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香港映画三昧。東京国際映画祭、TIFFCOM、香港映画祭

武田 信晃

武田 信晃

香港特派員

更新日
2024年11月8日
公開日
2024年11月8日

第37回東京国際映画祭(TIFF)、コンテンツマーケットであるTIFFCOM、「香港映画祭 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」(東京開催分)が、10月下旬から11月上旬にかけてほぼ同時期に行われました。本当に香港映画でいっぱいの期間でしたが、日本における香港映画ファンの厚みも感じられた映画祭でした。

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TIFFでは香港映画6作品、香港映画祭では11作品が上映されました。『九龍城寨之圍城(Twilight of the Warriors: Walled In / トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦)』や『破.地獄(The Last Dance / ラストダンス)といった作品は、両映画祭で上映されたので一部は重なっています。

 

その『ラストダンス』ですが、香港の葬儀屋業界を描いています。日本人にとって香港のみならず外国の葬儀に参加する機会も、知る機会もあまりありません。この映画は、中華系の古い文化・風習や親子関係も描かれるので、普段知ることのできない香港の一面を見ることができます。

©︎©2024 Emperor Film Production Company Limited. All Rights Reserved 『ラストダンス』

香港映画祭での上映後に出演者によるQ&Aが開催されました。主演の黄子華(ダヨ・ウォン)は『神算(The Magic Touch。邦題:マジックタッチ』以来、32年ぶりに許冠文(マイケル・ホイ)との共演となったことについて次のように話しました。「最初は、本当に役者になりたくて、とにかく一生懸命にいろんなことをやってきました。 今は役者にこだわらずにいろいろやりたいと思っているのですが、どういうわけかマイケルと再会をしまして…こうなると、やらなきゃいけないですよね(笑)」

観客からの質問に答えるダヨ・ウォン

一方、TIFFCOMでは、日本を中心とした世界各国の映画会社、テレビ会社などのブースがずらり。ビジネスマンがコンテンツについての商談をしていました。その中で、香港政府文化体育局、香港貿易発展局などが「Hong Kong Films @ Tokyo」としてセミナーを開催しました。

TIFFCOMは業者向けのモノなので、普段は一般公開しないですがセミナーだけは一般公開するという画期的な試みでした。特に第2部は「カンフー映画:過去、現在、そして未来」と題して、俳優、監督のサモ・ハン、香港のアクション映画の常連である倉田保昭、アクション監督の谷垣健治の3氏が登壇しました。彼らを話を聞こうと会場いっぱいの人が詰めかけました。

セミナーの中でサモ・ハンは、カンフー映画の公開数が徐々に少なくなっている状況を心配していました。それを打開する1歩として「映画館に来てください」と言う言葉を繰り返していました。映画ファンによるカンフー映画への支持が将来につながるからです。

香港映画界のアクションの重鎮。左からサモ・ハン、倉田、谷垣

「Hong Kong Films @ Tokyo」終了後は、会場を移して「HONG KONG NIGHT @ TOKYO 2024」として来日している多くの香港映画関係者が一堂に介したパーティーが開催されました。筆者は何度も香港映画を取材していますが、約40人もの俳優や監督らが集まった集合写真の撮影は記憶にありません。そう考えると貴重な機会でした。

若手からベテラン俳優、監督などが勢ぞろい

今年のTIFFのコンペティション部門の審査委員長を務めたのが梁朝偉(トニー・レオン)です。クロージングでのあいさつでは「今回、審査委員長という立場に大変緊張しました。当初は、いい映画に出会えなかったらどうしよう、逆にいい映画ばかりだったらどうしようとハラハラしていました」と審査委員長らしいコメントでした。なお、彼を中心に選んだTIFFの最高栄誉である東京グランプリ/東京都知事賞受賞は吉田大八監督、長塚京三主演の『敵』でした。

筆者も劉青雲主演の『爸爸(Papa / お父さん)』などを見ました。15歳の少年が母と妹を殺害。息子と対峙する父親の苦悩を描いたのですが、実話がベースですし、仕事や子育てに苦悩する映画『虎毒不(Montages of a Modern Motherhood。邦題:母性のモンタージュ)』など、香港社会を上手く切り取った映画が多かったと思います。

©︎2024 TIFF 審査委員長を務めたトニー・レオン
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