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【バリ島】バリ島伝統製法!本物の「グラアレン・椰子糖」を製造している方の工房へ①/クルンクン

halu

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インドネシア・バリ島特派員

更新日
2025年6月3日
公開日
2025年6月3日

バリ島の伝統的な生菓子にも使用されている椰子糖。バリ島(インドネシア)では、「グラアレン」と呼びます。丁寧に時間をかけて作る伝統製法。この度、工房見学が出来る機会に恵まれ、行って参りました。大変手間のかかる作業で、現在は、その製法を受け継いでいる継承者が、バリ島でも減少傾向にあります。地元民からも慕われ尊敬されるその人物は、想像をはるかに超えた魅力的な女性でした。2部構成にてお届け致します。今回はパート①、どうぞご覧ください。

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「グラアレン」とは

こちらは、現地工房で撮影した本物!完成品のグラアレン!

「グラアレン」とは、「椰子糖」です。

椰子糖は、ヤシの花序(花をつけた植物の茎や枝)や幹などの樹液を煮詰めて作ります。

東南アジア全域、アフリカでも製造されていて、その国独自の製法で、現在も地元民の生活には欠かせない甘味料の代表となっています。

 

此処バリ島でもいえる事ですが、原材料100%の「椰子糖」が流通しているかというと実際は全てではなく、日本で黒糖と呼ばれる別の植物「砂糖黍」を原材料にしたキビ砂糖を、大量生産、保存期間延長を理由にグラアレンに混ぜてグラアレン、又は、パームシュガー、ココナッツシュガーとパッケージに明記して、販売しているのも現実です。

色の特徴から(原材料の多少の違いはあれど)総称で「グラメラ」とも呼びます。

因みに、英語でのブラウンシュガーは、色判別で大別された茶色の砂糖の総称です。

バリ島の場合、英語表記で基本的に「ココナッツシュガー」と、呼ばれているものが主に製造され、固形、パウダー状、シロップのように液体状の物など、様々な形状で流通しています。

写真は、実際に訪問した工房がある敷地内から撮影。原材料となる椰子は、左側。一般的にバリで良く見かける、緑色の大きなココナッツの実がなっているタイプの椰子の樹です。

以前私は、スリランカに滞在していた時、茶園のすぐ側にある椰子から、椰子樹液を採取している様子を見ていました。「グラアレン」と味も近いです。スリランカでは、キトゥル蜜(ハニー)という名で知られていて、朝の紅茶のお供にいただいていました。バリ島の場合、道路脇にも頻繁に目にする背の高い椰子で、Arenga palmと言い、スリランカで見たKitul( palm (孔雀椰子)とは、全く別の種類です。

「グラアレン100%」で、「伝統製法の特に良質な物」は、一口食べたら直ぐにわかります。

滑らかな舌触り、雑味も無く、角のない主張しすぎない優しい甘さ、コクもあり、キャラメルのようなクリーミーさも。ミネラルの豊富さが、じわじわと実感出来、直ぐにまた口に入れたくなる感動の美味しさです。

場所は「クルンクン」

場所は、ウブドからバイクで1時間半程の場所。クルンクンの奥地、ジャングルの中にその工房はあります。

バリの東海岸に沿うように伸びるバイパスを走り、美しいアグン山も眺めながら、今回バリ島に長年住んでいる友人Mちゃんの案内で、現地まで行くことが出来ました。早朝のバリの空気は澄んでいて、バイクで走っていて爽快感しかなかったです。

バリの朝は本当に気持ちが良くて、バリ特有の草花と大地からの香りが一面に漂います。

ジャングルの中にある「グラアレン」の工房へ

無事到着し、私は今回人生で初めて「グラアレン」を作る工房を見学させていただきました。

私は長い間バリに住んでいたのにも関わらず、実際に現場での作業風景を拝見するのは、初めて。見るもの聞くもの全てが新鮮で、非常にワクワクしました。

実は、こちらの工房で日々「グラアレン」を製造している方は、地元ローカルのバリ人ではなく、なんと「日本人女性」なのです。

 

バリ島伝統製法を守り、バリ人に伝承する日本人女性

お名前は、ゆうこさん。

分け隔てなく、どんな方にも対等な対応をされる、笑顔も素敵な魅力的な女性です。私は、今までゆうこさんの様な日本人女性に出逢った記憶は無く、初めての経験でした。

地元の方も、彼女が日本人だと意識している素振りが全く感じられらず、ゆうこさん自身が、日本語よりもむしろバリ語の方が得意のようにも感じられる程、インドネシア語ではなく、バリ語でのコミュニケーションをされています。

柔らかな物腰で、明るく笑顔の絶えない朗らかな方です。ご家族共々とても仲が良く、ご家族は勿論、地元の方々にも大変慕われています。

ゆうこさんをはじめ、友人Mちゃん、村の方、ご家族からのお話を聞いているうちに、「グラアレン」を作っている方という焦点を当てた視点から、地元民をはじめ、ご家族、クルンクン以外の他の地域のバリ人にも大変慕われ、尊敬されている事を知り、非常に気持ち惹かれる魅力的な人物だと、私は感じるようになりました。

原材料の調達は、全て目の前の椰子の樹から

原材料となる椰子は、御自宅(工房)の目の前にあります。写真の男性は村の方で、ゆうこさんともご家族共々、長年のお付き合い。

原材料となる椰子の樹によじ登り、小さなバケツ型の容器を花序の切り込みの下に括り付けて、樹液が溜まったら、またよじ登り収穫し、地上におろします。

驚くべきことに、素足と素手で軽快に登り降りするので、実際に間近で見て、心底驚きました。

身体能力が、超人的!

体重も軽量だと思いますが、見事な身体能力に圧倒され、その様子に私の視線は釘付け、見入ってしまいました。

良く観ると、幹の部分に斧で軽く切り込みが入れてあり、そこに足の甲の内側部分を噛ませて、軽い足捌きでスッスッスーっと笑、ハシゴは使わず、直に登り降り。

私の個人インスタアカウント(halu_works_) で、動画が観られます。

全ての椰子が対象になるわけでは無く、その時期に応じて変えているそうです。説明も丁寧にしていただきました。

「グラアレン」は、彼らのバリヒンドゥー教の宗教行事も日々あることから、作る日を決めて一気に作ります。といっても、決して大量生産ではなく、自分達で出来る範囲での少量生産。

流通先は、近くの市場で直接販売もしていますし、地元の商店にも卸販売もされています。時間をかけて丁寧に手作りしていく「グラアレン製造の様子」は、次回パート②へと続きます。

どうぞお楽しみに。

(注)今回のブログ取材は、個人宅ということからプライベート重視で、地図、住所、電話番号等の情報公開は、控えさせていただきます。

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