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今年もパリでチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」が開催中です。2024年の今年は10月31日から11月3日まで。会場内ではフランス各地および世界から集まったショコラティエやパティシエがブースを並べ、それぞれの商品を展開しています。
日本でのサロン・デュ・ショコラといえば、バレンタインデー前の即売会のような位置付けですが、本場パリで開かれているサロン・デュ・ショコラは、チョコレートの見本市の性格が強いです。BtoC(一般消費者向け)をおこなうだけでなく、BtoB(企業間取引)に繋げるための商談機会にもなっています。
このようなイベントの良いところは、その場に行かないと買えない地方の有名ショコラトリーの商品を、パリにいながら購入できること。ブースにはそのお店のシェフ・ショコラティエやシェフ・パティシエが立っていることも多いですので、作り手と直接話をしながら、商品について知識をより深められます。
パリ市内にあるお店に関しては、自分の生活圏や滞在ホテルの地区にない、認識していなかった(しかし美味しい)お店を発見することもできます。
今回私は、まだ食べたことがないフランス西部レンヌにあるローラン・ル・ダニエルのボンボンショコラを個人的に購入してみました。加えて、同西部ナントを訪れたときにはいつも寄るヴァンサン・ゲルレのボンボンショコラとタブレット、そして見た目にかわいいパリ11区にあるレ・ウルソン・ド・マノンのマシュマロのチョコレートを買いました。
日本からもいくつか出展していたのでお話をうかがってみました。
日本のスイーツ好きで知らない人はいないと思います、LE CHOCOLAT DE H(ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ)の辻口博啓さん。今年同店は「能登半島への感謝と復興を願う」をテーマに作った4種類のショコラなどを出品しています。辻口さんの出身地は石川県七尾市。今年1月1日に起きた能登半島沖地震で被災された生産者へ復興応援の思いを込めています。
4種類のフレーバーは、それぞれ「テロワール能登」「ふきのとう」「能登ヒバと酒」「能登柚子とレモンマリーゴールド」。辻口さんによると「いずれの味もフランス人に好評」とのこと。中でも「能登ヒバに関してはヒバの香りをチョコレートに入れるのに苦労した」そうで、試行錯誤の上にできた渾身の商品になっています。
愛知県名古屋市に店舗を構えるCHOCOLATERIE TAKASU(ショコラトリー・タカス)は、タブレットの他にボンボンショコラやカカオコーヒーなどを出展。こちらもパリのサロン・デュ・ショコラの常連店。同店のシェフ・パティシエである高須聡さんの出身地、愛知県西尾市の名産品である抹茶など地元産品を使ったチョコレートが目を引きました。
高須さんの出身は西尾市の中でも一色町という場所。同地区には常福寺という大仏(おおぼとけ)があり、私の地元・愛知県東海市にある曽祖父が建てた聚楽園大仏と同じ職人さん(後藤鍬五郎)が造った兄弟大仏です。そのため一色町には何度か足を運んだことがあり、地元の話で盛り上がりました。
東京・渋谷にあるTHÉOBROMA(テオブロマ)は、今回のサロン・デュ・ショコラでは、全農が開発した無塩味噌である「発酵そみファ」とコラボレーションしたチョコレートなどを展開。日本国内で消費が下り坂になっている味噌を消費量を上げようとする試みです。
味噌をチョコレートのフレーバーとして利用するのは、すでにフランスで広く浸透している柚子や抹茶などに比べてまだ一般的ではなく、今後注目されていくかもしれません。なお同店のシェフ・パティシエである土屋公二さんによると「味噌の中でも愛知県の八丁味噌が一番チョコレートとの相性が良い」とのこと。同店でも八丁味噌を使ったボンボンショコラをすでに展開しています。
東京・神楽坂にあるRICO(リコ)は、タブレットを中心にボンボンショコラなども出品。同店は品質が安定しているという理由で台湾産のカカオを用いているそうで、スムーズな口当たりのミルクチョコレートから個性を感じるダークチョコレートまで、幅広く展開しています。
同店のチーフショコラティエである提箸悠さんは「フランス人のお客さまは、70%くらいのダークチョコレートのタブレットに関して引き合いが強い」とパリでの印象を述べます。
これら特に日本のチョコレートは、すでに日本国内で販売されていたり、パリのサロン・デュ・ショコラで先行発売された後に日本でも販売される予定のものですので、気になるものがあれば取り寄せてみてください。
■サロン・デュ・ショコラ(Salon du Chocolat )
住所:Paris Expo Porte de Versailles, 1 Place de la Prte de Versailles 75015
URL:https://www.salon-du-chocolat.com/
期間:2024年10月30日〜11月3日