowloon Bay)にある「九龍湾国際展貿中心(KITEC)」は、大勢の日本の歌手も利用したコンサート会場でした。ここが6月30日に閉鎖されましたので、閉鎖直前にコンサートの「裏聖地」に行ってみました。
『地球の歩き方』という観光の媒体なのに、なぜ閉鎖したところを取り上げるのか? と思われるかもしれません。ここでは、ゆず、AKB48など、無数の日本人アーティストがここでコンサートを開いたからです。お目当てのアーティストのコンサートを見るために、わざわざ日本から来たというファンにもあったこともあります。もちろん、たくさんの海外からの歌手もここでパフォーマンスをしました。裏聖地と冒頭に書きましたが、そう表現しても違和感がないほどコンサートが行われていたのです。中小規模のコンサート会場がなくなったので、アーティストの来港が減るのではないかと心配です。
ではなぜ、重宝されたのでしょうか? KITEC内にある「匯星(Star Hall)」というホールは、160人から3600人まで対応できる万能型の会場であったほか、「Music Zone @ E-Max」という400~600人のライブハウスもありました。アーティストの人気状況によって自由に会場の大きさを選ぶことができたのです。
そんな感じなのになぜ閉鎖? KITECは、コンサートホール以外も小売店やオフィスが入る複合施設なのですが、微妙にアクセスが悪いのです。それが影響して、いつも空きテナントが多く、館内がガラガラしているのが常態化していたのです。
最後のKITECですが、数少ない小売店やレストランは全滅。どこも開いていませんでした。館内も薄暗い感じで悲しくなりました。ただ、中央の吹き抜け部分では、小さな音楽イベントが開催されたようで、会場スタッフが音響設備のセッティングをしていました。
なお、KITECは今後、取り壊されて、新しいビルとして建て替えられる予定です。