
【岡山】倉敷市の市花「藤」のシンボル的存在「阿智の藤」~倉敷美観地区~
2025.5.12
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5月9日から岡山県倉敷市の阿知神社で開催されている 希莉光あかりで紡ぐ 〜光と影、そして衝動〜 というイベントに行ってきました。
お盆に倉敷美観地区の軒先につるされる倉敷切子灯篭をモチーフにして、和のあかりとして発展させた「切子あかり」がさらに進展し、希望と癒しの光を意味する「希莉光あかり(きりこあかり)」となりました。
イベントの会場は、阿智神社の社殿です。拝殿を左ににまわると社殿がありますが、その前に御朱印をいただきに社務所へ寄ります。イベント開催中は特別希莉光御朱印というオリジナルの御朱印が1日30枚限定で発行されていて、1枚1000円で購入すると入場券代わりとなります。もちろん社殿の受付で現金を払って通常の入場券でも入場できます。
こちらが入場券となる特別希莉光御朱印です。全て書き置きで絵柄は数種類あり、どれになるかはお楽しみです。
私の御朱印の絵柄は希莉光あかりのなかにちょこちょこ出てくる黒猫でした。かわいいけど、どこか怪しげな黒猫です。
社殿のなかは、希莉光あかりによるほのかなあかりで室内を灯し、とても幻想的で厳かな雰囲気です。
左手前が「阿知の藤」。右奥は3月に玉島交流センターで開催された「希莉光あかりで紡ぐ ~桃の節句~」の中の「見るなの花座敷 ~うぐいす長者~」の作品。そして、左奥の一段高い場所にある「sakura」も今回の推しのひとつです。
製作者であり、発案者の須山寛子氏から、作品についてのお話を伺うことができました。この「阿智の藤」は、阿智神社で咲き続けるアケボノフジをモチーフにしているとのことで、単に木枠に切り絵を貼っているのではなく木枠が二重になり、内側に和傘をさした女性、そして外枠に藤棚から吊り下がるアケボノフジとツツジがデザインされています。
作品同様、ツツジは阿智神社の境内で藤が咲くと同時に咲きほころんでいます。
希莉光あかりの上部も藤棚を立体的に再現しています。ひとつひとつ、手が込んでいて製作時間も250時間近く及んだのだそう。
あかりの下の部分も細かくツツジの花で覆われています。希莉光あかりを置いた折敷に映った姿も素敵ですね。
藤といえば相利共生で、ブンブンと飛び回るクマバチが切っても切れない仲ですが、あえてクマバチではなくアゲハ蝶が作品に静けさを醸し出しているのがいいと須山氏に語ったら、須山氏も「アゲハ蝶ってミステリアスでしょ。薄暗いあかりの中にアゲハ蝶や黒猫のように怪しげなものを映し出すのが好きなんです」とのこと。
こちらが「sakura」で今年の春、京都の妙顕寺で初披露されたばかりです。
こちらも200時間をかけて作られた大作で、全体的に細かい桜の切り絵が散りばめられ、ところどころに鳥がとまっています。搬入直前になっても未完成で、京都についてから組み立てたという裏話を教えていただきました。
社殿の奥の方に鎮座しているので、望遠レンズかオペラグラスを持って行けば、より繊細な部分が見られると思います。
「見るなの花座敷 ~うぐいす長者~」の作品のひとつ。
女性から留守を頼まれ、最後の座敷だけは「見てはいけない」といわれていたのに開けてしまいます。春爛漫の景色が広がるなか、一羽の鋭い目をした鶯が近づいてきた途端、鶯の鳴き声とともに屋敷が跡形もなく消え去ります。
希莉光あかりの下には、梅の木のなかにひとりの女性が立っているのに、下に映った“あかり”には梅の木はあっても、女性の姿が映っていません。これは、女性が現実の人ではなく鶯の化身だったことを現わしているいるからだそうです。なんとも細かい演出ですね。
木組細工の希莉光あかりは、なかの切り絵が木組細工によって、見えそうで見えにくく思わず身を乗り出し、目を凝らして魅入る作品でした。
須山氏によると「見るなの花座敷」のテーマ、見てはいけないのに好奇心から覗いてしまう…そんな人間の心理を逆手にとった作品と仰られていました。
ひとつひとつの作品に深い想いが込められていますね。
これらの作品のプロデュースとして、映像、音、演出を担当されているのが須山恭安氏です。この展示会で使われている幻想的な音楽もオリジナルで、ここで音が再現できないことが残念です。
個人的には、岡山後楽園や烏城で行われている幻想庭園や烏城灯源郷にも出展してほしいと願っています。
いかがですか?とても幻想的なイベントでした。
阿智神社でのイベントは5月22日で来週の木曜日までですが、今後のイベントも決まっています。
2025年7月4日~9月23日 11:00-18:00( 8月16日(土)は~17:00 )まで、ホテル雅叙園東京で開催される「和のあかり✕百段階段2025 ~百鬼繚乱~」に参加されます。今年で3回目の参加だそうで、今年の出展者数は38にもなるそうです。
こちらは2か月半の長いイベントなので、関東方面にお住まいの方はぜひ、ご覧になってください。
■希莉光あかりで紡ぐ 〜光と影、そして衝動〜
開催場所:阿知神社 倉敷市本町12-1
開催期間:2025年5月9日(金)~22日(木)
開催日時:10:00~18:00(春祭り 17日のみ20:00まで)
入場料:1000円または特別希莉光御朱印(1000円 限定30枚/日)
URL:https://kura.net/