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ジョージア屈指の山岳観光地、カズベキ。日本では桜前線が春の訪れを告げるこの時期でも、高所にあるこの町はまだまだ冬の様相です。夏は登山客でにぎわうこの場所も、冬は静かな空気に包まれます。実はこのエリアは、高山性の鳥たちが見られるバードウォッチャー注目の場所でもあります。
今回は、カズベキエリアのバードウォッチングの楽しみ方をご紹介します。
首都トビリシから山へ向かい、ドライブすること約2時間半。最初に訪れたのは、Pansheti Mineral Water Spring(パンシェティ鉱泉)と呼ばれる場所。ここではミネラルを多く含んだ水が湧き出ており、地元の人が水を汲みに訪れるスポットです。ここにはプールのようなものもあり、夏には泳ぐ人もいるそうですが、さすがに冬は泳いでいる人はいませんでした。試しに水の注がれているところに触れてみると、外気の冷たさとは対照的にほんのりと温かさを感じました。
ここで観察できたのが、Great Rosefinch(シロボシマシコ)。湧水池を囲む木々に目をやると、あざやかなローズ色の小さな鳥が姿を見せます。この鳥はミネラルを摂取するために地面に降りて水をつつくことがあり、この湧水池は比較的観察しやすい場所のひとつだそうです。
■Pansheti Mineral Water Spring
所在地:JJWH+FM7, Stepantsminda, Georgia
アクセス:トビリシから車・マルシュルートカで約2時間半、ステパンツミンダ市街から車で約10分
入場料:無料
中心街から北へ向かう道の途中。切り立つ谷の間を見上げていると、大きな影がゆったりと旋回していました。現れたのは、Bearded Vulture(ヒゲワシ)。山岳地帯を代表する、ヨーロッパ最大級の猛禽類です。
谷間の風を受けて、ほとんど羽ばたくことなく滑るように飛ぶ姿は、圧倒的な存在感。ときには驚くほど近くを飛行し、その大きさに思わず息をのみました。特徴的な淡い黄色の腹部も、近くで見るとはっきりと確認できます。
一度、獲物らしき何かをつかんで飛んでいる姿も確認。同行者の写真をあとで見ると、それは骨のようにも見えました。骨を高所から落として割る習性で知られるこの鳥らしい光景に、山の野生を強く感じました。
カズベキは、バードウォッチャーの間でも人気の高い種である、Caucasian Snowcock(コーカサスユキシャコ)の生息地としても知られています。
その姿を求めて、望遠鏡と双眼鏡で、一同総出で山の斜面をひたすら探します。しかし、これはなかなか根気のいる作業。
今回は残念ながら出合うことはできませんでしたが、その代わりに観察できたのが、Caucasian Black Grouse(コーカサスクロライチョウ)。この種も高山帯や森林限界付近で見られ、山の環境を象徴する存在です。雪のなかを泳ぐように、群れで移動していく様子が印象的でした。
そして根気よく斜面を見続けていると、思わぬ出合いも。
遠くの岩肌には Caucasian Tur(カフカスアイベックス) の群れ、さらに奇跡的に Eurasian Lynx(ユーラシアオオヤマネコ)の姿も確認することができました。
今回、私は鳥の研究者の友人に案内してもらいましたが、ジョージアではまだバードウォッチングツアーがそれほど充実していないのが現状です。とはいえ、今回紹介した場所の多くは個人でも訪れることが可能です。
春の気配が近づく季節ではありますが、標高の高いカズベキはまだまだ冬の世界。
静かな山のなかで、生きものたちの気配を探す時間は、特別な体験になるはずです。ぜひ、冬のカズベキにも足を運んでみてはいかがでしょうか。
■ステパンツミンダ(カズベキ)
アクセス:トビリシから車・マルシュルートカで約2時間半
※カズベキ行きマルシュルートカは、Metro Didube駅前の乗り場から出ています。