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【モントリオール】春のモントリオール散策なら、観光客と市民でにぎわうジョン・タロン市場へ

NAMI

NAMI

カナダ特派員

更新日
2025年5月11日
公開日
2025年5月11日
© Tourisme Montréal Marché Jean-Talon

モントリオールからボンジュ~ル!
皆さんこんにちは。モントリオール在住、カナダ特派員のNAMIです。

5月に入り、モントリオールはますます暖かさを増し、街全体が春の訪れを感じさせています。
暖かくなると、モントリオールの街角には、カフェやレストランのテラス席が設置され、さらに果物や野菜をはじめ、花やハーブを販売するキオスクや市場が軒を連ね始めます。

今日は、モントリオール三大市場の中でも最大規模を誇り、観光客や地元の市民で賑わう「ジョン・タロン市場」についてご紹介します。

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ジョンタロン市場の歴史

モントリオールのリトルイタリー中心部に位置する「ジョン・タロン市場(Marché Jean-Talon)」は、北米最大規模を誇る市場のひとつであり、モントリオール三大市場(ジョン・タロン市場、メゾヌーヴ市場、アットウォーター市場)のひとつにも数えられています。
一年を通じて営業しており、夏でも冬でも常に活気にあふれ、モントリオール市民が地元の生産者とふれあう事のできる場所として親しまれています。

1933年5月27日、当時のモントリオール市長カミリアン・ウードによって、開設されたこの市場は、モントリオール最古の公共市場のひとつです。
開設当初は「マルシェ・デュ・ノール(北の市場)」と呼ばれていましたが、1983年、ヌーベルフランスの初代総督ジャン・タロンに敬意を表し、現在の名称に改められました。

1800年代後半から1900年代前半にかけては、カナダの国技のひとつでもある「ラクロス」の競技場が設置されていた歴史もあります。
ラクロスに関する詳細は、本記事の末尾に記載しております。ぜひご覧ください。

1929年に始まった世界恐慌を受け、モントリオール市は失業対策として公共事業を推進。
1931年にはこの辺り一帯、ラクロス競技場があったシャムロック地区の土地が購入され、市内初の廃棄物焼却炉、消防署、警察署、そしてこの公共市場がつくられました。
モンロワイヤル公園内のシャレーやビーバーレイク周辺の整備が進められたのも失業対策の一環です。

市場は当初、金曜と土曜のみ開かれていましたが、1954年からは毎日営業に拡大。
400軒を超える農家が果物や野菜、卵、生きた家畜などを販売する場となり、1940年代には食品検査専用の施設も設けられました。
なお、1971年以降、公衆衛生上の理由から生きた動物の販売は禁止されています。

また、1945年から1961年にかけて、ジョン・タロン市場はモントリオールと北のラバル島を結ぶバスターミナルとしても利用されており、市場の一部にはその名残を感じさせる建築様式が見られます。

1983年には厳しい冬の気候に対応するため、ホールに取り外し可能な仕切りが設置され、冬季営業が可能に。
さらに2000年代初頭には大規模な改修工事が行われ、市場の広範囲が屋根付きとなり、地下駐車場も整備されました。

現在のジョン・タロン市場は、新鮮な地元農産物を販売する生産者たちを中心に、肉屋、パン屋、魚屋、食料品店など多彩な専門店が軒を連ねています。
さらに、訪れる人々を魅了するレストランやカフェも多く、地元らしい温かな雰囲気のなかで、多世代にわたる家族経営の伝統が息づいています。

バスターミナルとしての名残を感じさせる建築様式

屋根付きの市場内には、色鮮やかな果物や新鮮な野菜を販売するスタンドが軒を連ね、採れたての卵などを扱う専門店も点在しています。
ここの卵は、スーパーで買うのとは違い、生で食べることも出来るとあって、卵かけご飯が大好きな日本人にも大人気のお店です。
肉屋では、バッファローや鹿肉といったジビエを使ったハンバーガーなど、ここでしか味わえない一品を楽しむことができます。
さらに、市場を取り囲むようにレストランやチーズ専門店、カフェ、そしてケベック州の特産品を販売する店舗が立ち並び、食とショッピングが融合した賑やかな空間が広がります。
買い物に疲れた際には、食事を楽しんだりコーヒーを片手にひと息つくのもおすすめです。

ジョンタロン市場内部

市場は、花や果物、野菜といった季節ごとの豊かな表情を見せてくれます。
春が訪れると、ガーデニングを愛するモントリオール市民たちの姿が市場にあふれます。
大きな箱に色とりどりの花やハーブを詰め込み、車やカートに積んで運ぶ様子は、まさに季節の風物詩です。
前庭や歩道、裏道にはさまざまな花々が彩りを添え、住宅街を歩く人々の目を楽しませています。
秋になると、感謝祭やハロウィーンの飾り付けにぴったりなカボチャが店先を彩り、訪れるだけで心が弾むような光景が広がります。

春は色とりどりの花が
季節により、売っている野菜も変わります
たくさんの種類のハーブがあります
日本人にお馴染みの赤しそと青しそ

知っていましたか? カナダ発祥! 国技ラクロスの魅力

カナダの国技と聞くと、多くの人がまずホッケーを思い浮かべるのではないでしょうか。
実はカナダには、正式に認められた国技が2つ存在します。
ひとつは、1859年に国技として制定されたラクロス。カナダで生まれ、長い歴史を持つスポーツです。
もうひとつは、冬のスポーツとして国民に親しまれているアイスホッケー。
こちらは正式な制定こそないものの、カナダを象徴するスポーツとして事実上の国技とみなされています。

ラクロスの起源は、現在のカナダ周辺に暮らしていた北米先住民族にさかのぼります。
17世紀、先住民族たちは戦闘訓練や儀式の一環としてこの競技を行っており、これを目にしたフランス系移民によって、やがてスポーツとして体系化されました。
当時の試合には境界線が設けられておらず、広大な土地を舞台に100人から1000人もの選手が同時に参加することもあったと言われています。
北米先住民族にとってラクロスは重要な祭事の一つであり、試合は数日間にわたって続く大規模なものでした。

19世紀に入ると、ラクロスは白人社会にも広まり、アイスホッケーが台頭するまでカナダの国技とされていました。
しかし皮肉なことに、1880年代に設立されたラクロス・クラブリーグの規則では、ネイティブアメリカンの選手は「プロフェッショナル」と見なされ、アマチュアリーグへの参加が禁止されました。このため、多くの先住民族選手たちは公式リーグでプレーする機会を奪われることとなったのです。

現在のジョン・タロン市場がある場所には、1868年に設立され、最大7,000人を収容できる「シャムロック(Shamrocks)・アイリッシュ・ラクロスクラブ」専用の競技場が存在していました。
シャムロックは1886年にホッケークラブも設立し、1899年と1900年にはスタンレーカップを獲得しています。

 

Marché Jean-Talon(ジョンタロン市場)

住所:7070 Av. Henri-Julien, Montréal, QC
営業時間:月曜日~土曜日:8:00~18:00
:日曜日:8:00~17:00
ウェブサイト:https://www.marchespublics-mtl.com/en/marches/jean-talon-market/
フェイスブック:https://www.facebook.com/mpmontreal
インスタグラム:https://www.instagram.com/marchejeantalon/

本日は、モントリオール三大市場の中でも最大規模を誇り、観光客や地元の市民で賑わう「ジョン・タロン市場」をご紹介しました。

モントリオールの市民は、自宅の庭を花で飾ることを大変楽しんでいます。
毎週末、市民たちが車や大きな台車を引いて、市場に花やハーブを求めて訪れる姿をよく見かけます。
その賑やかな光景は、まさに春の訪れを感じさせ、訪れる人々を楽しませてくれます。

観光客の皆さんは、新鮮な果物が入った小さなバスケットを購入し、ホテルや宿泊先で味わうのも一興です。
また、これまで単に買い物を楽しんできた方々も、ジョン・タロン市場の歴史や隠れたエピソードに触れることで、この街の魅力を新たに発見できることでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

À très bientôt(また近いうちにお会いしましょう)

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