• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

スペインキッズはクリスマスプレゼントを2回もらう?

田川 敬子

田川 敬子

スペイン特派員

更新日
2024年12月31日
公開日
2024年12月31日
©VisitValencia

大晦日なのにまだクリスマスの話?なんて思わないでください。スペインは1月6日までがクリスマスなのです。さて、タイトルの通り、最近はスペインのほとんどの子ども達がクリスマス期間中に2回プレゼントをもらいます。それもそれぞれの日にひとつずつではなく、どちらの日にもいくつものプレゼントをもらうのです。今回はそんなスペインキッズのクリスマスプレゼント事情についてお話ししましょう。

AD

プレゼントを届けてくれるのはサンタクロースと東方の三賢王

スペインにサンタクロースがやって来るようになったのは、1970年代頃と言われています。もちろんその前からクリスマスプレゼントはありました。それは、ラクダに乗った東方の三賢王が1月5日の夜中に届けてくれて、6日の朝目覚めると置いてあるものでした。これは東方の三賢王が救世主の誕生を知り、星に導かれて幼子イエスに贈り物を持って礼拝に来た日が1月6日の公現祭であることに由来した伝統的な習慣です。この習慣はもちろん今でも続いているのですが、そこにサンタクロースも加わり、いつしか12月25日の朝と1月6日の朝の2回に渡ってプレゼントをもらうようになってしまったのです。

 

©︎VisitValencia 白髪のメルチョール王はヨーロッパ人、赤毛のガスパール王はアジア人、黒人のバルタサール王はアフリカ人を表しているのだとか

 

わが家で息子がまだ小さかった頃は伝統にのっとり「うちには東方の三賢王しか来ない」と息子に言って聞かせていましたが、いつの間にかサンタクロースは夫の実家に息子宛てのプレゼントを置いていくという話ができあがり、結局クリスマス休暇のはじまりと終わりにプレゼントをもらうようになりました。通常はサンタさんも三賢王もやって来る家が主流のようです。「オモチャはクリスマス休暇の最初にもらう方がいいからね」とママ友が言うのを何度か耳にしましたが、確かにそれは一理ありますね。とあるママ友は、クリスマスの時にはオモチャ類を、1月6日の公現祭の時には文具や衣類などの必需品をプレゼントにしていました。良いアイデアですよね。

 

親は信じ込ませるためにあれこれ手を尽くす

クリスマスが近づくと親は子どもに何がほしいか聞き出して、こっそりと買っておかないといけません。それが理由なのかはわかりませんが、サンタクロースや三賢王に何がほしいか手紙を書かせます。手紙は普通のポストに入れてもいいのですが、街角にはその手紙を出すためのかわいいポストまで出現します。12月末から1月初頭には、東方の三賢王の従者に直接手紙を渡そうというイベントまで開かれるのですよ。夢がありますね。

 

三賢王の従者に手紙を渡す子ども達

 

また、1月5日の夕方から夜にかけてはスペイン各地で三賢王がやってきたよ~!とパレードが催されます。このパレードではお菓子や、大きな都市ではボールなどのオモチャまでばらまかれるので、子ども達は毎年とても楽しみにしています。もちろん三賢王の姿も見ることができるので、「あの三賢王が今夜うちに来るんだ」と心を躍らせるのです。

子ども達はサンタクロースや東方の三賢王が来る前の夜には、来てくれたお礼にお菓子や飲み物をセットして眠りにつきます。トナカイやラクダの分を置くことも。わが家では息子が眠っている間に、食べたり飲んだりしたように手を加えたものです。手紙といい、パレードといい、このお礼といい、子ども達にサンタクロースや三賢王の存在を信じさせるためにいろいろ手をかけるところに親の愛情を感じます。

息子が幼稚園の頃、眠る前に三賢王のために置いたお菓子とみかん。ボウルにはラクダへのお水が入っています

プレゼントの量、多過ぎない?

こんな風に親も一緒に楽しめるクリスマスプレゼントなのですが、私が驚き、そして疑問に感じているのがプレゼントの多さです。日本ではプレゼントってひとつですよね? スペインは1人の子どもがいくつものプレゼントをもらうのです。

わが家の息子を例にすると、私たち両親のほかに祖母、2人のおじ家族だけなのですが、それぞれが何点か用意するのです。これには驚きました。

たくさんもらうので、あまり関心がなく開けただけでその後手をつけなかったオモチャも多々ありました。私はここまでたくさんあげることに疑問を覚えます。ほしいものは何でも手に入ると思ってほしくありませんし、ものを大切にしない子にも育ってほしくありませんでした。そこで本人が希望するものをひとつにして、あとは靴や衣類、文具などの必需品と本やDVDにしないかと何度か夫に提案したのですが、夫は首を縦には振らずほしがっていたオモチャをいくつか買っていました。ほかにも祖母やおじ達からもらうというのに。それなら義理の家族サイドには、こちらからリクエストする必需品や本、DVDを買ってもらえないかとも言ったのですが、これも「息子がほしいもの、本人たちが買いたいものでどうしてダメなんだ?」と取り合ってくれませんでした。この甘さ、スペインあるあるです。

 

1月6日の朝にプレゼントを開ける幼稚園時代の息子。祖母やおじ達からのプレゼントはまた別に
7歳のクリスマスに三賢王が息子に届けてくれたプレゼント。祖母とおじ達からはまた別にもらっていました

 

こんな夫ですが、毎回プレゼントと一緒に三賢王からの手紙も用意してくれた点だけは評価します(子どもの名前を入れてプリントすればいいだけのひな形がインターネットにあるそうです)。小学校を卒業するまではこのような感じだったので、息子には小さかった頃の楽しいクリスマスの思い出になっていることを願います。

もちろん家族間でしっかり話し合ってプレゼントを揃えているところもありますが、多くの子ども達は日本人の予想をはるかに超える量のプレゼントをもらっているのが現状です。そういえば、アメリカのホストファミリーの家もそんな感じでした。欧米ではこれが普通なのでしょうか?

息子が成人した今、サンタクロースや三賢王の存在を信じ込ませたり、どんなプレゼントを贈るかあれこれ考えていたクリスマスが懐かしいです。

 

トップへ戻る

TOP