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新酒の季節、各地でおいしい日本酒を楽しんでますか? さて、日本酒といえば、「とっくり」と「おちょこ」。今回は、日本有数のとっくりの生産地である岐阜県土岐市の下石(しもおろし)町を散策してきました。ここには、岐阜県在住の私イチオシのご当地キャラ「とっくりとっくん」がたくさん生息している、ユニークな路地があるのです。
岐阜県南東部に位置する土岐市は、近隣の多治見市、瑞浪市、可児市などとともに、古い歴史を持つ陶磁器「美濃焼」の産地として知られています。美濃焼は、国内で生産される陶磁器の約半分のシェアを占めているので、皆さんも普段、使っているかもしれませんね。
土岐市のなかでも、駄知町は「どんぶり」、肥田町は「皿」というように、地区によってメインで作られている焼き物に特徴があります。それぞれの町に得意分野があるようなイメージでしょうか。下石町は古くから「とっくり」を生産する窯元が特に集中するエリアです。
下石町裏山地区で、2007年に地元の窯元らの手によって誕生した、オリジナルキャラクターが「とっくりとっくん」です。実に20年近く前から愛されているキャラクターなんですね。
下石町にはいたるところに、陶器でできたとっくりとっくんが置かれています。その数は200体にもおよぶのだとか。東鉄バス(東濃鉄道)の裏山口バス停からすぐの場所にある「とっくりとっくん広場」では、たくさんのとっくりとっくんたちが、楽器を演奏したり、酒宴に興じたりしています。ひとつずつ見ていくと、表情や仕草がどことなく「おじさん」を彷彿させるのに、なぜか愛らしい……。まさに癒やし系キャラなんです。
とっくりとっくん広場から、窯元が立ち並ぶ裏山地区に通じる路地、「とっくん小径」に入るやいなや、いたるところにとっくりとっくんを発見。ここにいた! あ、あそこにもいる! と、歩きながら目で追っているうちに、いつのまにか夢中になって探していました。
とっくりとっくんの魅力はなんといっても、その豊かな表情と、日常を切り取ったかのようなリアルな仕草。次から次へと見つかりますが、ひとつひとつが個性的でちっとも見飽きることがありません。太鼓を叩いていたり、釣りをしていたり、川にかかっているポールにしがみついていたり……。
くすっと笑ってしまうようなシチュエーションのとっくりとっくんたちは見ているだけで、楽しくなってきます。神社の鳥居の前にはとっくりとっくんの狛犬(狛とっくん?)も!
下石町はいかにも観光地という場所ではなく、裏山地区の路地もひとけの少ない静かな場所です。とっくりとっくんに誘われて散策しているうちに、窯元が点在する陶器のまちの空気にも癒やされる気がしました。
土岐市にはほかにも陶磁器のまちを象徴するような道の駅や、美濃焼の歴史を学べるスポットなどがあり、うつわ好きにはとても魅力的なエリアです。とっくりとっくんを存分に愛でたあとは、さらに土岐でやきもの文化に触れる旅はいかがでしょうか。
■とっくりとっくん広場・とっくん小径
住所:岐阜県土岐市下石町
アクセス:(バス)東鉄バス、(東濃鉄道)裏山口バス亭下車徒歩約1分、(自家用車)東海環状自動車「土岐南多治見IC」から下石方面へ約5分