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【アメリカ・メリーランド州】小さな町あるき・ハバディグレイス

ベスト加島 聡子

ベスト加島 聡子

アメリカ・メリーランド州特派員

更新日
2024年10月1日
公開日
2024年9月30日
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メリーランド州にはアメリカ建国以前から発展した町が数多くあり、歴史的な建造物や史跡が残されています。そんなアメリカの小さな町のひとつ、ハバディグレイス(Havre de Grace)をご紹介します。

フランス風の名称・ハバディグレイスとは

メリーランド州の中心都市であるボルチモアから北東へ約40マイル(約64km)車で約1時間弱、チェサピーク湾に面し、サスケハナ川の河口に位置するハバディグレイス(Havre de Grace)は、人口約一万四千人の小さな町です。英国の植民地時代から発展してきたメリーランド州の多くの土地の名前は、英国の人名(メリー、ジョージ、アンなど)にちなんだものが多いですが、この町はフランス語の「Le havre de Grace(グレースの港)」が由来で、一見英語っぽくない名称になっています。これはアメリカの独立戦争時にこの地を訪れたフランスの将軍が、故郷に似た景色に感銘を受けて名付けたという逸話が残されています。
1830年代に全米初の鉄道網が敷かれる前はアメリカでの主要交通は航路であったため、チェサピーク湾に面し、ペンシルバニアやオハイオへ北上するサスケハナ川の入り口にあるハバディグレイスは、古くから牡蠣やカニ漁、デコイを用いたカモの狩猟などで栄えてきました。
街の中心地は往時の面影を残したレンガ造りの商店街があり、街歩きを楽しむ人々で週末はにぎわいます。

  • 碁盤目状の通りからはチェサピーク湾も見える
  • 街歩きが楽しいレンガの街並み

デコイ博物館と海洋博物館

  • デコイ博物館の入り口
  • デコイ博物館前景
  • デコイ博物館のテラスから見えるチェサピーク湾
  • 海洋博物館の看板と建物
  • 海洋博物館の入り口

ハバディグレイスは別名「デコイの都 The Decoy Capital of the World」と言われるほど、かつてはデコイ職人が多く工房を構えていました。デコイとは、カモ猟の際、ハンターの乗ったボートの周辺の水面にカモの木彫りを浮かべて、カモをおびき寄せるために作られたものです。デコイ博物館(Havre de Grace Decoy Museum)にはそんなデコイの歴史から制作方法、膨大なデコイ・コレクションの数々を見ることが出来ます。

デコイ博物館所在地
215GilesStreet,HavredeGrace,MD21078
開館時間
月~土午前10:30~午後4:30,日午後12:00~午後4:00
入館料
大人8USドル、子供(9才~18才)2USドル、8才以下無料
公式ホームページ
https://decoymuseum.com/

デコイ博物館のすぐ近くには海洋博物館(Havre de Grace Maritime Museum)もあります。チェサピーク湾での漁業の歴史や湾に生息する海洋生物、そして奴隷解放宣言以前のアメリカで「地下鉄道 The Underground Railroad」と呼ばれ、南部の黒人奴隷たちが北部の自由州へ逃れるために秘密裏に脱出するための中継点がここハバディグレイスにもあったことが当時の資料とともに紹介されています。

海洋博物館所在地
100LafyetteStreet,HavredeGrace,MD21078
開館時間
水~土午前10時~午後5時、日午後1時~午後5時月・火休館
入館料
一人5USドル(年齢問わず)、家族割引あり
公式ホームページ
https://www.hdgmaritimemuseum.org/

コンコード・ポイント灯台と灯台守の家

  • コンコード・ポイント灯台は歴史的建造物として公園内に保存されている
  • 小さな灯台だが中のらせん階段を上って景色を見ることができる
  • さまざまな鳥の彫刻が飾られた桟橋
  • チェサピーク湾沿岸の街に多い木製の桟橋
  • 灯台の向かいには灯台守の家も保存・公開されている
  • 灯台守の家として使われている間に増改築があったことを外壁が示している

ハバディグレイスの南東に位置するコンコード・ポイント公園(Concord Point Park)は美しい芝生公園でここからチェサピーク湾の景色も存分に楽しめます。公園内には1827年に建てられたコンコード・ポイント灯台(Concord Point Lighthouse)があり、内部見学もできます。
芝生の公園から通りを経たところには、灯台守の家(Keeper's House)があります。1827年から1919年まで代々の灯台守とその家族が暮らしていた家です。建物内は1階部分のみではありますが、当時の生活風景を再現した台所や灯台守の歴史を紹介した展示があります。
(灯台・灯台守の家ともに公開は4月から10月までの毎土日)

コンコード・ポイント灯台と灯台守の家開館期間
4月~10月の毎土日(土曜:午前10時~午後2時、日曜:午後1時~午後5時)入館料無料※寄付箱あり
公式ホームページ(英語)
https://concordpointlighthouse.org/

メリーランドの歴史も学べる屋外アートギャラリー

ハバディグレイスの街を歩くと多くの公共アート(Public Art)が目に入ってきます。毎年10月半ばには「ハバディグレイス・アートショーHavre de Grace Art Show」という大きな屋外アートイベントが開催されるほか、5月から10月までの第一金曜日には「ファーストフライディFirst Fridays」というストリートイベントがあり、毎回100店を超える美術・工芸作家のテントが軒を連ねています。
グロウ・アリー・アートパーク(Graw Alley Art Park)は屋外壁画が並んでいる一角で、ハバディグレイスの歴史に関係する競馬、鉄道、船舶などの歴史がテーマになった壁画が現代の作家によって描かれています。
ちなみにメリーランド州は馬の飼育も盛んで、競馬は現在も三冠レースの一つとして開催される「プリークネス」がボルチモア郊外で行われています。

GrawAlleyArtPark所在地
115MarketStreet,HavredeGrace,MD21078

レトロな雰囲気のカフェやショップ

  • レトロな雰囲気が色濃い街の中心
  • レトロな町中にあるビンテージ・カフェ
  • レトロなインテリアのカフェで朝ごはんメニューが充実
  • ボンボイ・アイスクリームショップ姉妹店のチョコレート菓子店が道の反対側にもあります。
  • 「ワンスクープ(1すくい分)ください」とオーダーしたらディッシャーでがっつりすくってくれるのがアメリカらしい
VintageCafe所在地
114NorthWashingtonStreet,HavredeGrace,MD21078
営業時間
定休日なし午前8時~午後2時
ホームページ
https://vintagecafehdg.com/
Bomboy’sHomemadeIceCream所在地
322MarketStreet,HavredeGrace,MD21078
営業時間
月~土午前10時~午後6時;日曜午後12時~午後5時

ハバディグレイスへのアクセス

現在のハバディグレイスには旅客列車の鉄道駅はありません。最寄り駅は約5マイル(約8km)南西にあるアバディーン Aberdeen駅で、ワシントンDCとニューヨークやボストンを結ぶアムトラックの北東回廊(North East Corridor)の旅客列車が毎日運行しています。また、通勤電車としてMARC(マーク)トレインがワシントンDCやボルチモアへのアクセスとして運行しています。
アバディーン駅からハバディグレイスの中心地へはHarford Transit LINKという地元のバス路線が出ております。
5月~10月の週末(金~日)には、ハバディグレイス内の主要な観光ポイントを巡回するトローリー(the Tide Trolley)が無料運行されております。
フリーマーケットやアートショーなど週末の様々な町イベントに対応してか、ハバディグレイスには道路の両脇にたくさんの駐車スペースが設けられております。

  • 大きなゴルフカートのような乗り物がトローリーです
  • トローリーの停留所サイン
  • 小さな町ながら駐車スペースはたくさん用意されています
  • 現在のハバディグレイスに鉄道駅はないが、街の北端にあるサスケハナ川橋はアムトラックの列車が毎日通ります

タイド・トローリーの詳細情報

ハバディグレイス観光紹介公式ページ(英語)

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