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ミラノには、親子で楽しむ体験型ミュージアム「MUBA Museo dei Bambini Milano(ムバ・ムゼオ・デイ・バンビーニ・ミラノ)」があります。
子どものミュージアムと聞くと、室内遊具を思い浮かびませんか?
ここは、子どもの頃からアートを楽しむという目的があり館内にはアスレチックのような遊具はなく、アートを楽しみ好奇心をそそるアクティビティが用意されているのです。
イタリアは、モンテロッソーリ教育やレッジョ・エミリア・アプローチという子どもへの教育が誕生した場所でもあります。今回は、色やオブジェクトを通してアートを遊んで学ぶ子どもミュージアムをご紹介。
MUBAは、非営利財団によって管理されている私設博物館。2014年以来、遊びと創造性を促進する展示やワークショップも開催されています。
建物は、ロトンダ・デッラ・ベザーナ(Rotonda della Besana)という18世紀に建設されたバロック様式の複合施設内に位置。レンガ造りの塀を通り中に入ると、中庭を囲む回路が美しく、庭は多くの緑で埋め尽くされています。
中庭は、ミュージアムに入場しなくても利用することができ、子ども用の遊具(ブランコや滑り台)があり、地元住民の憩いの場でもあるのです。
中央に佇む十字型の建物に、MUBAとレストランが併設されています。十字型の建物はかつて、教会として使用されていました。内部は、大きな柱が並び教会だった面影があり、歴史の風格が印象に残る空間。
この場所で、子どもたちは芸術と文化を遊びながら体験します。
MUBAでは、常設プログラムのほかワークショップなど時期により異なるイベントを開催。今回、「色彩と光」とレッジョ・エミリア・アプローチの一つ「レミダ(REMIDA)」2つのプログラムに参加しました。
両方のプログラムはガイド付きで、遊びの前にガイドによるストーリータイムが設けられています。
Colore(コロレ)はイタリア語で「色」を意味し、を就学前の年齢から発見し学ぶ目的があります。
プログラムは75 分間、対象年齢は、2才から7才。参加者は、1グループ15人ほどに分かれ、ガイドと一緒に「Colore」のエリアへ。
Coloreエリアには、4 つのインスタレーションがあり、ツアーガイドの説明を聞きながら色と光を通して、色彩の世界を楽しみ発見していきます。
1つ目のアクティビティは、カラーライトが入ったチューブ。
赤やピンク、緑、黄色などカラフルなライトがチューブの中を照らします。
照らされるライトの下には、ベルベットやミラー、布、クッションなどテクスチャーの異なったものを設置。
手の色や洋服の色がカラーライトによって異なることを楽しんだり、設置されたテクスチャーに横になったり触ったりして感触の違いを楽しみます。
続いて、一色の色で描かれた果物や動物などの絵が描かれたパネルが渡されます。
カラーライトの下に置くと、カラーライトの影響で時には絵の色が変わったり、消えてしまったり、カラーライトが表面に描かれた絵の色と相互作用して見え方に違いがあることを発見します。
2つ目のアクティビティは、壁一面にカラフルな色で描かれた動物の絵がある小さな部屋へ。
色には、明るい色や暗い色、鮮やかな色、柔らかい色などがあることを知り、色が変化することを見て学びます。
ここでは部屋の照明の色が5秒ごとに変わり、壁に映り出される動物が消えたり、浮き出たりするのです。
担当者の人がサルはどこだというと子どもたちは必死に探し、ライトの色が変わり何の動物が見えるか知らせたりしていました。続いて、カエルやてんとう虫などの絵の描かれたパネルを渡されると、部屋のライトが変わるごとに違う色に変わったり、光に反応して浮き出たり消えてしまったり、変化を楽しみます。
3つ目のアクティビティは、ブラックライトのような灯りに照らされた部屋へ。
この部屋のテーマは、色が何もない空間。
テーブルの上に野菜や果物のおもちゃが置いてありますが、ライトの影響で全て白っぽく見えて何色がわからなくなっています。
野菜や果物の形から色を想像して、色の名前が記載されたボックスへ分別するのがここでのアクティビティです。
テーブルの上にある野菜と果物のおもちゃを分別し終わると、最後にライトをつけて答え合わせ。
所々違う色の場所に、野菜や果物が入っていて子どもたちは大盛り上がりでした。
4つ目のアクティビティーは見て触って感覚を楽しむコーナー。
レッジョ・エミリア・アプローチでも使用されている自然素材が棚に並び、天然石や鹿の角、貝殻、鳥の羽、かぼちゃ、ナッツ、葉っぱなど展示。
子どもたちは自由に触って、香りを嗅いだり、並べたりして遊んでいました。
最後に、マイクロスコープを利用してテーブル状のスクリーンに様々なものが映し出します。マッシュルームを見てみると、小さな穴がたくさんあり大人も子どもも新たな発見に大盛り上がり。黒い溶岩石を見ると、虹色に輝くスポットがあったりと意外な発見を楽しめる空間でした。
レッジョ・エミリアで発案されたREMIDA は、子どもたちの創造性をサステナブルに楽しむプロジェクト。クリエイティブリユースセンターとなっているのです。
REMIDA は、企業から回収されたさまざまな廃棄物の素材を厳選して提供、子どもの遊具としてリサイクルのほか、生活で使用されている廃棄物を違う視点からみて創造性を刺激。対象年齢は、11ヶ月から5才まで。
このエリアには、鮮やかなマテリアルがコーナーごとに設置され、廃材素材を使って遊びます。
マスクだったであろうものから、木の廃材、色とりどりの布、レザー製品、ゴム、何かのボトルなど触って、創作して、遊びを通して発見、創造力の発達を促進。
洗濯を干すようなコーナーやマグネットパネルで形を重ねてアート作品をしたり、筒にスティック状の緩衝材を入れたり、遊び方は様々。
10以上のコーナーがあるので、プログラムの75分間たっぷり楽しめます。
ここには、レストランが併設されています。
店内には、教会だった大きな柱が今も残され、緑が多いスタイリッシュな空間。
メニューは全てハーフサイズに変更できて、キッズメニュー以外でも子どもたちが本格イタリアンを堪能できるのも魅力の一つ。
雰囲気がよく、お料理も美味しいので、ぜひ立ち寄ってみてください。
ミュージアムの入場には事前に予約が必要。Coloreは特に人気で、1週間前までには予約をおすすめします。
イベントやワークショップも開催されているのでレッジョ・エミリア・アプローチに興味がある方はぜひウェブサイトをチェックして参加してみてください。
子どもと一緒に触れたり、実験したり体験型の展示を通じてアートを楽しみましょう。
■MUBA Museo dei Bambini Milano|ムバ・ムゼオ・デイ・バンビーニ・ミラノ
所在地: Via Enrico Besana, 12, 20122 Milan, Italy
開館時間:土曜日、日曜日10:00〜17:30
ウェブサイト:https://www.muba.it/
入場料:大人/8ユーロ、子ども/10 ユーロ(プログラムごとに入場料が必要です)