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【パリ】クリスマス年末年始の過ごし方、フランス人はどこまで宗教を信じているのか?

守隨 亨延

守隨 亨延

フランス特派員

更新日
2025年1月6日
公開日
2025年1月6日
Yukinobu Shuzui パリ市内ノートルダム大聖堂のクレッシュ(キリスト誕生の様子)

フランスの年末年始は特別な空気に包まれます。クリスマスイヴまでの町中の慌ただしさと、冬の寒さと孤独さを紛らわせてくれる装飾やイルミネーションが、雰囲気を一層輝かせます。ノエル(クリスマス)の家族・親戚の団らん、サン・シルヴェストルと呼ばれる大晦日、大晦日の晩餐であるレヴェイヨンと、ご馳走が立て続けに並ぶ時期です。パリを主にフランスの年末年始について、まとめます。

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フランス人のクリスマスの予算は?

©︎Yukinobu Shuzui パティスリー「JOJO&CO」が2024年に販売したブッシュ・ド・ノエル(クリスマスケーキ)

フランスにいる人々は、クリスマスに対してどれくらい力を入れているのでしょうか?フランスのシンクタンクCSAがまとめ、フランスのフィガロ紙が2024年11月に報じた統計によると、クリスマスに対してかける予算の平均は2024年で497ユーロだそうです。日本円だと約8万円です(1ユーロは162円:2025年1月5日現在)。

2024年の場合、使い道はプレゼントが323ユーロでトップ。食事が132ユーロとほぼ大方を占め、他に装飾、衣服、交通費でした。

この調査で興味深いのが、クリスマスにかける予算が年々減っているということ。2017年には749ユーロ(約12万円)あった額が、年による軽微な前後はありつつも、2024年に至るまで少しずつ下がっています。フランスの物の価値は年々上昇していますが、それを超えてクリスマスに対する人々の財布のひもは、よりかたくなっています。

年齢別でも金額は変化します。25〜34歳の年齢層においては、2024年の平均が326ユーロでしたが、65歳以上は718ユーロだったそうです。

実際どれくらいの人が宗教を信じているのか?

©︎Yukinobu Shuzui パリ市内サンポール・サンルイ教会のクレッシュ

クリスマスに焦点を当てた記事を書くと、フランス人が皆、カトリック教徒(キリスト教)のように思えるかもしれませんが、実際は宗教と距離がある人は多いです。

日本の文化庁が2022年に出した『海外の宗教事情に関する調査報告書』によると、フランスで「宗教を信じている」人は全体の35%。「信じていない(無神論者:神の存在を否定する思想)」は29%でした。宗教を信じている人は3割強しかいません。

信仰をどれくらいの頻度で実践しているかという問いには、「毎日」「週1回」「月1回」を合わせても14%。ほとんどの人が宗教を中心とした毎日があるわけではなく、「大きな祭日のみ」が31%、「全くしない」は38%となっています。信仰についての内訳は、カトリックが47%でほぼ半分、次いでイスラム3%、プロテスタント3%、ユダヤ1%などです。

歴史的にフランスは、かつて強大な力を持っていたカトリック教会の政治への影響力を断ち切るために、ライシテと呼ばれる政教分離が行われました。公共の場所では、この考えが徹底されています。

有名なものとしては、公立の学校でイスラム教徒の女性が宗教上のスカーフをかぶることが認められていないというものがありますが、これはイスラム教徒に限った話ではなく、キリスト教徒であっても仏教徒であっても、宗教的なものを公共の場に持ち込むことは認められていません。等しく持ち込まないことで、全ての人にとっての平等が保たれるという考え方です。

パリの様子とフランス特派員の今年末の過ごし方

©︎Yukinobu Shuzui 百貨店ギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店の2024年クリスマスツリー

数字や理屈でフランスのクリスマスの様子を中心に説明してきましたが、ガイドブックの記事らしく、実際の町の様子、特に私が年末年始に訪れたスポットをご紹介して、最後のまとめにします。

フランスでは、クリスマスイヴ、クリスマス当日、大晦日、元日などには、各教会では特別なミサが行われて、厳かな雰囲気に包まれます。私の実家は、よくある日本の伝統仏教の家ですが、パリで暮らすようになってからは、年末年始の節目の日は教会へお参りに行くようになりました。

まず2024年12月8日に一般見学が再開されたパリのノートルダム大聖堂。再開当初は予約もなかなか取れず(予約なしでもキャパシティに余裕があれば入場可能)、年末年始の観光シーズンも重なり、行きたくても行けない状態が続いていました。しかし、年が明けてからは予約がちらほらと取れるようになってきました。

町中で開かれるクリスマスマーケット(フランス語でマルシェ・ド・ノエル)も、この時期ならではです。日本の縁日のように、季節の雰囲気に包まれながら外で飲食をすると、ちょっとした食べ物でも味も数倍に。パリで特に有名なマーケットは、チュイルリー公園のクリスマスマーケットです。

今年は仕事で、パリの東にあるシャンパンで有名な町、ランスへ年末に訪れる機会があったのですが、そこのクリスマスマーケットにも寄ってみました。フランス国鉄(SNCF)ランス駅のすぐ前にあります。ずらりとシャレー(販売スタンド)が立ち並ぶさまは壮観でした。

©︎Yukinobu Shuzui ランスのクリスマスマーケット

年が明けても楽しみなイベントが続きます。そのひとつが、1月5日の公言祭の祝日(東方の三博士がベツレヘムに誕生したキリストを訪れた日)に食べるガレット・デ・ロワ。今年は、12月に再開したノートルダム大聖堂のバラ窓にちなんだ装飾を施した、ニーナ・メタイエの商品を買ってみました。

ガレット・デ・ロワは、1月5日で姿を消してしまうわけではなく、フランスの町中では、1月中なら大抵ガレット・デ・ロワが売られています。

©︎Yukinobu Shuzui ニーナ・メタイエの2025年のガレット・デ・ロワ

さて、次の年末年始までもう1年ありません!次の冬のホリデーシーズンを、フランスで過ごす計画を今から立ててみませんか?

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