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【バンコク】コーヒーハウス「サマンタオ」でタイ伝統の朝食を/Samantao Heritage Coffee

日向みく

日向みく

タイ特派員

更新日
2024年10月30日
公開日
2024年10月30日

少し早起きをして、やわらかい陽の光を浴びながら、緑あふれる庭園をのんびりと散歩する。鳥のさえずりを聴きながら、熱々の濃いコーヒーで目を覚まし、タイ伝統の朝食を堪能するーー。

バンコク都心に、そんな心安らぐオアシスがあります。プルンチット地区のコーヒーハウス、「サマンタオ」を紹介します。

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タイの老舗財閥の旧邸宅に佇むコーヒーハウス「サマンタオ」

BTSチットロム駅から、徒歩で約10分。商業施設「セントラルエンバシー」の手前、トンソン通りに入ります。すると右手に、「ナイラートパーク・ヘリテージホーム」(Nai Lert Park Heritage Home)の入口が見えてきました。

「Nai Lert Park Heritage Home」の入口

ナイラートパークの敷地は、およそ24000平米。この広大な土地を所有するのが、タイで名を馳せる老舗財閥「ラート家」です。

遡ること、1900年代の初頭。ラート・セータブット氏は、タイ初のバス事業を皮切りに、地域開発やホテル事業など、幅広いビジネスで成功をおさめました。タイの発展に大きく貢献した功績が評価され、ラマ6世から「ナイ」(貴族)の称号を与えられたのだそう。

2012年、4世代にわたってラート一族が暮らしていた邸宅は、庭園として生まれ変わりました。現在は、一般市民も自由に出入りすることができます。

筆者が訪れたのは、9月上旬のよく晴れた早朝。美しく整備された広大な庭園を奥に進み、旧邸宅を見学できるミュージアムを横切ります。

ミュージアム

噴水のある池が見えてきました。その池のほとりに、茶色い屋根の小さな建物がぽつんと佇んでいます。コーヒーハウス「サマンタオ・ヘリテージコーヒー」(Samantao Heritage Coffee)です。店名は、かつてラート氏が所有していた「サマンタオ船」に由来しているのだとか。

コーヒーハウス「サマンタオ」

営業は午前7時から。筆者が8時ごろに到着すると、すでに5名ほど先客がありました。池に面したテラス席には、テーブルが7つほど。濃い緑の木々で覆われ、木陰ができています。ときおり吹き抜ける風で、枝葉がさわさわと揺れています。

  • テラス席
  • テラス席

テラス席は気持ちがよさそうでしたが、筆者は0歳の息子を連れており、「息子には少し暑いかも……」と、中で食事することに。

開き戸を開け、店内へ。ガラス窓で囲まれたこじんまりとした空間に、カウンター席が4つと、4人がけの小さなテーブルがひとつ。どこか懐かしさを感じるタイ音楽が、ゆったりと流れています。筆者はカウンター席に腰かけ、窓から外を眺めました。

  • カウンター席
  • ラート氏が使用していた船の展示

「サマンタオ」が提供するメニューと価格

サマンタオでは、ラート家に代々伝わるレシピで作ったドリンクや、タイ式の朝食、タイ式のおやつなどを提供しています。小さな木製カウンターに積んであるメニュー表を手に取り、ぺらり。

ドリンクは、「タイ古式コーヒー」(Heritage Thai Coffee)のホットが80バーツ。コンデンスミルクや砂糖がたっぷりと注がれた、濃く甘いコーヒーです。まろやかでコクのある「バター入りコーヒー」や、「タイミルクティー」も80バーツ。

ドリンクメニュー

当店名物、タイ古式モーニングのメニューを見てみましょう。

タイ東北部・イサーン地方の定番朝食「カイガタ」(Pan-fried egg with topping)は、130バーツ。目玉焼きの上に、ソーセージや野菜のみじん切りなどの具材をのせます。アルミ製の小さなフライパンで提供されるのも、イサーンスタイル。

「カオトム」(Home-cooked rice porridge with marinated minced pork)130バーツは、タイ式の雑炊です。当店の具材は豚ひき肉。

タイ古式モーニングのメニュー

トースト、温泉卵、ホットティー、コーヒーがセットになった「Gor Gai」は、100バーツです。

タイ古式モーニングのメニュー

昔ながらのおやつも充実しています。トーストのメニューは、全部で5種類。タイ風カスタードクリーム「サンカヤー」を塗ったものは、55バーツです。

ココナッツミルクベースのサンカヤー。味は、緑色の「パンダンリーフ」と、オレンジ色の「タイティー」の2種類があります。サンカヤーにディップして食べる「蒸しパン」は、80バーツ。どうしよう。魅力的なメニューばかりで決められない……

タイ式おやつのメニュー

延々と悩む筆者を前に、カウンターのおばちゃんが笑いました。

「うちのメニューは、どれも安くておいしいの。迷うわよね」

タイ古式モーニングとおやつに舌鼓

無性にタイミルクティーが飲みたくなった筆者。トースト、温泉卵、ホットティー、タイミルクティーのアイスがセットになった「Chor Chang」(130バーツ)に決めました。

数分後、朝食セットが運ばれてきました。それぞれがグラスに入っていてかわいい!

温泉卵が入ったグラスに、タイ定番のシーズニングソース「マギーソース」をたらし、胡椒をふって味付けをします。スプーンでかき混ぜ、トーストをディップ。残りの卵は、グラスに口をつけて、グイっと飲みます。シンプルだけど、アロイマーク(=タイ語で “すごくおいしい”)!

朝食セット「Chor Chang」

さて、スイーツタイムといきますか。サンカヤーバイトゥーイのトースト(Toast with Pandanus Coconut Custard)を、追加注文しました。トーストには、緑のカスタードがたっぷりかかっています。切れ込みの入った生地にフォークをさして、ぱくり!

パンのふんわり食感と、とろっとしたカスタードの素朴な味わいが、絶妙にマッチ。タイティーも優しい甘さでゴクゴク飲めます。あぁ、たまらん……。

タイ式おやつ「Toast with Pandanus Coconut Custard」

ラート家の人たちも、ここで同じ朝食を食べていたのかな。タイミルクティーを飲みながら、窓の向こうの池や木々を眺めました。

タイの名家の歴史に思いを馳せるのも、また格別な過ごし方。ふぅ。胃も心も、はち切れんばかりに満たされた……

いつのまにか、息子は抱っこ紐のなかでスヤスヤと眠り込んでいました。「タイの懐メロが心地よかったんじゃないかしら?」と、カウンターのおばちゃんがにっこり。

スピーカーから流れるタイの懐メロ

お店の人に礼を伝え、庭園を散歩しながら帰路につきました。スマホで時刻を確認すると、あら、まだ午前9時半。なんて充実した朝だろう。

ちなみに、別日には、午後3時のおやつの時間に訪問しました。この日は、シュガートースト(Toast with Condensed Milk and Sugar)45バーツを注文。コンデンスミルクと砂糖たっぷりで、罪な味です。湯気が立つハーブティーを、無料で提供してくれました。

シュガートースト

バンコクで迎える1日の始まり。清々しい朝散歩のついでに、昔ながらのタイの味に癒されてみるのはいかがでしょうか。

 

■施設名「Samantao Heritage Coffee」

住所: 2 2 Witthayu Rd, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330
電話番号: +66 97 140 517
定休日: なし
営業時間: 9:00~17:00
URL: HP Facebook  Instagram

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