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【モントリオール】アンダーグラウンドシティ

NAMI

NAMI

カナダ特派員

更新日
2025年4月26日
公開日
2025年4月26日

モントリオールからボンジュ~ル!
皆さんこんにちは。モントリオール在住、カナダ特派員のNAMIです。

4月も下旬になり、ようやく薄手のジャケットで外に出られるようになってきましたが、冬の寒さが厳しいモントリオール。
そんなモントリオールは、発達した地下街でも知られています。

「モントリオール地下街(通称 RÉSO)」は、市内の多くの施設と直結しており、まるでひとつの屋内都市のような空間を形成し、その規模は世界最大級を誇ります。
総延長33kmにおよぶ地下通路は、12㎢以上の広大なエリアに広がり、ショッピングセンター、住宅、ホテル、オフィスビル、銀行、企業、博物館、大学、モントリオール地下鉄7駅、通勤列車の駅2駅、地域バスターミナル、さらには2024年3月にフィギュアスケートの世界選手権が開催されたベル・センターや、アニメのフェスティバル「Otakuthon(オタクトン)」が毎年夏に開催される国際会議場まで、数多くの施設と直結しています。
特に降雪の多い冬季には、一日あたり約50万人が外を歩かずに、この地下通路を利用するなど、市民や観光客にとって欠かせない都市インフラとなっています。

本日は、RÉSOにより直結されたモントリオールのアンダーグラウンドシティを歴史や知られざるエピソードとともにご紹介します。

 

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アンダーグラウンドシティの歴史

モントリオール地下街「RÉSO」は、1962年にプラス・ヴィル・マリーとフェアモント・クイーン・エリザベス・ホテル、モントリオール中央駅を結ぶ地下通路の開通を起源とします。
この構想は1967年のモントリオール万博や1966年開業の地下鉄にも採用され、中央駅周辺の主要ビルが地下で接続されることで、地下都市の基盤が形成されました。

その後、プラス・デザー駅周辺に「コンプレックス・デジャルダン」が建設され、ジャズ・フェスティバルの会場であるプラス・デザー多目的ホールやモントリオール国際会議場とつながりました。

1990年代にはダウンタウンの中心でもあるピール駅とマギル駅がトンネルで結ばれ、周辺のショッピングモールへのアクセスが向上しました。
また「イートンセンター」と「プロムナード・ドゥ・ラ・カテドラル」間の経路整備により、地下街は大幅に拡張。
1980年代後半に、通路は12kmから22kmへと拡大し、現在は総延長33kmに達していますが、一部は未接続のままとなっているところもあります。

2004年以降、すべての地下通路は「RÉSO」として統一され、地下鉄やショッピングセンターの入口に設置された地図により、利便性が向上しました。

RESO

クイーンエリザベスホテル

クイーン・エリザベス・ホテルは、1958年に創業した格式高いホテルで、長年にわたり世界の要人や著名人を迎えてきました。
これまでに、現イギリス国王チャールズ3世、エリザベス2世、元フランス大統領シャルル・ド・ゴール、インディラ・ガンジー、ネルソン・マンデラなど、多くの国家元首が宿泊しています。

また、各国の著名人も数多く滞在していますが、中でも特に有名なのが、1969年5月26日から6月2日にかけて滞在したジョン・レノンとオノ・ヨーコです。
2人はこのホテルの一室で「ベッド・イン」と呼ばれる平和運動を行い、ここで名曲「Give Peace a Chance」を録音しました。

現在、この伝説的な部屋は当時の雰囲気を忠実に再現し、特別ルームとして提供されています。宿泊を希望される方は、ホテルの公式サイトより予約が可能です。ビートルズのファンであれば必見ですよね!
また宿泊せずとも、不定期で開催される、英語又はフランス語のガイド付きツアーに参加して見学することができます。
詳細はこちらをご参照し、ガイドさんに英語、又はフランス語でメッセージしてみてくださいね。

  • クイーンエリザベスホテル
  • ジョン・レノンとオノ・ヨーコが宿泊した部屋

モントリオール中央駅

クイーン・エリザベス・ホテルの地下にあるのが、モントリオール中央駅。
1943年に開業され、トロント ユニオン駅に次いで、カナダで 2 番目に利用者数の多い Via Rail 駅で、毎年約1,100万人の鉄道利用者がこの駅を利用しています。
それに加え、モントリオールと郊外をつなぐ主要な都市間鉄道駅であり、主要な通勤鉄道の拠点にもなっています。
この駅からトロント、ケベックシティ、ハリファックス、モンクトンへと行くことが出来ます。

モントリオール中央駅

プラス・ヴィル・マリー

上空から見ると十字架の形をしたこの47階建てのビル「プラス・ヴィル・マリー」は、パリのルーヴル美術館のガラスのピラミッドを手がけた世界的建築家イオ・ミン・ペイによる設計です。
その独特な形状は、カトリック布教のために開かれたモントリオールの歴史を象徴しており、モン・ロワイヤルの十字架とともに、市の象徴的な存在となっています。

また、この「プラス・ヴィル・マリー」からフェアモント・クイーン・エリザベス・ホテル、モントリオール中央駅へとつながる地下ネットワークが、現在のモントリオール地下街の発祥の地とされています。

プラス・ヴィルマリー

モントリオール国際会議場

モントリオールは、ワシントン、ニューヨークに次いで北米で3番目に多くの国際会議が開催される都市であり、カナダ国内では最多の実績を誇ります。

この建物は、市民に開かれた会議場を実現することをコンセプトに設計されており、透明なガラス張りの構造と自然光をふんだんに取り入れた開放的なデザインが特徴です。
さらに、そのカラフルな外観がキャンディ「Life Savers(ライフ・セイバー)」を思わせることから、親しみを込めてその愛称で呼ばれることもあります。

館内および周辺には、多くのアート作品が展示されており、訪れる人々に文化と芸術の魅力を発信しています。

ワールドトレードセンター

かつて旧市街の北側に城壁が築かれていたこの場所には、モントリオール市制350周年を記念し、ベルリン市から寄贈された「ベルリンの壁」の一部が、その城壁跡の上に展示されています。歴史的な遺産として、訪れる人々に強い印象を与えています。

同じくワールドトレードセンター内には、フランス・ロレーヌ地方のサン=ミッシェル市から移設された長方形の噴水があります。
この噴水は、フランスとカナダの合作映画『モントリオールのジーザス』の中で、キリストが水上を歩くシーンの撮影地としても知られています。

また、週末になると、この美しい空間を背景に結婚式の写真を撮影するカップルの姿も多く見られ、歴史とロマンが交差するスポットとして親しまれています。

ワールドトレードセンター
旧市街の城壁があった上に立つベルリンの壁の一部

地下ショッピングモール

McGill駅周辺の地下街は、北米最古の企業でもあるハドソンズ・ベイ・デパートを起点に西へと広がっています。
「プロムナード・カテドラル」や「旧ゼル・ドゥ・ラ・モード」、「イートン・センター」を経由し、クリスマスには巨大なクリスマスツリーが市民や観光客の目を引く「モントリオール・トラスト」、「サイモン・デパート」を擁するカルフール・インダストリエル・アライアンスへと続きます。
さらに、旧マウントロイヤル・ホテルを改装した「レ・クール・モンロワイヤル」まで連なるこのエリアは、歴史とモダンな商業施設が融合する魅力的な地下ネットワークとなっています。

  • イートンセンター
  • プラス・モントリオール・トラスト

プラス・デ・ザー

カルティエ・デ・スペクタクルの中心に位置するプラス・デ・ザールは、1963年に完成したカナダ最大の文化芸術複合施設です。6つのホールとモントリオール現代美術館を擁し、モントリオール交響楽団、レ・グラン・バレエ・カナディアン、モントリオール・オペラの本拠地として知られています。

また、毎年夏に開催されるモントリオール国際ジャズフェスティバルやフランコフォリ・フェスティバルの主要会場となり、世界的な文化・芸術の発信拠点として多くの人々を魅了しています。

プラス・デ・ザールの目の前に建つ「コンプレックス・デ・ジャルダン」は、金融協同組合「ケース・デジャルダン」にちなんで名付けられた複合施設です。4つの塔からなるこの建物には、ショッピングセンター、ホテル、政府機関のオフィスが入っています。

巨大な水柱が立つ噴水が目印の中央の大広場では、年間を通じて季節ごとのイベントが開催され、特にクリスマスシーズンには「サンタクロースの王国」が登場。
訪れた人々はサンタとの写真撮影を楽しみ、施設全体が市民や観光客で賑わいます。

この「コンプレックス・デ・ジャルダン」からモントリオール国際会議場までも地下でつながっています。

右に見えるのがサンタの王国

本日は、RÉSOによって直結されたモントリオールのアンダーグラウンドシティをご紹介しました。

モントリオールを訪れた際には、ぜひこの地下街を歩いてみてください。
歴史や知られざるエピソードを知ることで、街の魅力をより深く感じられるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

À très bientôt(また近いうちにお会いしましょう)

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