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現役を退いた歴史的に貴重な乗り物が所狭しと並ぶここは、ロンドン交通博物館のDepot(デポ)と名付けられた施設。コベントガーデンにあるロンドン交通博物館の別館で、主に博物館の倉庫として利用されていますが、ツアーやイベントのある日に限り一般公開されています。
ロンドン交通博物館デポにはバスや電車などの車両から信号機、制服にいたるまで、ありとあらゆる資料が保管されており、その数はなんと30万点以上!
デポで開催されるイベントは「Depot Family Tours(デポ・ファミリー・ツアー)」や「Depot discovery tours(デポ・ディスカバリー・ツアー)」など複数ありますが、私たち家族は年に3回、期間限定で開催される「Depot open days(デポ・オープン・デー)」へ行きました。なお、デポで開催されるツアーやイベントはそれぞれに所要時間、開催頻度、参加費、対象年齢などさまざま異なりますので、お越しの際は各イベントのページをよくご確認の上予定をたててくださいね。
デポには、入り口から敷地の奥まで行って戻ってくる短い路線のミニチュア列車が走っています。乗り物が大好きなお年頃の(?)息子と私は訪れた1日だけで3回も乗りましたが、小さな機関車型の列車に跨って風をきって進むのは大人でもワクワクする体験でした。
デポを後にする直前、4度目の乗車をせがんで駄々を捏ねていた息子を見て、側にいた男性2人組が「彼が乗りたがる気持ちはよく分かりますよ、僕たちは60代と40代だけど、この歳になってもこの列車に乗ろうとしているんですから。」と目をキラキラさせながら話しかけてくれたことも良い思い出です(その瞬間は息子を制するのに必死で感動に浸る間も無く過ぎてしまいましたが)。息子の癇癪に手を焼いている私に声をかけてくれたフレンドリーな優しさと、男性2人組がまるで少年のように意気揚々と、楽しそうに列に並ぶ姿が印象的でした。
見回してみると子連れ家族のみならず、大人だけで訪れているグループも多数。コベントガーデンの交通博物館同様、ここでも老若男女誰でも受け入れてくれる懐の深さを感じました。大人だけでも、デポを訪れる際は遠慮せずにミニチュア列車に乗ってみてくださいね。
そして先述のとおり、このミニチュア列車は乗り場がデポの入り口入ってすぐのところにあります。入場早々に「今すぐ乗りたい」アタックを避けたい幼少期のお子さま連れの方におかれましては、敷地に入り次第、線路が視界に飛び込んでくる前に駆け足で倉庫の入り口を目指してください。Good luck !
デポには今はもう退役した貴重な過去の地下鉄の車両やバスの車両が綺麗に保管されており、オープンデーのこの日は一部車両に乗り込むこともできました。救急車両の展示もあり、運転席に乗り込んで息子は満面の笑み!数組の親子の列に加わって順番を待ったり、後から乗るオトモダチとの交代の時に短い挨拶を交わしたりするのも、現地の方とちょっとした交流ができる楽しい機会でした。
乗り込むことができる乗り物の中にはそれぞれスタッフの方が待機しており、どのような時代に活躍したものか、どのような特徴がある車体なのかなどといったことを教えてもらえます。解説をするスタッフの方はどなたも知識が豊富で、質問をするととても詳しく、ていねいに応えて下さいました。説明もとても分かりやすく、基礎知識のない私でもとても楽しくお話を聞くことができました。
乗り込める車両のなかには、1970〜80年代に使用されていた、乗車一回あたり20ペンスだった時代のバスもありました(ちなみに現在は一回あたり£1.75、約9倍です)。効率的に乗客をさばく為に改札を設けたタイプのデザインで、コインを投入することでゲートが開く仕組みについて係の方が詳しく解説をして下さいました。説明のために、改札に備えられている設備の一部を縦に切断したような見本が用意されており、偽造コインをどのように識別するかといった仕組みについて教えてもらったことがとても楽しかったです。
その他にもたくさんのレトロなバスや電車の車両が並べてあり、本当に見応えがありました。我が家の場合は息子が終始大興奮で敷地を忙しく駆け回っていたので追いかけ回すのに必死で、どれも気のゆくまで鑑賞する時間はとれませんでしたが、ピカピカに磨き上げられた車両や巨大な部品など数々の展示は、とても美しく、そして好奇心が刺激されるものばかり。うやうやしく並べられたそのコレクションを眺めているだけでロンドン交通博物館のスタッフの情熱が伝わってくるようで、思わず胸が熱くなってしまいました。さまざまな年齢層向けのワークショップや、トークイベント、ツアーなどが一日を通して実施されており、子供が少し大きくなったらぜひまた来たいと思わされました。勿論、大人だけでも最高に楽しいと思います!
保管されている資料の劣化を防ぐために倉庫内は飲食禁止でしたが、倉庫を抜けて奥にある屋外広場では自由に食事をとることができます。クレープやホットドッグの出店が出ており、美味しそうな匂いが漂っていました。各お店が出している席もある様子でしたが、広場には誰でも座れるベンチもあり、持ち込んだものをそこで食べることもできましたよ。
その他にもオリジナルパスケースを作れるワークショップや、鉄道関連のポスターやアンティーク品を販売している出店もあり、どこも鉄道ファンで大賑わい。
さらに、広場ではギターをかき鳴らしながらカントリーミュージックを歌うミュージシャンの演奏を聞くことができ、息子は自ら最前列のベンチに座りライブ音楽にあわせて首をふったり手を叩いたりと、ノリノリで音楽を楽しんでいました。思いがけずライブ音楽まで味わうことができ、とても良い思い出になりました。
いかがでしたか。ロンドン交通博物館デポに所蔵されている車両は常設展示ではないのが残念ですが、だからこそイベントのある日は地元の鉄道ファンもつめかけて賑わう特別な空間を楽しむことができるのではないかと思います。次回のDepot Open Days(デポ・オープンデー)は9月18日(木)〜21日(日)とのこと。その他にも、5〜11歳のお子さまのいるファミリー向けのDepot family tours(デポ・ファミリーツアー)などさまざまな企画がありますので、ウェブサイトをご確認の上、ご旅行の日程と合えばぜひご検討ください!
▪️The London Transport Museum Depot
住所: 2 Museum Way, 118-120 Gunnersbury Lane, Acton, London W3 9BQ
営業時間:不定期
入場料:大人£19.00、子供(4〜17歳)£10.00、3歳以下は無料※
※上記は次回オープンデーの入場料です。料金はイベントにより異なりますのでご注意ください。一人当たりではなく、一団体あたりの入場料が設けられているイベントもあります。