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【タイ】国民に愛された王太后シリキット氏ご逝去

momoka

momoka

タイ特派員

更新日
2025年10月30日
公開日
2025年10月30日

2025年10月23日、タイ王国のシリキット王太后(Queen Mother Sirikit)がご逝去されました。享年93歳。
現国王ワチラロンコン国王(ラーマ10世)の母であり、前国王プミポン・アドゥンヤデート(ラーマ9世)の王妃として長年にわたり国民から深く敬愛されてきた存在です。

タイは乾季に入り、チェンマイを中心としたコムローイ祭りや
年末のカウントダウンイベントなどに合わせて旅行を計画される方も多い時期です。

今回は、現地の様子と旅行時の注意点をまとめました。
皆さまの旅のご参考になれば幸いです。

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国民に愛された「タイのお母さん」

はじめに今回ご逝去されたシリキット氏について少し紹介します。

1932年にバンコクで生まれたシリキット王太后は、若くして前国王と結婚。
以後、王妃として地方の発展や女性の自立支援、文化の保存に尽力されました。

なかでも有名なのが、手工芸や織物産業の振興を目的に設立された「SUPPORT財団」です。農村部の女性たちに働く場を生み出し、タイ伝統の布や工芸の価値を広めるなど、多くの功績を残しました。

その活動から、国民のあいだでは「国民のお母さん」として親しまれています。

現在、タイの「母の日」はシリキット王太后のご誕生日(8月12日)に制定されており、その存在は今も人々の心に深く根づいています。

 

  • 筆者の住む家のロビーにつくられた献花台
  • 近くのスーパーの入り口。国民は想いおもいに手を合わせています。

現地の様子

逝去の発表後、タイ全土では喪に服す期間が設けられ、政府機関・国営企業・教育機関では国旗が半旗として掲げられました(半旗期間:30日間)。

また、公務員・国営企業職員等については1年間の服喪期間が定められ、一般国民には90日間の服喪が推奨されています。

バンコク市内の寺院や王宮前広場では王太后をしのんで献花をする人々の姿が見られ、街の雰囲気もどこか静かで落ち着いたものとなっています。
ショッピングモールやホテルの入口には献花台が設けられ、BTS(高架鉄道)のモニター表示もモノトーンに変更されるなど、国を挙げての哀悼ムードに包まれています。

 

BTSの駅の風景。定期的にモノクロの表示になります
  • ユニクロのマネキンも白黒
  • 無印も落ち着いたトーンのマネキンです

イベント・観光時の注意点

喪に服す期間中、旅行者は以下の点に配慮するとよいでしょう。

•黒や落ち着いた色の服装を心がけ、派手な色や大きな音を伴う行動は控えましょう。
→現在バンコクではタイの方や観光客含め7〜8割ほどの方が黒や落ち着いた色の服を身につけています。
他にも観光地や海辺のリゾート地や黒い服が用意できない場合は胸に黒いリボン(喪章)をつけて敬意を示しています。

•コンサートや祭りなどのイベントは一部延期・中止、または内容を変更して実施される可能性があります。
→こちらも政府から中止や開催に際して内容を厳かにするよう要請が出ています。実際にハロウィンイベントの中止やコムローイ、ロイクラトン等のイベントに関しては開催内容の変更をする対応をしています。公式HPや現地の情報を発信しているサイト等をこまめに確認するようにしてください。

•王室関連施設や寺院を訪れる際は、ルールを守り、肩や膝を隠した服装で参拝しましょう。
→現在シリキット氏のご遺体が王室内に安置してあることから、観光が制限されているなど、普段と少し違います。観光客の方は、訪問を予定する際に最新の開館情報や立入制限の有無を確認されることをおすすめします。

•撮影やSNS投稿の際も、現地の雰囲気に敬意を払い、静かなトーンで行いましょう。
→タイ国民の多くは、シリキット王太后に深い敬意と感謝の念を抱いています。献花台で手を合わせる方など、思い思いの形で哀悼を捧げています。
旅行者もその気持ちに寄り添い、写真撮影やSNS投稿の際は、静かで慎みある姿勢を心がけましょう。

観光や外国人に対しての制限等は特にありませんが、喪に服している国民が多い時期ですので、旅行者もタイで過ごす時間を楽しみながら現地の人々の気持ちに寄り添って過ごすことが大切ですね。

 

おわりに

現地の様子をレポートしました。
政府からの要請内容や服装の色合いなどについても、公式サイトだけでなく、さまざまな方がわかりやすく情報を発信しています。
とはいえ、タイの温かな雰囲気や、美味しいタイグルメ、楽しい観光地は動きを止めてるわけではないので、
旅行者の皆さんも、こうした情報を確認しながら、現地での観光を安心して楽しんでほしいと思います。

私自身、このような場面に直面するとは思ってもいませんでした。街全体はもちろんですが、タイのテレビは黒味がかり、HPやライン、インスタグラムなどのアイコンをモノクロにするなど、実際にタイで暮らす中で、町の静けさや人々の眼差しから、王太后が国民にどれほど愛されていたかを強く感じました。
その優しさと慈愛の精神は、これからもタイの人々の心の中で生き続けることでしょう。

シリキット王太后のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

 

※店内の写真は許可を得て撮影しています
※情報は日々更新されています。最新の内容をご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

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