• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

【エチオピア】エチオピア南部の部族ツアー体験記

あんな

あんな

南アフリカ特派員

更新日
2026年1月30日
公開日
2026年1月30日

エチオピア南部には昔ながらの伝統を守る少数民族が多く暮らしており、『部族ツアー』はこの地域の観光名物になっています。一見、秘境のようなエリアですが、首都から国内線でわずか1時間。今回は3泊4日で、ムルシ族やハマル族など計5つの部族を巡るディープな旅を体験してきました。それぞれの村の様子をレポートします。

AD

4日間のスケジュール

「部族ツアー」はGet Your Guideなどのオンライン予約サイトを利用するのが最も一般的です。ツアーの日程は最短で1泊2日からじっくり巡る1週間以上のものまで、目的に合わせて幅広く選ぶことができます。
今回私が申し込んだ4日間のプライベートツアーのスケジュールはこちらです。

【1日目】エチオピアの首都アディスアベバから国内線でアルバミンチ空港へ到着。空港で今回4日間お世話になるガイドさんと合流。ホテルチェックイン後、近くにあるドルゼ族の村を訪問

【2日目】ムルシ族訪問後、地元のマーケットを散策、夕方にハマル族の村を訪問

【3日目】カロ族の村を訪問後、空港のあるアルバミンチの方角へ長距離ドライブ

【4日目】コンソ族の村訪問後、アルバミンチ空港へ移動し首都のアディスアベバへ戻る

毎日長距離ドライブで移動しながら5つの村を巡りました。各村では地元のガイドが合流してくれるので詳しい話が聞けます。宿泊は3泊とも別のホテルでした。移動時間は長いものの、道中で大量の藁を担いだ人やロバとすれ違ったり、家畜の大群による渋滞に遭遇したりと見どころ満載で、退屈することはありませんでした。

家畜の渋滞
大量の荷物を運ぶ人

偽バナナを使いこなす「ドルゼ族」

まず最初に訪れたのはドルゼ族が暮らす村です。到着するとドルゼ伝統の民族衣装を着せてくれ、ツアー中は民族衣装を着たまま過ごします。

  • ドルゼのガイドさん
  • 伝統衣装

ドルゼ族の生活に欠かせないのが、エンセーテの木です。エンセーテはバナナに非常によく似ていることから「偽バナナ」と呼ばれていますが、実の味はバナナとは全く異なり食用にはなりません。ドルゼ族は、食事も住居もこの木から作ります。偽バナナの木と竹で作られた巨大な住居は、かつて象を狩っていた先祖への敬意を表して象がモチーフになっています。コンパクトに見えて意外と中は広く、2つのベットルームと家畜の部屋、キッチンまでありました。シロアリが来ないように頻繁に中で焚き火をします。これはドルゼに限らず、他の部族の住居でも同じ対策が取られていました。

伝統的な住居。入り口は象の鼻のよう。

ドルゼ族の主食は「コチョ」と呼ばれるクレープのようなものです。コチョ作りの全工程をこの場で実演してくれます。まず偽バナナの木の茎を削り取り、それをすりつぶして葉っぱで包み、土の中で発酵させます。発酵させたものをクレープのように平たく伸ばして焼いたら完成です。

茎を削り取る
すりつぶしたものを葉っぱで包み、土の中へ
発酵した生地を叩いて薄く伸ばす

見学した後は焼きたてを試食させてくれます。発酵しているのでかなり酸っぱく、なかなかパンチのある味でした。さらに、コーンやハーブで作ったお酒も振る舞ってくれます。「ドルゼー!!」の掛け声と共に、ショットグラスで飲み干します。かなり強いお酒で、後味にコーンの香ばしい味がしました。

ドルゼ族は綿織物が得意な部族です。村には観光客のお土産用にカラフルな布があちこちに干されていて、価格は小さいもので1枚1000円程度です。すべてここで織ったものだそうで、布を織る道具も見せてくれました。小さいものをひとつ購入し何度か洗濯機で洗いましたが、型崩れも色落ちもせずしっかりしています。

綿を織る機械と綿の商品

唇にお皿でお馴染み「ムルシ族」

唇にお皿を入れることでお馴染み、ムルシ族です。こちらは村ではなくムルシ族が営む観光客向けのお土産屋さんの訪問でした。ムルシ族は人里離れた秘境に住んでいて、物資が必要になると物々交換しに町までやってきます。その時に、現金収入を得るため町の近くの小さな広場で観光客用のお土産を販売するのだそうです。

ムルシのお土産マーケット

ここではガイドさんを通じて「一括撮影料(500円程度)」を支払う仕組みになっていました。そのため、一人ひとりと個別に交渉したりチップを渡したりする必要がなく、ガイドさんからも「遠慮なく写真撮ってね」と言っていただき気兼ねなく楽しめました。ムルシの人々も観光客の受け入れに慣れており、快く撮影に応じてくれます。
とはいえ観光客の訪問は貴重な現金収入の機会なので、お土産の販売にはとても積極的です。自らお皿をはめたり外したりして見せてくれた後に「このお皿どう?!」と勧めてきます。

集合写真も撮ってくれる

お土産には、ムルシ族を象徴するお皿や泥人形などが並び、小物なら300〜500円程度で手に入ります。
ただ、多くの商品が泥(粘土)で作られており、非常に脆く壊れやすいのが難点。日本まで無事に持ち帰るには、かなりの厳重な梱包が必要です。もし確実に綺麗な状態で持ち帰りたいのであれば、丈夫で扱いやすい木製のお皿がおすすめです。木製のものがあるか尋ねると、少ないもののいくつか出してくれました。

手作りのダンベルを披露してくれた

マーケット散策

先ほどのムルシ族のエリアから徒歩5分ほどのところにある大きなマーケットです。地元のさまざまな部族が集まるかなり大きなマーケットで、生活に必要なあらゆるものが手に入ります。ここでは人を撮影する場合は必ず許可をとり、チップを渡す必要があります。ただし売っているものはいくらでも自由に撮影して大丈夫です。

エチオピアといえばコーヒーですが、ガイドさんによるとこのマーケットではコーヒーは手に入らないとのこと。というのも、この地域の人々はコーヒーを飲まず、コーヒーの殻のお茶を飲むそうです。そのため、コーヒーの殻はマーケットでたくさん売られていました。

コーヒー殻

アフリカを旅しているとよく見かける木彫りの人形ですが、ここではハマル族やムルシ族、カロ族などこの地域の部族を模した人形がたくさんありました。

エチオピアで広く食べられている主食、インジェラ用のお皿や、コーヒーセレモニー用の茶器もあります。

  • インジェラ用のお皿
  • 茶器セット

家畜も売られているので、牛や鶏がウロウロしています。

赤土を塗ったマッシュルームヘア「ハマル族」

この日の最後はハマル族の村です。ハマル族の女性は独特なマッシュルーム型のヘアスタイルが特徴で、髪にバターと赤土を塗りこんでいます。広い敷地内には家畜がたくさん。

住居の中

ハマル族は一夫多妻制です。女性はネックレス(首輪)を身につけており、その数や形状によってその女性が第一夫人なのか、その人の夫に妻が何人いるのかがわかるようになっています。
ハマル族もお土産の販売にかなり積極的で、ガイドさんと村を歩いている間は終始ぞろぞろと大勢のハマルの子供達がついてきました。
運が良ければここでハマル族伝統の牛跳びの儀式を見学できるのですが、今回は見られませんでした。

ボディペイントと竹馬が得意な「カロ族」

3日目に訪れたカロ族の村は、眼下にオモ川を望む、この地域で一番の絶景スポットに位置しています。この村には学校があり、カロ族の子供達が授業を受けていました。学校の先生から話を聞けたり給食を作っている様子も見学できる、見どころの多い村です。

給食を作っている様子。中身はソルガムのポーリッジ。

学校の壁には、エチオピアの有名な岩の教会「ラビレラ」が描かれていました。ラビレラは観光地としても有名です。

別の壁には人体の部位の名称を覚えるための絵が描かれていたのですが、カロ族らしくボディペイントもされていました。

カロ族のボディペイントは観光客も体験できます。村に観光客へのペイント担当の子供達がおり、料金は200円程度でした。塗料はただの泥なので、ウエットティッシュで簡単に落とせます。私の他にペイントしてもらっていた観光客の男性は、スキンヘッドだったので顔と頭全体にびっしりペイントされていました。

ペイント担当の子供たち

カロの人たちの憩いの場でもある集会所では、ソルガム(稲の仲間)で作ったビールを試飲させてもらえました。

集会所
ビールは酸味がありドロっとしている

カロ族の「スティックボーイズ」

カロ族の竹馬に乗った子供達、通称「スティックボーイズ」です。間近で見るとその高さに圧倒されます。
彼らは村にはおらず、ドライブ中に突如として現れます。ただ遊んでいるわけではなく、観光客からの現金収入のためなので、撮影料(400円程度)を支払います。撮影料はガイドさんが事前に把握しているので値段交渉する必要はありません。出没スポットも決まっているようです。竹馬に乗り降りするところも見せてくれました。

木の枝で作られた、乗り降り用の台
驚くほどシンプルな造りの竹馬

まるで秘密基地「コンソ族」

4日間の部族ツアーで最後に訪れたのはコンソ族の村です。農業が得意なコンソの人々が作り上げた石積みの段々畑は、その独特な美しい景観からユネスコ世界文化遺産に登録されています。

段々畑

村の内部はかなり入り組んでおり迷路のようです。敵や野生動物から身を守るため、住居は要塞のように石積みの塀で囲まれています。

石積みの塀

コンソの村では、偉大な人物が亡くなると「ワカ」と呼ばれる木彫りの彫像を作り讃えます。ワカの前ではずっと子供達が遊んでいました。コンソの人々にとってワカはかなり親しみやすい存在のようです。

お土産用の小さいワカ
子供達の後ろにあるのが本物のワカ

建物には全体的に木の枝や石が多く使われています。

集会所にもなっている広場には、石が置かれています。この石を持ち上げて肩まで上げられれば一人前の男性とされます。試してみましたが全く持ち上がりませんでした。かなり重いです。近くには練習用の一回り小さい石もあり、こちらはなんとか持ち上がりました。

コンソ族は、非常に規律を重んじる組織力の高い部族です。その厳格さゆえに村は極めて平和で、犯罪発生率はなんとゼロ。もし窃盗などの罪を犯せば『縛られて近所のマーケットへ連行され、石を投げつけられる』という言い伝えがあり抑止力となっています。
そのおかげで村では『失くしものは必ず手元に戻る』と言われるほど。特に多いのは家畜の迷子です。村の集会所で「こんな色と柄の牛をなくした」とアナウンスすれば、必ず誰かが見つけ出し、届けてくれる信頼関係が築かれています。

男性用の集会所。前には練習用の石が3つある。

部族ツアーについて補足

入場料と撮影料

村では入場料とは別に撮影料が定められているところがあるので、ツアーを申し込む際は必ずそれら両方が料金に含まれているか確認しましょう。含まれていない場合は現地でガイドさんに言われた金額を支払います。ガイドさんに料金を渡せば現地で精算してくれるので、自分で村の人と交渉する必要はありません。撮影料は1つの村で大体300〜500円程度だそうです。
部族ツアーは観光の対象が「現地で暮らす人々の生活」というセンシティブな側面もありますが、撮影料の支払いや受け入れ態勢がルールとして確立されており、村全体でゲストを歓迎する仕組みが整っています。そのため観光客も過度な遠慮をせず、伝統的な暮らしが体験できるようになっていました。

玄関口となる空港は2つある

エチオピア南部の部族ツアーへの玄関口となる空港は2つあります。ジンカ空港とアルバミンチ空港です。どちらかというとジンカ空港から出発するツアーが多いのですが、2025年11月よりジンカ周辺でウイルス性疾患が流行し空港が閉鎖されたため、今回はアルバミンチからツアーに出発しました。
ジンカ空港もアルバミンチ空港も、首都のアディスアベバからたったの1時間で到着します。首都から少し足をのばしてディープなアフリカ文化を体験してみてはいかがでしょうか。

アルバミンチ空港
トップへ戻る

TOP