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ロンドンのサウスケンジントンにある2つの特徴的な建物、ロイヤルアルバート・ホールとアルバート記念碑。
前者はコンサート&イベントに今も活用され、クラシック音楽の祭典「BBCプロムス」会場としてつとに有名。かたや後者はヴィクトリア女王の夫だったアルバート王配を称える、巨大な記念碑です。
そしてどちらも、42歳の若さで病に斃れた最愛の夫アルバートを悼んでヴィクトリア女王が建てたものです。だから記念碑とホールは、大通りを挟んで対をなしています。
真ん中に眩いばかりに黄金色のアルバート王配像をいただく記念碑は、なんと高さ約54メートル。ほぼ16階か17階だてビルくらいあり、まさに威風堂々!大英帝国最盛期の面影を残すと言って過言ではありません。
しかし大英帝国繁栄と植民地政策は、切っても切れないもの。そして昨今この記念碑は、ちょっとした物議をかもしました。
とくに話題となったのは、四方に配置された彫像群。それぞれ完成当時の1872年に大英帝国領土があった四大陸を象徴しており、以下のテーマを表現しているそうです。
ヨーロッパ:Manufacturing(製造)
アジア:Commerce(通商)
アメリカ:Engineering(技術工学)
アフリカ:Agriculture(農業)
ヨーロッパが「製造」?と今では一瞬とまどうものの、完成した1872年は産業革命後期。アジアが「通商」なのもシルクロードが活用された時代を思えば納得ですね。
しかし先ごろ物議を呼んだのは、アフリカの彫像でした。
ヴィクトリア時代のガイドブックによると、「これは弓に身体をもたげた未開地の男性が、西洋女性から教育を受ける様子。すなわち西洋による教育のおかげで文明へと立ち上がっていく姿を象徴していた」そうです。これは確かに現代の社会道義上、問題視されるのは当然。
植民地時代の繁栄は、負の遺産となった昨今。イギリスが今のイギリスとなった背景を歴史的事実として認めたうえで、将来このような問題とどう対峙していくのか注目したいですね。