【ハワイ】カメア・ハーダーさんが語る、ハワイの「今」を映すアート展

「ハワイでは『ポイ・ドッグ（雑種犬）』って呼ばれるけど、僕にはいろんな国の血が混じっているんだ。でも、僕はもっと前向きに『ハイブリッド』って捉えているよ」そう語るカメアさんは、日本と韓国のルーツを持つ母親と、イスラエル人の父親のもとに生まれました。

幼いころから絵を描くことが好きで、ホノルル・アート・アカデミーやハワイ大学のクラスに通っていたそう。さらにその後、サンディエゴ大学、パリのソルボンヌ、マドリードのセントルイス大学、そしてイスラエルのテルアビブ大学でも学び、創作と探求を続けてきました。

これまでに、ハイアット リージェンシー ワイキキの館内にはすでに3つの壁画を制作済み。

カメアさんの作品のなかでも印象的なのが、ハワイ先住民を思わせる女性たちの姿を描いた作品です。その目力には、見る者を惹きつける強さがあります。「『カメア・ハーダー』という署名を見るたびに、どんな人が描いているんだろう？ あのまなざしのように激しい人なのかな？」そんなふうに思っていた筆者。今回、展示会場でご本人にお会いし、直接お話をうかがうことができました。

実際のカメアさんは、いつも穏やかで笑みが絶えません。まわりにはいつも仲間がいて、その場の空気を明るくするような人でした。

カメア・ハーダーさん 一問一答

Q：「イン ザ サザン サン」というタイトルには、どんな意味が込められているのですか？
A： 『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』で知られるイギリスの冒険小説家、ロバート・ルイス・スティーヴンソンが書いた詩に由来しています。1889年にハワイを訪れたスティーヴンソンは、いまのハイアット リージェンシー ワイキキのあたりにあった王族の家に滞在し、カイウラニ女王とも交流があったそうですよ。

Q：「イン ザ サザン サン」は一言でいうと？
A： 音や香り、壁から床まで、空間のすべてを使った没入型のアート展、という感じかな。

Q：美術館のような空間ですか？
A： うーん、どちらかというと「ひねりを効かせたアート作品展」ってところかな。

Q：この展示で伝えたいことは何でしょう？
A： 「ワイキキを新しい目で見る」ということですね。風に乗って漂うプアケニケニの香りや、歩道の下を流れる水の音、かつてこの土地を特徴づけていた風や雨の名前……。そうした自然の存在に、足を止めて気づいてもらえたら嬉しいです。アートとしてだけでなく、五感を通して、この土地の物語やハワイの美しさを感じてもらいたいと思っています。

Q：今回の展示で難しかった点は？
A： 参加アーティストの作品をどこにどう配置するか、というところですね。どの作品にも想いが込められているので、その気持ちを大切にしながら場所を決めるのは悩ましかったです。あとは制作スケジュールの調整でしょうか。

Q：壁画アーティストとしてのキャリアは、どのように始まったのですか？
A： 最初はグラフィティ・アーティストとして活動していました。だんだん作品が大きくなっていって、気づいたら壁画を描くようになっていました。今では慣れましたけど、当初は高いところがちょっと苦手だったんです。

Q：ワイキキをはじめ、ホノルルの街なかにもたくさん作品がありますよね。いくつか紹介していただけますか？
A： キング通りとペンサコラ通りの角にある建物に描いた、デューク・カハナモクと、2021年の東京オリンピックで金メダルを獲得したカリッサ・ムーアの壁画は、比較的新しい作品です。デュークがオリンピックでメダルを獲った100年後に、ハワイ出身の女性サーファーがメダルを獲ったことを祝して描きました。あと、オバマ大統領の壁画もありますよ。これは、ワード街とカピオラニ大通りの角にある建物で、ワード側からよく見えます。

Q：日本からの旅行者にメッセージをお願いします。
A： 僕の祖父母は日系人だったので、日本はとても身近な存在です。ハワイでは、自然の美しさや空気感をたっぷり楽しんでください。そして機会があれば、ぜひ「イン ザ サザン サン」ものぞいてみてくださいね。

◾️イン ザ サザン サン（In The Southern Sun）
場所：ハイアット リージェンシー ワイキキ ビーチ リゾート アンド スパ
住所：2424 Kalakaua Ave., Honolulu, HI 96815
URL：https://inthesouthernsun.com/
チケット：おとな$30、子ども（7〜17歳）$20、子ども（6歳以下）無料、購入はこちらから